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第1章
カルロは王宮を出る
しおりを挟む皆は一旦テリアの宮に集まった。
そしてユラがカルロの義弟、セリウムが言った発言を2人とテリアにも説明した。
何故ならテリアはセリウムが何を言っているか半分も理解できておらず、さっき怒ったのはユラに鞭を打とうとしてる事だけはわかったからだ。
ユラから一通りわかるように説明されて、開口一番にテリアは言った。
「えっ、ヤバイ人じゃん。」
「……。テリア様…そんな人事 みたいに言わないでください。貴方が言われた事ですよ。」
「でも。なんか、悪口言われてたのは大半カルロだったよ。
仲悪いの?」
隣で無言になっていたカルロにテリアは話題をふる。その辺りはユラもボカしながら伝えてはいた。
「…思っていたよりも重症だな。」
「何で急に私の頭の心配しはじめたの?」
「違う、セリウムだ。2年まえ、違和感は感じていた。まさかとは思っていたがな。」
(びっくりした。いつも私に言ってるような事言うから勘違いしたよ。)
「……2年前?」
首を傾げてカルロをじっと見ているテリアの顔を、「見るな」と押し戻す。
「確かに、奴の言う通り今のままでは俺は皇帝にはなれない。」
「え!?いやそれは無いよ、だってあんたこの先ーガッ
言葉を続けようとしたテリアの口を、ユラが塞いだ。しかし、そんな光景をもはや見慣れたカルロはそのまま話を進めた。
「今日は、それでおまえの宮へ行ったんだ。報告しに。」
「何を?」
「俺は暫く王宮を留守にする。大体半年くらいか。」
「何処行ってるの、その間。」
「…刈ってくるんだよ。始皇帝が皇帝となった理由と同じく、アンデッドの暗黒龍を。」
「暗黒龍て、一回死んでるけど、動き続けてるって言う?」
「そうだ。本来なら、暗黒龍を屠る時、異世界の聖女とその代の皇帝が協力して屠るものだ。
だけど、この数百年、異世界の聖女は現れていないせいで暗黒龍は増えすぎた。そのうち一体を刈ってくる。」
「それ…カルロ1人で倒せるの?」
「元々、今居る王族の中で、俺が1番可能性があるんだよ。
始皇帝と同じ瞳と髪色をしているって事は、始皇帝と同じ炎の大剣が使えるからな。
だから、未だ生かされて居るとも言える。皆は異世界の聖女が現れなければ無意味とも思っているが。その聖女も数百年も姿を見せず、ほぼ無意味だとな。」
…よく分からないけど、
これで、カルロに婚約話を持っていっても乗り気じゃ無い理由がわかった。
ユラが教えてくれたように、カルロの立場がこの王宮でかなり弱くて、皆があの第2王子を支持しているとしたなら。
確かに今婚約者をこっちが決めてもカルロが100%振られる。
第2王子はあんなに小さいと言うのに好きなメイドを侍らせてキャッキャウフフしているのに、こっちはこんなシビアな状況…
「カルロ皇太子、思ったより苦労されてるんですね…。」
「…何かムカついたが。
まぁいい、取り敢えず。
おまえは俺が帰ってくるまでなるべく宮から出るな。それを伝えに来た。
つっても。おまえは聞かないだろうから…」
カルロは視線を、ユラとアレンに向ける。
すると、今度はアレンが口を開いた。
「(この方が後に皇帝になるのは知ってるけど、それでも…)
本当に1人で刈ってくる算段はあるのですか?」
「ぁあ、昔此処にいた者が、色々とな…計画も…手配もしてくれた。後は俺が実行するだけだ。異世界の聖女などに頼らずとも暗黒龍1匹くらいは何とかなる。
そうすれば、全ての状況は一気に反転する。
何故なら、暗黒龍を倒せる者が世界で俺1人なのだからな…。
皆俺を崇め奉るしかなくしてやる。」
私達にしたら皇太子か第2王子、どちらが皇帝なのが良いのかわからないが、邪悪な顔をして笑みを浮かべたカルロを見ると、相当セリウムに私念があると思われる。
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