【完結】憧れの異世界転移が現実になったのですが何か思ってたのと違います

Debby

文字の大きさ
13 / 48
第二章 憧れのチートです・編

2-4

しおりを挟む
「えええええっ!レグルスさんが隠しルートの攻略対象!?我々の年代からするとかなりお兄さまですよ?」

 私は七星の言葉に驚き、大声を上げてしまった。
 乙女ゲームはしたことがないので小説から仕入れた知識しかないけれど、隠しルートとはある一定の条件を満たした時にのみ解放され、その攻略対象者はメイン攻略対象者と張る程の人気を誇るという(星良調べ)

「レグルスは現在三十二才。男は三十五過ぎてからよ。ヒロインより十六才年上だけど、学生と違って大人だしクールな美丈夫。かなり人気のあるキャラクターだったわ。
 それに乙女ゲームの攻略対象だもの。様々なタイプがいるに決まってるじゃない。
 メイン攻略対象は優秀で優しいザ王子様の王太子なんだけど、他に腹黒、脳筋、ツンデレ──だったかしら」
 このゲームの攻略対象者は隠しのレグルス以外みんな同い年だからワンコ系後輩は今回いなかったわと付け足されたけどよく分からない。
 まぁ、男性は三十五才からというのは同意しますけど・・・

「そしてレグルスは頼れる年上キャラよ」

 何故七星がドヤ顔なのかは分からないけど、なるほどと思った。

「それに、あくまでもゲームの登場人物。実際に結ばれるわけじゃないし、と声、キャラ設定さえ好みなら年の差なんて関係ないでしょう。そもそもゲーム自体十六才の子だけがしている訳でもないし」

 しかもそう言われてしまっては納得せざるを得ない。
 レグルスがクールかは置いておいても、確かに大人な美丈夫。そして何より面倒見がいい。それを頼れるという風に解釈するかは個人の好みというわけかな?

「確かに星良からレグルスの話を聞くと面倒見の良い人なんだけど、本来の彼は人との関わりを持つことを避けている孤高の冒険者のはずなのよね」

 七星がなにかブツブツ言っていたけど、よく聞こえなかった。
 とにかく七星からの依頼は『条件を満たしてないのでレグルスルートに進むことにはならないとは思うけど、念のためレグルスの相手をしていて欲しい』とのことだった。

「レグルスのルートは冒険者ルートで色々大変な目に合うから嫌なのよ。おまけにこれは『ゲーム』じゃなくて『現実』でしょう。私はお家でまったり過ごしたいの」

 居候の話の条件にあった「問題を回避するために協力して欲しい」というのはそう言うことでしたか。
 まぁ、それくらいなら任せてくださいと言っておいた。



 それからしばらく冒険者はお休みした。
 一日であの無数の傷が完治したっていうのもおかしいし、何かあった時のために結界をちゃんと使えるようにしておきたかったから。
 人や魔獣への攻撃ができなくても、結界をちゃんと扱えるようになったら自分の身は守れると思うのだ。
 だから結界を張る練習と、結界にどんな効果があるのか──防臭・防音・防火など──その検証をした。
 例えば、水溜まりの上を歩いてみたら水だけ結界の外に追いやり濡れずに歩く事が出来たとか──水につかっていた土なのでぬかるんでいて靴は汚れたけれど──、地面の下も球体だったとか、結界の中でカレーを作って匂いがもれるか試したり、大声出したり、寝ると結界は消えるのか、人の出入りはできるのか、既存の結界を残したまま新たな結界を作りそこから離れることは可能なのかとか・・・一人では無理なことは七星に手伝ってもらって本当に色々試した。

 結果わかったことは、結界には私が効果が付く、ということだった。
 魔法コレはもう本当にイメージの世界なんだなと改めて思った。
 確かにチートだな・・・。



 その五日後、冒険者ギルドに行ったらカフェでレグルスが待ち構えていた。レグルスは来い来いと私を手招きすると、ジュースを奢ってくれた。

「スピカ、もう良いのか?」
 多分私の精神的ダメージを心配してくれてるんだろう。

「はい、あの時はご迷惑とご心配をおかけしました。少しずつああいったことにも慣れていこうと思っています」

 そもそもアレは私が悪いのであってレグルスが気に病むことでは無いのだけど、他人が心配してくれるのは素直に嬉しい。

「そうか、いや、アレは俺も色々反省するところがあってな」

 そういってレグルスに申し訳ない顔をされると、こっちまで申し訳ない気持ちになる。

「レグルスさん、そんなところで話し込むのは何ですし、会議室使われませんか」

 リゲルさんがこっちに来て笑顔でそんなことを言った。
 会議室?わざわざ別室を使うような話だろうかと思ったけど、レグルスが是と答えたと言うことは他にも話があるのかも知れないと思い、ジュース片手に会議室について行ったんだけど──

「は?」

 私はレグルスに差し出されたお金に目を丸くしていた。

「あの日討伐した魔獣を換金したんだ。結構な数居たからな。で、これがスピカの分け前だ」
 あと、お前が採取した薬草も出しておいたから、後で冒険者証をリゲルさんに出して報酬を受け取れとも言われた。

「え?頂けませんよ。私何もしていませんし」

 慌ててお金を押し返した。

「いや。身体張って獲物をおびき寄せたと思えばいい。──少しはマシな思い出になるだろう」

 そういって申し訳なさそうにするレグルス。そうか、私の事を思って・・・って・・・

「あれ?レグルスさんって、あの日の帰り私の薬草袋もですけど、なんか換金出来そうなモノ持ってましたっけ?」

 多分行きと帰りで荷物が増えているような様子は見られなかったと思う。

「おう、俺は鑑定と時間経過無しの収納魔法が使えるからな」
 と、何故か突然そんなことをカミングアウトしてきた。

「えええっ!!!」

 鑑定はこの前助けてくれたときに言ってたけど、時間経過無しの収納魔法って、レア中のレアだったよね?

「そんなこと簡単にばらしてしまっていいのですか?」

 そう尋ねると、レグルスは

「この事はギルマスとリゲルさんしか知らない。あとは、スピカだな。俺だけがお前のレア魔法を知っているのはフェアじゃないだろう」

 と笑って言い、続けて言いにくそうに口を開いた。

「で、何が言いたいかというと、だな──」
「私もギルドマスターとリゲルさんに打ち明けてはどうかということですね」

 実はこれは七星にも勧められた。
 ゲームでもヒロインのアリアがギルドマスターに打ち明けるシーンがあったらしい。何かあったときにすぐに相談できる──とのことだった。

「話が早いな。そういうことだ。スピカはこれからも何かな気がするしな。面会には俺も付き添うし・・・」

 なんだかひどいことを言われた気がするが、とりあえずレグルスに付き添ってもらい、ギルドマスターとリゲルさんと話をすることにした。

 あ、お金はレグルスさんの気遣いが嬉しかったのと、やっぱり生きていくのに先立つものがいるのでありがたく受け取っておいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

凡夫転生〜異世界行ったらあまりにも普通すぎた件〜

小林一咲
ファンタジー
「普通がいちばん」と教え込まれてきた佐藤啓二は、日本の平均寿命である81歳で平凡な一生を終えた。 死因は癌だった。 癌による全死亡者を占める割合は24.6パーセントと第一位である。 そんな彼にも唯一「普通では無いこと」が起きた。 死後の世界へ導かれ、女神の御前にやってくると突然異世界への転生を言い渡される。 それも生前の魂、記憶や未来の可能性すらも次の世界へと引き継ぐと言うのだ。 啓二は前世でもそれなりにアニメや漫画を嗜んでいたが、こんな展開には覚えがない。 挙げ句の果てには「質問は一切受け付けない」と言われる始末で、あれよあれよという間に異世界へと転生を果たしたのだった。 インヒター王国の外、漁業が盛んな街オームで平凡な家庭に産まれ落ちた啓二は『バルト・クラスト』という新しい名を受けた。 そうして、しばらく経った頃に自身の平凡すぎるステータスとおかしなスキルがある事に気がつく――。 これはある平凡すぎる男が異世界へ転生し、その普通で非凡な力で人生を謳歌する物語である。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地! 恋に仕事に事件に忙しい! カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m

転生魔竜~異世界ライフを謳歌してたら世界最強最悪の覇者となってた?~

アズドラ
ファンタジー
主人公タカトはテンプレ通り事故で死亡、運よく異世界転生できることになり神様にドラゴンになりたいとお願いした。 夢にまで見た異世界生活をドラゴンパワーと現代地球の知識で全力満喫! 仲間を増やして夢を叶える王道、テンプレ、モリモリファンタジー。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...