【完結】憧れの異世界転移が現実になったのですが何か思ってたのと違います

Debby

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第三章 憧れの仲間です・編

3-3

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「スピカ、大丈夫か?」

 あまりの出来事にしばらく呆然としていたが、レグルスの声でハッとする。ひっくり返った時に頭からコーヒーを浴びてしまったので、とりあえず『クリーン』をかけることにした。
 同じくコーヒーを飲んでいたレグルスにもパパッとクリーンをかける。

「あ?」

 レグルスは自身が突然きれいになったため、驚きの声を上げた。

(そう言えばこの世界のクリーンって掃除用だった!)

 咄嗟に魔法を使ったけど、また怒られちゃう・・・って思ったら、レグルスは感心したように
「へぇ~、クリーンをこんな風に使うのか。流石女の子だな。魔力が少ないヤツには出来ないだろうが、風呂に入らなくて良いから便利だな──ありがとう」と言った。
 なんと言うことでしょう!レグルスは冒険者稼業で儲けているらしく、常日頃からお風呂に入れる環境にあるらしい!!狡いっ!
 しかもお風呂に入るのが面倒みたいな発言。贅沢っ!

 でも今はそんなことを言っている場合では無い。
 気を取り直して周囲を見渡すが、魔獣も人の気配もなかった。
 一緒に壁のこちら側に転がってきた野営の道具を収納魔法で一旦片付け、辺りを探索することにした。
 セーフティゾーンの裏側?は一本道の通路だったため、道なりに進む。

「なんかご迷惑ばかりおかけして申し訳ありません」
「いや、スピカのせいじゃない。今まで何回もあの場所を利用したが、こんなことは初めてだ」

 そう言ってレグルスは注意深く周囲を伺う。
 また変なところを触ってしまってはいけないので、私は両手を胸の前で組んで大人しくついて行った。

「分かれ道だ」

 しばらく行くと、道が二手に分かれており、レグルスの足が止まった。奥は暗くて何も見えない。
 ダンジョン内はどんなトラップがあるか分からないため、適当に勘で進むのは命に関わるらしい。
 何か手懸かりはないかと周囲を見ていると、レグルスが何かを見つけたようだった。

「古代文字か?」

 しゃがみ込んで壁を見つめ困惑しているレグルスの後ろから覗き込むと、壁に見慣れた文字が書かれた石板が埋め込まれていた。

「・・・日本語?」
「ニホンゴ?」

 思わず口をついて出た言葉にレグルスが反応する。
 その石板に書かれていた言葉は、石を掘って刻んだものらしく読みにくかったが、明らかに日本語カタカナだった。が、なんと説明するべきか──そんなことを悩んでいると、

「まぁ今はそんなことはどうでもいい。スピカ、読めるなら読んでみてくれ」

 そう言われたので、声に出して読んでみた。

「ケショダケイコケクオウケノゾウケガアケゲテケイルテケハドッケチダ」
「・・・どういう意味だ?」

「・・・(いや、知らんがな)」
 私は首を振って答える。

「何かの暗号だろうか・・・」

 あー、暗号ね。──って暗号!?
 私は石板の隅の方に彫ってあるイラストを見つけた。

「まる?楕円形?」

 でも上が細めで下がデップリした円形のこのフォルム。

「なんだ、絵?──卵か?」

 卵?ヒヨコ・・・ニワトリ、鶏卵・・・ケイラン!

ケイランケ、要らんだっ!」

 と、いうことは

「ショダイコクオウノゾウガアゲテイルテハドッチダ。えっと、『初代国王の像があげている手はどっちだ』──どっちですか?」

 そんなもの見たことも聞いたこともない私はレグルスの顔を見た。

「左だな」

 レグルスはそう答えると立ち上がった。
 左へ進むと今度は三つに分かれた道が見えてきた。

 また壁に埋め込まれた石板がないか探す。今度はすぐに見つかった。

「えと・・・タケタンタコクタキネンタヒレキダタイノタタオウノタナタガキザタマレタテイタルセキタヒハタ。絵は──」

 いや、見なくとも何となく分かりますけど──念のため石板を調べるとやはり石板の隅にタヌキらしい動物の絵が掘ってあった。

(た、抜き・・・)

「ケンコクキネンヒレキダイノオウノナガキザマレテイルセキヒハ。と、いうことは『建国記念碑、歴代の王の名が刻まれている石碑は』ですかね」

 レグルスは心得たように頷くと、「中央だな」と言った。



 その後も『コケシ』のイラスト(コ消し)や『鳥居』のイラスト(取りイ)、『毛虫』のイラスト(ケ無視)、棒人間三体で『トリオ(取りオ)』など、よくもまあこんなに頑張って彫ったよね的な問題が続いた。この国、像とか記念碑とか多すぎ。
 これさぁ、石板彫るの大変だからクイズ形式じゃなくて、『右に行け』とか『左に進め』とか指示する形式で良かったんじゃないかなぁ。

 ──誰のためのクイズだよ!



 分かれ道の謎を解いて進んだ先には宝箱が置かれていた。警戒しながら一歩一歩宝箱に近付く。憧れのダンジョン産宝箱!リストにも『★宝箱を見つけてみたい』って書いてたもんね。
 間違いなく異世界ファンタジー好き憧れの一品!

 いや、待て待て。ファンタジーといえば『ミミック』もお約束だよね?
 え、ここまでして辿り着いてミミックとか、目も当てられない。しかもお話では「ミミックでした。」で済んでいたけれども、現実はどうなってしまうかわからないのだ。

 そんなことを悶々と考えていたら、レグルスが私の考えを読んだかのように「鑑定してみろ」と言った。
 そっか、その手があったか。
 私は恐る恐る宝箱に近付き『鑑定』をしてみた。

 ----------
 激レア宝箱
 選ばれ、謎を解き明かした者だけが手にすることができる
 ----------

 レグルスを見ると頷かれたため宝箱を開けると、赤い宝石ガーネットが埋め込まれた赤い刀身の剣が入っていた。

「キレイ・・・」

 私には大剣というサイズだけど、レグルスには小さすぎるだろう。と、いうよりこの宝石と色は──

「スピカ用の剣だな。まるでオーダーメイドだ」

 宝箱を覗き込んでいたレグルスがそう言うと剣に手を伸ばした。

「ほら、俺には重くて持ち上げることができない。スピカ、持ってみろ」

 レグルスが一歩下がる。
 私は宝箱の前に進み、中の剣を持ち上げる。それなりの重さを覚悟し、力を入れて持ち上げたけど、スッと軽く持ち上げることができた。
 剣を宝箱から取り出した瞬間宝箱が消え、足元に魔法陣が浮かび上がった。

「え」

 その次の瞬間、レグルスと二人、元いたセーフティゾーンに立っていた。

「今日はもう遅い。とりあえず休んで話は明日だ」

 レグルスがそう言うので寝る準備をする。他の冒険者達はすでに休んでいるようだが、念のため対人用の結界を張っておく。

「睡眠中も展開できるとは・・・。まぁ、しかし助かる。ありがとう」

 そう言ってレグルスは毛布を被った。

 その夜、こっそりリストをチェックした。
 リストのことは、恥ずかしいので七星にも言ってない。なので他の人に見えるのか不明なのだ。


 ----------
 リスト『異世界でやってみたい50のこと』
  
 達成可能(2)
 ★モフモフをテイムしたい
 ★討伐をやってみたい 

 未達成(24)
  
 達成済み(24)--新規(6)・確認済み(18)
 ★魔剣や聖剣みたいなチート武器を手に入れて楽したい
 ★謎解き冒険もしてみたい
 ★ダンジョンに入ってみたい
 ★宝箱を見つけてみたい
 ★レベル上げしてみたい
 ★治癒魔法は絶対に使いたい
 ----------


 宝箱は剣が入っていたものがカウントされたらしい。
 それはいいとして、あんな昭和の小学生向け雑誌の謎解きブック的なモノに掲載されていそうな暗号問題が『謎解き冒険』にカウントされるとは!・・・軽くショックなんですけど。
 もっと壮大な世界をまたにかけるような謎解きを想像していたのに~。

 しかしそれよりも衝撃的な事実。
 いや、リストに書いた覚えはあるので、ある程度分かってはいたけれど、どうやら魔剣や聖剣レベルのチートヤバい武器を手に入れてしまったらしい。
 レベルも上がったらしいけど、冒険者ランクがない以上レベルってなんだよって感じだよね。

 さて、剣のこと、レグルスになんて説明しよう・・・。
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