【完結】憧れの異世界転移が現実になったのですが何か思ってたのと違います

Debby

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第五章 憧れの東の国は海でした・編

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 本来なら海中は『水中呼吸の魔道具』を使うらしいが、私はチートな女の子なのだ。

 誰にも見られないように隠蔽と魚のエラみたいに海中に溶け込んだ空気を取り込んで二酸化炭素を排出させる機能をもった結界を作りだし、自身とレグルスに纏わせた。
 水圧に耐えられる様にするのも忘れない。ついでに海中でもお喋り出来る仕様だ。
 街で騎士アイツはたいてから結界の中に閉じこもる以外の身を守る方法も手に入れたし結界のバリエーションも広がったので、感謝はしないけれど今思うとアイツも良い仕事をしたなとは思っている。
 ピヨさんは何となく水中でも息が出来そうな気がするけど私の肩に乗って行くみたい。
 レグルスはもう慣れたのかなにも言わず、ピヨさんは

 ──星良は相変わらず変な結界の使い方をするな・・・

 と、面白そうに言っていた。

「あああっ!もしかして海底ダンジョンも結界を使ってたら泳いで行けたんじゃ・・・」

 私はそう思ったけど、そしたらイケメンとの浜辺の散策も、ミラさんに会うことも出来なかっただろうからよしとしよう。



 ミラさんの足は、泳いでいる途中で魚に変化した。

 え、自由自在なの!?

「凄い!キレイ!!リアル人魚姫だ!!!」と、一人感動してしまった。

 取り敢えず、ミラさんについて沖の方まで泳いでいったのだけど、彼女が海底に向かって深く沈んだところでふと気付いた。
 スキューバダイビングの時って沈むために重りを付けるよね?まぁ、あれは付けてないとスーツが無駄に浮くからかもしれないけど。
 でも私は、それでも緊張して上手く沈めなかったことを思い出した。
 泳ぐことは人並みに出来るけど、潜水はプールで足がついた状態からお遊び程度潜ったくらいで、すぐ浮いちゃったし──

「どうやって沈むの?」

 急に不安になって、そうレグルスに聞いたら、レグルスは

「そっか、星良は海で潜ったことがないのか」と笑っていい、手を伸ばすと私を小脇に抱えて一気に潜った。

 ちょっと、荷物じゃないんだから!と、文句を言おうと思ったけど、目の前に広がる世界に言葉を失った。

 透明度の高い海水はまだ太陽の光が届くようで、潮の動きに揺れて、キラキラ輝いていた。海底の白い砂もキラキラ!珊瑚や色とりどりの魚が泳いでいる。ふと、海面を見上げると差し込む光と白く映る波の形がキレイだ。

「あそこが海底ダンジョンの入り口だ」

 レグルスが指し示した方を見ると、離れたところにある岩場にエルナトの森のダンジョンの様な穴がぽっかり空いていた。

「あの中ってどうなってるの?水?空気?」

 不思議に思って聞いてみたところ、階層によって違うらしかった。

 ダンジョンの入り口を過ぎ、暫く行ったところに数頭のシャチが待ち構えており、その内の一頭にミラさんが掴まった。

「ここから更に進みますので、シャチに掴まってください」

 レグルスが私を抱えたままシャチに掴まった。
 シャチに掴まっている自分を想像してみて一人で乗りたいなと思ったけど、実際にシャチが泳ぎだしてから一人で乗ってなくて良かったと思った。
 これ、絶対振り落とされてたよ・・・っていうくらいのスピードだった。



 シャチに乗ってどれくらい進んだだろう。周囲に光が届かなくなり薄暗くなってからかなり経った。これなら人が辿り着けないし、誰も知らない筈だ。
 でもピヨさんはともかく、何故レグルスは人魚族のことを知っている風だったんだろう。逆に気になる。実は国家機密を知る大冒険者とか?
 そんなことを考えていたら、急に明るくなり、目の前に大きなドーム状の何かが現れたのだ。
 そばに行くまで認識できないようになっていたらしい。
 これが人魚の国?

「わぁ」

 思わず声が漏れる。どういった仕組みかわからないけれど、ドームの中は太陽光に似た何かの光に満たされている様だ。

 こっちは海水、あっちは空気?
 風もあるのかドームがゆっくり揺れていて、所々ドームに触れている海水部分が波のように動いていたり、何かが当たったのか波紋が広がったりしているのだ。
 内側を照らす光とドーム内の色を通している海水が、海中から空を映す海面を見上げた時と似てるけどまるで違う、夢のような光景だった。

 ──あのドームは人魚の国を守る結界だ。

 結界!

 私の結界は無色透明だけど、世の中にはこんなきれいな結界があるんだ!
 ちょっと感動。
 でも、どこから入るんだろう?どっかに入り口があるのかな?
 そんなことを思いながらその光景に見とれていると、シャチがそのままの速度で結界に突っ込んだ。

「うわあああぁぁ!ぶつかる!!」

 目を閉じようとしたら、

 ──大丈夫だ。

 と、ピヨさんの声がした。

 結界が目の前に迫ってくる。

 私が一番最初に結界を張ったのは魔獣から逃れるためだった。
 体当たりされて、爪や牙を立てられたあの衝撃、恐ろしいあの音。

 だけど、ピヨさんがそう言うんだったらきっと大丈夫。

 怖かったのは一瞬。

 ポヨン~ムニョ

 結界に突っ込んだ瞬間、視界に虹が広がり、マシュマロに包まれたみたいな感覚が──

 っぽん!!

 結界の内側に入ったことが分かった。
 農作物を育てているって言ってたからなんとなくそう思っていたけど、結界の内側には空気があった。
 空気があるのに、何故かここまで乗せてきてくれたシャチさんはを泳いで海に帰っていった。
 いつの間にかシャチさんから降りていたらしく、放心状態の私はレグルスの片腕に抱き上げられていた。

「星良、大丈夫か?」

 声を掛けられて状況に気付く。
 あまりにも軽々と抱え上げられていたので気付かなかった。悔しいけど細マッチョのくせに騎士団長と張るくらいの安心感があった。もう少しこのままでも良いかな?と思える程度には。

「すみません、降ります」

 満員電車から降りるときの台詞みたいなことを言って降ろしてもらう。
 そこに、足が元に?戻ったミラさんが、やって来た。

「ようこそ。人魚の国へ。族長の元へとご案内します。どうぞこちらへお越しください」

 ミラさんが指し示す方向には、絵本で見た竜宮城の様な建物が建っていた。
 うん、さすが日本のゲームの世界観だ。
 ここで近代的なビルやら住宅が出てきたら泣いてたかもしれないからよかったよ。

(あ、ピヨさん、ありがとう。おかげで怖くなかったよ)

 心の中でピヨさんにお礼を言う。
 なんとなくピヨさんが微笑んでいるような気がした。



 お座敷に通された。畳の部屋だ。
 そして出されたのは緑色のお茶。

「おおっ!緑茶だ」

 あまりにも日本っぽくて、鑑定もせずに飲み干したけど、ピヨさんがなにも言わないから大丈夫なんだと思う。隣を見たら、レグルスもおっかなびっくり口をつけようとしているところだった。
 お茶をイッキ飲みしてしまったものの、さすがにお代わりくださいとは言えないなぁと思っていたところに、白髭の仙人の様なおじいさんとミラさんが、入ってきた。

「わざわざご足労いただきありがとうございます」

 どうやらこの人が族長さんらしく、仙人のおじいさんの挨拶からはじまった話は先程ミラさんから聞いたものをもう少し詳しくした感じだった。
 大型の魔獣が現れるのに規則性はないが、最近姿を見せてないのでそろそろ現れるのではないかとのこと。

「どうか、あなた方のお力で魔獣を退治していただけないでしょうか」

 今回わざわざミラさんが陸へ上がったのも、魔獣を倒せる実力者を探すのが目的だったらしい。
 慣れない陸地で旅をする覚悟だったそうだが、ちょうど私たちがあそこで塩を作っていたのを見つけたらしい。

 人間族の通貨はあまり置いていないのでお金はそんなに渡せないが、その魔獣から採れる素材は全て持っていって良いとのことだった。
 もちろん私は言った。だってこのために来たようなものだもの。

「お金は要らないのでお米と味噌とか醤油とか味醂なんかを使った料理を食べさせてくださいっっっ!・・・あと、お茶のおかわりも」
 最後はちょっと声が小さくなったけど、言うは一時の恥、言わぬは一生の後悔・・・

 話が終わり客室に通された。そして私の希望も通った。

「いえ、わざわざご足労いただいたのです。普通にお食事は用意させますので、ごゆっくりお過ごしください」

 ミラさんの言葉に「わーい!」と年甲斐もなく大喜びしてしまった。

「その味醂とか味噌とかって旨いのか?」

 そんな私を見て、レグルスが興味津々で聞いてくる。

「私の前の世界の調味料なんだよ。レグルスも美味しいと感じると思うよ」

 私は久しぶりの日本食を待っている間に人魚の国に入ったことにより何かリストに変化があったかなとチェックするとこにしたのだが──


 ----------
 リスト『異世界でやってみたい50のこと』
  
 達成可能(5)
 ★ドラゴン肉を食べてみたい
 ★東の国の料理を食べてみたい
 ★異世界旅行をしてみたい
 ★いろんな種族に会ってみたい
 ★討伐をやってみたい 

 未達成(8)
  
 達成済み(37)--新規(2)・確認済み(35)
 ★こっちの世界にない景色を見てみたい 
 ★息継ぎの心配をせずに海で泳いでみたい
 ----------

『★こっちの世界にない景色を見てみたい 』が達成になっていた。まだまだあっちの世界にない景色はあるんだろうけど、人魚の国を外側から見るなんてこっちの世界の人も出来ないから、本当に貴重な体験をさせてもらった。

(ん゛?・・・)

「・・・ね、レグルス。ドラゴンのお肉って食べたことある?」

「いや、食べたことはないな。そもそも倒さないと食べられないだろ?まずドラゴンが人里に出てくることが無いから、倒す機会がないよな。言い伝えでは凄く旨いらしいぞ」

「へ、へぇ・・・」

「?」

『★ドラゴン肉を食べてみたい』って、私達今から何と戦って何を食べるの?
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