【完結】身代わり皇妃は処刑を逃れたい

マロン株式

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第2章

1人で夜空を見上げる

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 そんな訳で舞踏会も中盤に差し掛かり、ロザリーとカルロはバルコニーで偶然(を装い)鉢合わせ、2人きりで話をしている。※アレンとユラで2人きりの状況維持にあたっている…。

 その間テリアは1人、舞踏会場から出て、別館に続く王宮通路にある石段の端に座り星空を見上げていた。
 
 

 1人きりになっても平気かって?王宮内に巡回してる見回り兵が多いので大丈夫だ。今も何だかんだで、会場入り口の扉に立っている兵士の姿が見える。


(それにしても、私など皆眼中になくて助かった。適当な理由で引き止められる事もなく、難無く会場出れたなぁ。)

 

 カルロとロザリーは念のため、2人きりにした後、会話出来るか挨拶を交わしている様子を見届けてきた。多分大丈夫だろう。

 私は何となくそのまま舞踏会に戻る気も湧かずに、こうして1人夜風に当たりぼんやりしている。

 いよいよ離縁に向けての話が前に進んだようで、今まで動かなかった状況が、とうとう動いてきた事や、久々に1人になれた事が…嬉しい?のかな。何とも言えない不思議な気持ちだ。

 夜風が心地よく頬を撫でつけ、会場の熱気に当てられていた頭が冷えていく。

 遠目に見える兵士達が居なければ、寝転がっていただろう。
 

(そう言えば、アリスティナ姫との外出から帰ってきた日、何故かカルロが私の宮まで来て一緒に夜空を見たな…。)

 今その時の事を思い出したのは、何となくだ。

 あの時、カルロが作って部屋に持ってきたサンドイッチは意外にも美味しくて。

 あの空間は嫌なものでは無かった。

 きっと、カルロもそうなんだろう。初めて会った時よりも私を見る眼差しが随分と和らいでた気がする。

 今のカルロが、本来あるべき姿だったんだろう。

 『ありがとう、すまなかった。』

  あの日、途中で眠りについた私をベッドまで運び、横たえた後の言葉は心からの物。因みに私は寝てる振りしたけど、あの時実は、ベッドに下された時に起きた。

 

 その時カルロは、私に対するそれまでの態度に後悔が滲み出ていたと思う。私達はこんな形で出会わなければ、それなりに仲良くなれたのは確かで、だけど私はそれで良かったと思っている。


 私はあの時、あえて目を閉じて、寝たフリをし、何の言葉もかけなかった。


 それからも色々とカルロについて知る事が多くて、今私は、彼を嫌ってはいない。最初の頃は本当に嫌いだと思っていたのにだ。

 初めから仲良かったら情が沸いたに違いない。

 あの口の悪さはせめてもの虚勢であったのだろうと思う。子供だった彼が、自分を強く見せるための。

 今では誰もが従わざるをえない地位を築いた皇帝に、周りは傅いて、もう理不尽などないのに。

 何故か私の目には、カルロが未だ不安定で孤独に見えた。

 異世界から聖女が来るまで、本来であれば後4年もある。前世より早く皇帝になったカルロはどう過ごすのだろうか。
 
「…ロザリー様美人だからなぁ。
高貴さも滲み出てるし、頭の回転良い女の人はカルロ好きそう。」



  その内惚れちゃうかもなー。

   でも4年後聖女が現れて、そちらに惹かれると。
 奴は2人美味しく頂く男になるのかな…。

…ん?なんてクズだ。そんな事が許されるなんて、皇帝って生き物は人間のクズね。

 この先どうなるかわからないけど。

 ロザリー様が易々と陰謀に嵌められないお家柄だとしても、もし皇帝が好きだったら聖女にゾッコンな姿見るのキツいよね。きっと。




(そう考えるとやはり、  ロザリー様が単純にカルロ好きなわけじゃなくてよかったのかも。)





「おやおや、何故こんな所に皇妃様がお1人で?」

 親気に声をかけられて振り返ると、知らない男性がいた。多分舞踏会に招かれた貴族だろう。沢山居すぎて私は覚えてないけど。

「…??私に何か用事ですか?」

「はい、毎夜この心細い王宮で、陛下の御渡りを待つ事しか出来ず、切なく震えている貴女を想像するたび、私はいつも心を痛め、常々お慰めして差し上げたいと思っていました…。」




(なんか変なの出てきた。)



  
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