捨てられ令嬢は、異能の眼を持つ魔術師になる。私、溺愛されているみたいですよ?

miy

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第6章

68話

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「お義父様」

「イシス、また・・こんな時間まで寝ていなかったのか?」

「はい…また・・少し、お話があります」


座っているソファーの隣をトントンと軽く叩くお義父様。隣に座りなさい、ということよね?


「どうしたんだ?」

「皇太子の任命についてのことなのですが、その…エリック殿下に決まっていますよね?」

「…知っていたのか…」


私は頷いた。
私には直接関係のないことだけれど、謁見の時に皇帝陛下のお考えが全て視え・・てしまっていたから。
 

「私のように主要な役職に付いている者には、間違った噂が流れる前に伝えられた。皇子たちも誰が皇太子かは聞いているはずだ。

立太子の儀は3か月後、儀式の約1ヶ月前には、帝国民に大々的に掲示されるだろうな」


側妃殿下は野心があり…息子であるユーリス殿下を皇太子にしたいと思っている、そうお義父様からは聞いていた。
つまり、側妃殿下の願いは叶わなかった…ということ。


「1週間後に宮殿でお茶会があるのです。皇子殿下や婚約者のご令嬢、側近候補者など…要するに親睦会ですわね。私も…呼ばれました」

「そこで何か起こるかもしれない…そう心配しているのか?」


このタイミングで催されるお茶会ですよ?危険過ぎでは?


「はい、そうなのです。お義父様のお話を聞く限り、掲示までの2ヶ月が…最も荒れそうな気がいたしませんか?」


私の不安な気持ちを、お義父様はいつもちゃんと受け止めてくださる。お話しすると、私も安心できるのよね。


「ふむ。だが、その茶会には護衛や影が多く付くことになる。皇子殿下たちに直接危害が及ぶとは考えにくいな。
何か騒ぎが起こるとするならば、そうだな…殿下たち以外の者が対象となる可能性が高いだろう…。

イシス、何か起こったとしても関わるな。
疑いをかけられたり、利用されるようなことがあってはならん…放っておけ。自分の身を守ることを考えなさい。
皇族同士、貴族同士の蹴落とし合いなど、日常茶飯事なのだからな」

「……………」

「…と、言いたいところだが…我が娘は放っておくことなど無理であろうなぁ」


お義父様は困ったような顔をして、私の頭をポンポンと撫でる。


「いいか、イシス。茶会で誰かの企みを防いだとして…だから終わりという話ではないのだ。
エリック殿下が皇太子に決まっても同じだ。殿下の失脚を狙い、権力を欲する者は…今後もどこからか現れる。

私は、黒い陰謀が口を開けて獲物を待つような場所に…純粋なお前を放り込みたくはない」


お義父様は…いつだって私のことを気にかけてくださっているのね。
大好きな優しいお義父様に…ギュッと抱き着く。


「ですが、フェルナンド様をお1人で行かせたりはいたしませんわ。
それに…側近として復帰される大切な日なのです。その場で騒ぎを起こす者がいるのならば、私は許すことはできません」

「まぁ…そうだろうな…」

「明日、フェルナンド様がクリストファー殿下とお会いになりますの。復帰前のご挨拶と細かな打ち合わせなのですが…私も一緒に行ってまいります。…何か分かるかも…」

「イシス、あまり深入りするな」


分かっていますわ、お義父様。
関わるなら…100%・完全勝利が条件ってことですよね?


──────────


「…夫人?…このようなところで何を?」

「あ…エリック殿下」


宮殿で、お茶会の会場となるサロンを下見していた私は…案内してくれた女官が急な用で借り出されたために1人になっていた。

偶々通りかかった殿下にお声をかけていただいたので、とりあえず…礼儀正しくカーテシーをする。


「お1人ですか?付き添いの者はどこに?」


エリック殿下が少し焦った様子で…皇后陛下と同じエメラルドグリーンの瞳をキョロキョロとさせている。

キリッと凛々しいお顔立ちなのに…そのご様子は何だか可愛らしかった。


「殿下、大丈夫ですわ。私が構わないと言ったものですから…どうかお気になさらないでください。
迷子にはなりませんので、ご心配には及びませんわ。
殿下こそ…お1人でどうなさったのですか?」

「あぁ、今日は婚約者と会う予定でしたが…急に体調を崩したようで中止に。
婚約者に花を届ける手配を護衛の者に頼んだので、偶々1人で…部屋へと戻るところでした」

「まぁ…ご婚約者様が…?…そうでしたの。殿下からのお花が届けば、きっとお元気になられますわね」


私は笑顔で話しながら、何となく周りの気配を読む。


エリック殿下は魔力をお持ちだし、影も付いてる…安心ね。




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