【完結】憧れの異世界転移が現実になったのですが何か思ってたのと違います

Debby

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第三章 憧れの仲間です・編

3-4

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 翌朝、普通に起きて朝食を摂り、普通に支度したあと他の冒険者と時間をずらして出発した。
 来た時と同じように、大きめのショルダーバッグを斜めにかける。
 昨日と違うことと言えば、背中に背負ってる赤い剣──。
 大剣は腰に差すと引きずってしまうので背負うしかなかったんだけど、私ちょっとカッコよくない?
 鞘がないから動いた衝撃で足に当たったら怖いので、怪我をしないよう結界で鞘を作ってみた。軽い気持ちでチート武器って書いたけど、剣なんか扱ったことのない私はこの大剣を使える気が全くしない。片刃も無理なのに両刃って・・・しかも大きいし。

 ちっとも安全じゃなかったセーフティエリアを出て少し歩くと、ダンジョンの入口付近や宝箱があった通路に似た場所に出た。

「ここからが二階層に繋がる道になる。ここには魔獣は追って来られないから、今後ダンジョンで何かあればここに逃げ込め」

(あれ?レグルスに何も聞かれないぞ?忘れたとか?)

 そっか~。良かった良かった。どう説明しようかと悩んでたけど、助かった!
 私がホッとしてレグルスの説明に「はーい」と元気よく返事をすると

「忘れてないからな」と、まるで考えを読まれたかのようにジト目で言われてしまった。

「レグルスさん、人の考えが?」

「読めるわけないだろう。大体そんなにちょこちょこ様子を伺うように見られたら、誰でも分かるだろう。お前、顔に出すぎ」

 そう言われてしまった。

「そもそも嫌でも視界に入るから忘れようがない。とりあえず、その剣の性能を確認しないとだな。俺の鑑定が通らないなんて、ただの剣じゃないだろう」

 レグルスは私が背負っている大剣を見ながらそう言った。
 え!?この子、レグルスの鑑定を通さなかったの?そっか~、チート武器だもんね。
 そもそも普通のキレイな剣だと思っていたので、鑑定して性能を確かめるという考えに至らなかった。
 私は歩きながら下を向き、足元に見え隠れする大剣にこっそり『鑑定』をかけてみた。

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 聖魔の剣:意思を持つ剣
 ヒロインが攻略対象者と共に協力し手に入れるはずだった剣。
 ヒロイン降板のため、持ち主が変わった。
 その際、新たな持ち主の希望により性能も大幅に改変されている。
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「ギャッ!」
「おわっ!」

 躓いて転びそうになったところをレグルスが支えてくれた。

「何もないところで転ぶなよ──」
「す、すみません」

 取り敢えず『誰のためのクイズだ』と怒りに震えたあの暗号はアリアヒロインレグルス攻略対象者の為だったことだけはわかった。

「ほら、ここからが二階層だ」

 いつの間にか石の通路が終わり、森のエリアに出ていた。
 滝があるのか、水の落ちる音が聞こえてくる。

「で、なんかヤバイもんでも見えたのか?」

 鑑定したのがバレたらしく、ニヤリと笑ったレグルスの顔は怖かった。



「ここは奥まで行けば薬草が豊富にある──」

 薬草で稼ごうとするのは初心者に多いが、このダンジョンに辿り着ける程の実力をつけることが出来た冒険者は薬草より単価の高い魔獣を狙うため、五階層のボスまでは素通りすることが多いらしい。だから、ここは結構薬草採取をするには穴場なのだそうだ。
 そう言った端から後から来た冒険者が薬草を素通りしていく。
 そうだよね、持って帰るまでにシナシナになってそう。

「あ、カエル草!」

 目的の薬草を見つけたので採取する。
 他にもハラガイタ草、ネツサマ草、イタミガトレ草、ハラクダシ草(下剤かな?)、シップニツカエ草、カゼニキキ草、キズガナオリ草・・・と、いろんな薬草がある。
 昨日の謎解きもそうだが本当に誰が考えたんだろう・・・効果効能は分かりやすいけど、とても気になるネーミングセンスだ。
 私は採取した薬草を『収納』にどんどん入れていく。時間経過なしだから、水球の必要もない。

「あれ?」

 チイサクナリ草?

 意味不明な名前の薬草がポツンと数本生えていた。私は何かに使えるかもしれないと思い、三本だけ採取して収納した。

「コゲチャ苔がないなぁ」

 苔って言うくらいだから、水辺とか、洞窟の中とかかな?
 一通り薬草を採取した私がそう言うと、レグルスが

「ああ、苔は滝の近くだな。あっちは苔以外なにもないからな──」

 そう言って、コゲチャ苔のところまで案内してくれた。
 色々あったのに一番最初にカエル草とコゲチャ苔が欲しいって言ってたことや、薬草採取メインで攻略すると言ってくれていたの、ちゃんと覚えていてくれたんだな。レグルスの気遣いには感動すら覚える──と、思っている時がありました。

「──さ、そう言うわけでここには滅多に他の冒険者は来ない。さっさと、防音、隠蔽の結界でも張って、洗いざらい吐いて貰おうか」

 コゲチャ苔を採取した後、大岩に座り長い手足を組んで座っていたレグルスが、怖い顔でそう言い放った。

「ひ、ひぃ~~」

 私は全て吐かされた。



「要約すると、スピカは違う世界に住んでいたが、いつの間にか身一つでこの世界に飛ばされた。そこを偶然俺に拾われ、目下リストにある異世界でやりたいことを体験中・・・と言うことか」

「ハイ・・・」

「昨日の古代文字は元の世界の言葉である、と?」

「ハイ・・・」

「そのリスト──レア魔法と聖魔の剣以外にヤバイことは書いてないだろうな・・・」

「あーいや~・・・」

 私のハッキリしない様子に、レグルスは「ん?」と眉間にシワを寄せた。

「何故か内容を思い出せないんです。達成したり、達成可能な状況になったりしたら思い出せる感じです」

 これは本当。あんなに真剣に考えたリストなのに、思い出せないのだ。
 リスト項目達成のためだけに行動できないようになっているのかもしれない。

 レグルスは何かを考え込んでいたようだが、急に顔をあげるといつものように頭をポンポンして言った。

「とりあえず、記憶喪失ってはないんだな」
「は、はい」
「よかった・・・」

 心底安心したようなレグルスは続けて「スピカ、お前俺の妹になれ」と言った。

「はい????」

「さすがにその全てをギルマス達に話すわけにはいかないが、治癒魔法と聖魔の剣については話しておいた方がいいだろう。
 しかし秘密はいつかは漏れる。スピカに出会って行動を共にしたのはわずかだが、これは自信をもって言える」

 レグルスは私を指差して断言した。

「お前はまだ何かやらかす。そして何かに巻き込まれる」
「ひどっ」

「その髪と瞳も一生ポーションで変えるわけにもいかないだろう」
「え、気に入っているので嫌です」
 私は頭を押さえて言う。

「記憶喪失設定をいいことに、貴族に自分の娘だ~なんて言われたくもないだろう」
「絶対嫌です」
「だろ?だから俺と兄妹と言うことにすれば、スピカの髪と瞳の色についても不自然に思われないだろうし、貴族に狙われても兄と言うことで何とかしてやれることも多くなる」

 レグルスの考えた設定はこうだ。

 父親が藍色、母親が赤色を持つ。両親の出身は不明だが平民として生活していた。
 レグルスはスピカが生まれる前に家を出た為お互い顔も名前も分からなかったが、両親が亡くなり頼る人がいなくなったスピカは、冒険者をしているという生まれる前に出ていった兄を探し、冒険者ギルドのある街を転々としていた。
 そしてこの街にたどり着く前に何かがあり、記憶を失った。
 フードを被っていて気付かなかったが、素顔を見た時母譲りの赤髪ガーネットとそっくりの顔を見て気が付いた。

「それに、そう言う設定にすれば──スピカが俺の「お気に入り」だという訳の分からない噂も払拭できるはずだ」

 ──あ、気にしていたんだ。


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 リスト『異世界でやってみたい50のこと』
  
 達成可能(2)
 ★モフモフをテイムしたい
 ★討伐をやってみたい 

 未達成(24)
  
 達成済み(24)--新規(0)・確認済み(24)
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