【完結】憧れの異世界転移が現実になったのですが何か思ってたのと違います

Debby

文字の大きさ
16 / 48
第三章 憧れの仲間です・編

3-1

しおりを挟む
 さて、ダンジョンを攻略するには泊まりになる。
 結界があればあまり危険はないかと思うが、野営の仕方や道案内、そしてダンジョンの説明がてら心配性のレグルスがついてきてくれるらしい。
 とりあえず明日から二泊三日、お試しで行くことになった。
 最低限準備するものを聞き、買い物に行く。その際くれぐれも人前で収納魔法を使わないように、ある程度の荷物は手で持っていくように(収納魔法がバレないようにダミーを持てとのことらしい)言われ、今日のところは別れた。
 レグルスとダンジョンに行くことを七星に話すと「やっぱりゲームに関係なくアイツに関わると冒険三昧になるのね」と震えていた。
 ゲームでは一体どんな冒険をしたんだろう。



 夜、リストをチェックすると、はじめてのダンジョン体験とは別に心踊る項目が達成可能になっていた。

 ----------
 リスト『異世界でやってみたい50のこと』
  
 達成可能(6)
 ★ダンジョンに入ってみたい
 ★宝箱を見つけてみたい
 ★レベル上げしてみたい
 ★モフモフをテイムしたい
 ★治癒魔法は絶対に使いたい
 ★討伐をやってみたい 

 未達成(26)
  
 達成済み(18)--新規(0)・確認済み(18)
 ----------

『★モフモフをテイムしてみたい』!
 モフモフ従魔!!犬系かな、猫系かな?モフモフならやっぱり犬系だよね。
 まだ見ぬモフモフ従魔を夢見て、私はウキウキしながら眠りについた。



 翌日。早朝から森に入りダンジョンを目指す。
 私は大きめショルダーバッグの斜め掛けスタイル。
 これはレグルスに言われたダミーだ。中には綿?みたいなものを詰めてみた。パンパンに入っているように見えるけど、実は軽い。バックの中に手を入れて物を取るフリをして、実は収納から取り出しているという異世界転移者がよく物語で使っているアレをするのだ。
 水筒も持ってない私にレグルスが頭を抱えていたけど、慣れない森歩きで疲れるでしょうし、肩が凝るから出来れば何も持ちたくなかったのだ。──十六才の肩が凝るかは謎だけど。

 大体レグルスだってベルトにつけてる小さなバッグだけじゃんって言ったら、自分は長年冒険者をやっていて上級ダンジョンにも何回も潜っているから、マジックバッグを持っているなんだって!何それズルい!!
 ちなみにマジックバッグは収納の魔道具──空間魔法の付与された凄い物なんだろうけど属性魔法の概念がないから魔道具の一言で解決──で、上級より上の高難易度のダンジョンで宝箱からドロップするらしい。
 
 ま、そんなことは置いておいて、ダンジョンとモフモフに出会える(かもしれない)旅!
 浮かれないファンタジー好きがいるのか!?──いや、絶対にいない(星良調べ)。

 さっさとダンジョンに行きたい私は、森に入って人目がなくなるとすぐに結界を展開。
「入っていかれますか?」と、相合い傘に誘うような感じで戸惑うレグルスを結界の中に入れ、魔獣対策として気配を消し、他の冒険者対策として視認出来ないように目眩ましと、話し声だけ外に聞こえたら意味がないので防音を施した。
 外からは私たちを視認できないのでフードも必要なし!
 そのうえ森の匂いや鳥の鳴き声、風なんかは通す仕様なのでとっても快適だ。
 足元が木の根と草花でなければ軽くスキップでもしていたところだけど、転けそうだからと耐えて進んだ。

 椅子にちょうど良さそうな大岩がある川辺に着いたとき、ここらでお昼を食べることになった。
 私は収納魔法(もちろん時間停止機能付きだった)から作り置きしておいたカレーを皿ごと取りだし、いつもお世話になっていますからとレグルスに差し出した。
 そして食べ終わったタイミングで何故か疲れたようなレグルスが

「いや、なんだ。確かに俺が言ったけれどもな・・・」
と、大きなため息をついた。

 そう、冒険者講習の時に匂いを通さない結界を張れる人が居たら温かいものも食べて良いって言ったよね。

「お前なぁ・・・レアな魔法をポンポン使いやがって、万が一誰かに見られ出もしたら──」

 わぁ、お小言がはじまってしまった。
 確かにダンジョンとモフモフに出会える可能性に浮かれて調子に乗ってたので、甘んじてお叱りを受けよう。
 そう思った矢先──

「レグルスさん!」

 レグルスの斜め後ろの草の影で何かが動いた気がした。

「なんだろう」

 そう思って様子を見に行く。
 そもそも私たちに悪意があるモノはこの結界内に入れないはずだ。

「おいスピカ、結界があるとはいえ気をつけろよ」

 レグルスがそう言うが、彼も危ないモノでは無いと感じているのだろう、無理に止めようとはしない。

 そっと草むらをかき分け近付くと、そこには怪我をして動けない様子の白い小鳥が倒れていた。
 白い小鳥は大人の拳くらいの大きさで、羽と尻尾の一部に黒や茶色の差し色がある──尻尾は知っているモノより短いけど前の世界でよく雑貨のモチーフに使われていた『シマエナガ』に似ていた。

「かわいそう。どうしたのかな」

 私は小鳥を両手の平に掬うように乗せると、レグルスの所に戻った。

「レグルスさん、小鳥でした」

 レグルスは私の手の中をのぞき込むと、
「珍しいな。こんな小さな生き物は森の奥じゃぁ生き残れないから街に近いところにしか生息していないんだが・・・」と言った。

 じゃぁこの小鳥は何かに襲われて、命からがら逃げてきたって事かな。

「羽がやられてるな。どっちにしろ生きていけないだろう。晩飯にするには小さすぎるし・・・」

 続けて言ったレグルスの言葉に、信じられないような目で見ると「冗談だ。冗談」って言ってたけど、とても怪しい。
 とりあえず私は治癒魔法を試すことにした。

「『クリーン』からの『治癒』!」

 言葉に魔力を乗せる。傷口にバイ菌が入っていたらいけないので先にクリーンをかけ、小鳥が元気に飛び回る姿をイメージして治癒魔法を使う。
 小鳥が光る──そしてその光が消えたとき、小鳥の傷は癒えていた。
 ただ、小さな身体だ。体力は簡単に戻らないらしく『ぴ、ぴぃ~』と力なく鳴くと、また気を失ってしまった。どうやら疲れて眠ってしまったらしい。

「ス~ピ~カ~・・・」

 正面でどういうことだと言わんばかりの顔で、レグルスが私を見ていた。

 あ、治癒魔法──。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

凡夫転生〜異世界行ったらあまりにも普通すぎた件〜

小林一咲
ファンタジー
「普通がいちばん」と教え込まれてきた佐藤啓二は、日本の平均寿命である81歳で平凡な一生を終えた。 死因は癌だった。 癌による全死亡者を占める割合は24.6パーセントと第一位である。 そんな彼にも唯一「普通では無いこと」が起きた。 死後の世界へ導かれ、女神の御前にやってくると突然異世界への転生を言い渡される。 それも生前の魂、記憶や未来の可能性すらも次の世界へと引き継ぐと言うのだ。 啓二は前世でもそれなりにアニメや漫画を嗜んでいたが、こんな展開には覚えがない。 挙げ句の果てには「質問は一切受け付けない」と言われる始末で、あれよあれよという間に異世界へと転生を果たしたのだった。 インヒター王国の外、漁業が盛んな街オームで平凡な家庭に産まれ落ちた啓二は『バルト・クラスト』という新しい名を受けた。 そうして、しばらく経った頃に自身の平凡すぎるステータスとおかしなスキルがある事に気がつく――。 これはある平凡すぎる男が異世界へ転生し、その普通で非凡な力で人生を謳歌する物語である。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地! 恋に仕事に事件に忙しい! カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m

転生魔竜~異世界ライフを謳歌してたら世界最強最悪の覇者となってた?~

アズドラ
ファンタジー
主人公タカトはテンプレ通り事故で死亡、運よく異世界転生できることになり神様にドラゴンになりたいとお願いした。 夢にまで見た異世界生活をドラゴンパワーと現代地球の知識で全力満喫! 仲間を増やして夢を叶える王道、テンプレ、モリモリファンタジー。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...