37 / 48
第五章 憧れの東の国は海でした・編
5-2
しおりを挟む
私は今、海水をコトコト煮詰めている。
「一体何をしてるんだ?」
こればかりはピヨさんもレグルスに同意らしく、レグルスと一緒に鍋を覗き込んでいた。
「リスト項目の消化です」
海に行くことが決まると、達成可能なリストに早速二つの項目が加わった。
そう、新しく加わった項目は
-------
リスト『異世界でやってみたい50のこと』
達成可能(6)
★息継ぎの心配をせずに海で泳いでみたい
★海に行って塩を作ってみたい
★異世界旅行をしてみたい
★こっちの世界にない景色を見てみたい
★いろんな種族に会ってみたい
★討伐をやってみたい
未達成(10)
達成済み(34)--新規(0)・確認済み(34)
----------
・・・『塩作り』である。
何故塩作りなのかというと、ファンタジーあるあるの塩コショウを売って金儲け──まではいかないけれど、もしも調味料が貴重品だった場合、現代の調味料に慣れてしまっている私が素材の味しかしない食事に耐えられる気がしなかったからだ。
砂糖や胡椒は類似植物探しからだが、塩は海水を煮詰めれば出来るので作り方を調べて覚えていたのだ。
これを考えたときは、乙女ゲームだから調味料は充実している筈だとは思わなかったけど、塩としか書かなくて本当に良かったと思う。下手に砂糖とか味噌とか書いていたら大変なことになるところだった。
塩の作り方は
1、海水をろ過(結界を利用)してのゴミを取り除く。
2、海水が十分の一になるまで時々かき混ぜながら煮詰める。
3、再びろ過(結界を利用)して石膏成分を取り除く。
4、さらに煮詰めて←今ココ
5、塩が結晶化してきたら完全に水分がなくなる前に火を止めて水分を切る。
6、しっとり食塩の出来上がり!
海水2リットルで塩は50グラムしか採れないらしい。
私は出来上がった塩を以前買ったポーション用の小瓶にいれ、収納に仕舞ったのだった。
----------
リスト『異世界でやってみたい50のこと』
達成可能(5)
★息継ぎの心配をせずに海で泳いでみたい
★異世界旅行をしてみたい
★こっちの世界にない景色を見てみたい
★いろんな種族にあってみたい
★討伐をやってみたい
未達成(10)
達成済み(35)--新規(1)・確認済み(34)
★海に行って塩を作ってみたい
---------
気を取り直してリストを見返した。
あとは楽しみな項目ばかりだ。
さて、塩作りは終わってしまったけど、まだ時間はたっぷりある。レグルスを伴い散策の続きでもしようかと鍋を片付けていると──
「あの・・・突然お声かけして申し訳ありません。そちらのお方が高位の力をお持ちと推測し、ご無礼かと思いましたがお声を掛けさせていただきました」
声のした方を見ると、腰まで届く真っ直ぐなプラチナの髪の綺麗な女の人が膝をつき、髪が砂で汚れるのも厭わずに頭を垂れていた。
「え?」
私はレグルスを指差す。高位の冒険者と言えば彼よね?
しかしレグルスはブンブンと首を振る。
「いいえ、そちらの方ではございません」
女の人の視線は真っ直ぐ私の顔を見て言う。
──いや、正確には彼女の視線は私の肩・・・ピヨさんに向いていた。
『ふむ、人魚族か。陸にあがってくるとは珍しいな──』
私は女の人を見てピヨさんが言った言葉に、心の中で歓喜の声を上げた。
(に、人魚ですとぉ~!!!)
──ふむ。人魚族は海底ダンジョンよりも深く、陸地から離れたところに住んでおる種族でその存在を知るものは一部の者だけなのだ。
ピヨさんが教えてくれる。
レグルスをチラッと見るが、その落ち着き様から存在は知っていたのかもしれない。
「まさか、レグルスが言っていた他の種族って!?」と、小声で聞いたけど、「そんなわけないだろう」と言われた。
そうだよね。一部の人しか知らない人魚さんに会える保証なんてないもんね。
で、でも人魚といえば、足の部分が魚だったり、耳がヒレっぽかったりするデザインをよく見るけど、足も耳も人間にしか見えませんよ。
それに、その人魚族の人がピヨさんになんの用なのでしょう?
私がそう思っていると、人魚さんは再び頭を下げ土下座をするような格好で言った。
「私は人魚族族長の娘のミラと申します。現在我々は危機を迎えております。どうぞお力添えをお願いしたく──」
『断る』
ミラさんが言い終わる前にピヨさんが言い放つ。彼女は一瞬ピクリとしたけれど、頭は上げない。
「ピヨさん──お話くらい聞いて上げても・・・」
『なんだ主よ。人魚族に興味があるのか?』
ピヨさんがわざとらしくそう言うと、ミラさんはパッと顔を上げ、
「あなた様がこのお方の主様でございましたか。礼を欠き大変申し訳ありません。
今人魚族は存続の危機に瀕しております。どうか、お力添えを・・・どうか──」
そう言って再び頭を下げた。
えええ、私は頼まれたら断われないよ?ピヨさん、分かってて私に話を振ったよね。
「ピヨさん、話だけでも聞いてあげて」
今、人魚の国の近くに大型の魔獣が住み着き、近海を荒らしているのだそうだ。
国は大きな結界に覆われているそうなのだが、それを破壊せんとする勢いで体当たりしてくることもあるそう。
万が一結界が破れて水が流れ込んできたら農作物がダメになってしまい、海底で生活出来なくなってしまうとのことだった。
「東の国で採れる農作物って?」
「はい、人間族の主食はパンですが、人魚の国の主食は『米』と言う穀物なのです」
キ、キターーーーー!!!
「もしかして味噌とか、味醂とかあったりします?あ、醤油も!」
私が訪ねると、ミラさんは目を輝かせた。
「まぁ、さすが高位のお方の主様です。そんなことまでご存じとは!」
これは是非お助けせねばなりますまい。
私は立ち上がって拳を握り、宣言した。
「人魚族の国を助けます」
今まで気配を消していたレグルスが「やっぱりそうなったか」と呟いた。
「一体何をしてるんだ?」
こればかりはピヨさんもレグルスに同意らしく、レグルスと一緒に鍋を覗き込んでいた。
「リスト項目の消化です」
海に行くことが決まると、達成可能なリストに早速二つの項目が加わった。
そう、新しく加わった項目は
-------
リスト『異世界でやってみたい50のこと』
達成可能(6)
★息継ぎの心配をせずに海で泳いでみたい
★海に行って塩を作ってみたい
★異世界旅行をしてみたい
★こっちの世界にない景色を見てみたい
★いろんな種族に会ってみたい
★討伐をやってみたい
未達成(10)
達成済み(34)--新規(0)・確認済み(34)
----------
・・・『塩作り』である。
何故塩作りなのかというと、ファンタジーあるあるの塩コショウを売って金儲け──まではいかないけれど、もしも調味料が貴重品だった場合、現代の調味料に慣れてしまっている私が素材の味しかしない食事に耐えられる気がしなかったからだ。
砂糖や胡椒は類似植物探しからだが、塩は海水を煮詰めれば出来るので作り方を調べて覚えていたのだ。
これを考えたときは、乙女ゲームだから調味料は充実している筈だとは思わなかったけど、塩としか書かなくて本当に良かったと思う。下手に砂糖とか味噌とか書いていたら大変なことになるところだった。
塩の作り方は
1、海水をろ過(結界を利用)してのゴミを取り除く。
2、海水が十分の一になるまで時々かき混ぜながら煮詰める。
3、再びろ過(結界を利用)して石膏成分を取り除く。
4、さらに煮詰めて←今ココ
5、塩が結晶化してきたら完全に水分がなくなる前に火を止めて水分を切る。
6、しっとり食塩の出来上がり!
海水2リットルで塩は50グラムしか採れないらしい。
私は出来上がった塩を以前買ったポーション用の小瓶にいれ、収納に仕舞ったのだった。
----------
リスト『異世界でやってみたい50のこと』
達成可能(5)
★息継ぎの心配をせずに海で泳いでみたい
★異世界旅行をしてみたい
★こっちの世界にない景色を見てみたい
★いろんな種族にあってみたい
★討伐をやってみたい
未達成(10)
達成済み(35)--新規(1)・確認済み(34)
★海に行って塩を作ってみたい
---------
気を取り直してリストを見返した。
あとは楽しみな項目ばかりだ。
さて、塩作りは終わってしまったけど、まだ時間はたっぷりある。レグルスを伴い散策の続きでもしようかと鍋を片付けていると──
「あの・・・突然お声かけして申し訳ありません。そちらのお方が高位の力をお持ちと推測し、ご無礼かと思いましたがお声を掛けさせていただきました」
声のした方を見ると、腰まで届く真っ直ぐなプラチナの髪の綺麗な女の人が膝をつき、髪が砂で汚れるのも厭わずに頭を垂れていた。
「え?」
私はレグルスを指差す。高位の冒険者と言えば彼よね?
しかしレグルスはブンブンと首を振る。
「いいえ、そちらの方ではございません」
女の人の視線は真っ直ぐ私の顔を見て言う。
──いや、正確には彼女の視線は私の肩・・・ピヨさんに向いていた。
『ふむ、人魚族か。陸にあがってくるとは珍しいな──』
私は女の人を見てピヨさんが言った言葉に、心の中で歓喜の声を上げた。
(に、人魚ですとぉ~!!!)
──ふむ。人魚族は海底ダンジョンよりも深く、陸地から離れたところに住んでおる種族でその存在を知るものは一部の者だけなのだ。
ピヨさんが教えてくれる。
レグルスをチラッと見るが、その落ち着き様から存在は知っていたのかもしれない。
「まさか、レグルスが言っていた他の種族って!?」と、小声で聞いたけど、「そんなわけないだろう」と言われた。
そうだよね。一部の人しか知らない人魚さんに会える保証なんてないもんね。
で、でも人魚といえば、足の部分が魚だったり、耳がヒレっぽかったりするデザインをよく見るけど、足も耳も人間にしか見えませんよ。
それに、その人魚族の人がピヨさんになんの用なのでしょう?
私がそう思っていると、人魚さんは再び頭を下げ土下座をするような格好で言った。
「私は人魚族族長の娘のミラと申します。現在我々は危機を迎えております。どうぞお力添えをお願いしたく──」
『断る』
ミラさんが言い終わる前にピヨさんが言い放つ。彼女は一瞬ピクリとしたけれど、頭は上げない。
「ピヨさん──お話くらい聞いて上げても・・・」
『なんだ主よ。人魚族に興味があるのか?』
ピヨさんがわざとらしくそう言うと、ミラさんはパッと顔を上げ、
「あなた様がこのお方の主様でございましたか。礼を欠き大変申し訳ありません。
今人魚族は存続の危機に瀕しております。どうか、お力添えを・・・どうか──」
そう言って再び頭を下げた。
えええ、私は頼まれたら断われないよ?ピヨさん、分かってて私に話を振ったよね。
「ピヨさん、話だけでも聞いてあげて」
今、人魚の国の近くに大型の魔獣が住み着き、近海を荒らしているのだそうだ。
国は大きな結界に覆われているそうなのだが、それを破壊せんとする勢いで体当たりしてくることもあるそう。
万が一結界が破れて水が流れ込んできたら農作物がダメになってしまい、海底で生活出来なくなってしまうとのことだった。
「東の国で採れる農作物って?」
「はい、人間族の主食はパンですが、人魚の国の主食は『米』と言う穀物なのです」
キ、キターーーーー!!!
「もしかして味噌とか、味醂とかあったりします?あ、醤油も!」
私が訪ねると、ミラさんは目を輝かせた。
「まぁ、さすが高位のお方の主様です。そんなことまでご存じとは!」
これは是非お助けせねばなりますまい。
私は立ち上がって拳を握り、宣言した。
「人魚族の国を助けます」
今まで気配を消していたレグルスが「やっぱりそうなったか」と呟いた。
90
あなたにおすすめの小説
凡夫転生〜異世界行ったらあまりにも普通すぎた件〜
小林一咲
ファンタジー
「普通がいちばん」と教え込まれてきた佐藤啓二は、日本の平均寿命である81歳で平凡な一生を終えた。
死因は癌だった。
癌による全死亡者を占める割合は24.6パーセントと第一位である。
そんな彼にも唯一「普通では無いこと」が起きた。
死後の世界へ導かれ、女神の御前にやってくると突然異世界への転生を言い渡される。
それも生前の魂、記憶や未来の可能性すらも次の世界へと引き継ぐと言うのだ。
啓二は前世でもそれなりにアニメや漫画を嗜んでいたが、こんな展開には覚えがない。
挙げ句の果てには「質問は一切受け付けない」と言われる始末で、あれよあれよという間に異世界へと転生を果たしたのだった。
インヒター王国の外、漁業が盛んな街オームで平凡な家庭に産まれ落ちた啓二は『バルト・クラスト』という新しい名を受けた。
そうして、しばらく経った頃に自身の平凡すぎるステータスとおかしなスキルがある事に気がつく――。
これはある平凡すぎる男が異世界へ転生し、その普通で非凡な力で人生を謳歌する物語である。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!
カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地!
恋に仕事に事件に忙しい!
カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m
転生魔竜~異世界ライフを謳歌してたら世界最強最悪の覇者となってた?~
アズドラ
ファンタジー
主人公タカトはテンプレ通り事故で死亡、運よく異世界転生できることになり神様にドラゴンになりたいとお願いした。 夢にまで見た異世界生活をドラゴンパワーと現代地球の知識で全力満喫! 仲間を増やして夢を叶える王道、テンプレ、モリモリファンタジー。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる