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99 天井
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ルキアスが目覚めて最初に見たのは知らない天井だった。知らないカーテンに知らない窓。明るい室内は埃一つ無いかのようだ。
(リアルな夢だな……)
まだまだぼんやりした頭で考えたのがそれだ。しかしもう少し頭がはっきりしたところで違和感に気付いた。
(いや、夢じゃない!)
衝動的に飛び起きるが、その瞬間に酷い目眩を感じてまた倒れ込む。
「気が付いたの……ね? でもまだ寝てなくちゃダメ……よ。まだ熱があるのだから……ね?」
ルキアスは声の方を向いた。リュミアだ。カーテンの脇から顔を覗かせている。
「先生……?」
「直にザネクも来る……わ」
「……。ザネクにもお礼言わなきゃ……」
ルキアスは水中から脱出した時に最初に会ったのがザネクだと思い出した。そして連想してもう一人思い出す。
「そうだ。ロマさん! ロマさんは大丈夫ですか!?」
ルキアスはまた起き上がろうとして失敗した。
「落ち着い……て。ロマさんって一緒に居た人よ……ね? その人なら無事……よ。隣に寝ている……わ」
隣のベッドはカーテンに仕切られていて見えない。ルキアスの視線でそれに気付いたリュミアがカーテンを引いた。
そこのベッドで眠っているのは間違いなくロマだ。顔に白い布が被せられていたりはしない。
「ロマさん。良かった……」
ルキアスは大きく安堵の息を吐いた。
「あの……。ところでここは?」
「ここは病院の病室……ね」
「え!? ぼくどのくらい寝てました!?」
「丸一日と半分……ね」
その答えに喫驚したルキアスはまた起き上がろうとして失敗した。
「まだ寝てなくちゃダメ……よ?」
リュミアは少し咎め立てするように言った。
「でもぼくお金持ってないから、病院代なんて払えません!」
丸一日以上寝ていただなんて一体幾ら請求されるか判ったものではない。一刻も早くここから出なければと心が焦る。
「心配要らない……わ。今回はタワーの防衛機構の故障が原因だから費用はタワー持ち……よ」
単に「タワー」呼ぶ場合はベクロテの行政及び役所を指す。
ルキアスの身体から力が抜けた。
「助かった……」
ここで治療費を請求されようものなら良くてルキアスにとって多額の借金を抱えるところだ。支払えないことを罪に問われてしまえば救われない。
だから甚だ安堵した。するとそれに応えるように腹が鳴った。
「お腹、空いたかし……ら?」
「はい……」
ちょうどここでドアがノックされる音と開く音がした。
「お邪魔いたしますわ」
微かに聞こえた声と共に足音が近付き、ロマの眠るベッドを過ぎた所でその音の持ち主が見えた。
「あら、気が付かれましたのね」
「エリリース? どうして?」
「リュミア先生から知らせていただいたのですわ。何でもルキアスが人を救助して、自らは瀕死だったとか」
「ううん。違うよ。助けられたのはぼくの方だから」
「そうなんですの? ルキアスがどなたか背負って水の中から這い上がって来たように伺いましたが」
「あ、その人がぼくに危険を知らせてくれたんだ。もしその人が来てくれなかったら今頃ぼくは溺れ死んでたよ」
「そう言うことですのね」
エリリースは頷いた。
「あ、そうそう。お見舞いを持って来たのですわ。果物は如何かしら?」
「うん。ちょうどお腹が空いてたんだ。いただくよ」
「それではリンゴを剥いて差し上げますわ」
「ありがとう!」
ルキアスは「エリリースにリンゴを剥いて貰えるなんて」と内心で小躍りした。しかし直ぐに後悔する。エリリースの手付きが危なっかしくてハラハラしてしまう。リュミアを見れば、同じようにハラハラした表情をしている。
そしてリンゴを半分の大きさにしつつもどうにか剥き終えた時、ルキアスもリュミアも深く深く息を吐いた。
エリリースが小首を傾げる。
「どうかなさいまして?」
「ううん! ありがとう! いただくよ!」
取り繕うように言いつつ、ルキアスはリンゴを頬張った。
(リアルな夢だな……)
まだまだぼんやりした頭で考えたのがそれだ。しかしもう少し頭がはっきりしたところで違和感に気付いた。
(いや、夢じゃない!)
衝動的に飛び起きるが、その瞬間に酷い目眩を感じてまた倒れ込む。
「気が付いたの……ね? でもまだ寝てなくちゃダメ……よ。まだ熱があるのだから……ね?」
ルキアスは声の方を向いた。リュミアだ。カーテンの脇から顔を覗かせている。
「先生……?」
「直にザネクも来る……わ」
「……。ザネクにもお礼言わなきゃ……」
ルキアスは水中から脱出した時に最初に会ったのがザネクだと思い出した。そして連想してもう一人思い出す。
「そうだ。ロマさん! ロマさんは大丈夫ですか!?」
ルキアスはまた起き上がろうとして失敗した。
「落ち着い……て。ロマさんって一緒に居た人よ……ね? その人なら無事……よ。隣に寝ている……わ」
隣のベッドはカーテンに仕切られていて見えない。ルキアスの視線でそれに気付いたリュミアがカーテンを引いた。
そこのベッドで眠っているのは間違いなくロマだ。顔に白い布が被せられていたりはしない。
「ロマさん。良かった……」
ルキアスは大きく安堵の息を吐いた。
「あの……。ところでここは?」
「ここは病院の病室……ね」
「え!? ぼくどのくらい寝てました!?」
「丸一日と半分……ね」
その答えに喫驚したルキアスはまた起き上がろうとして失敗した。
「まだ寝てなくちゃダメ……よ?」
リュミアは少し咎め立てするように言った。
「でもぼくお金持ってないから、病院代なんて払えません!」
丸一日以上寝ていただなんて一体幾ら請求されるか判ったものではない。一刻も早くここから出なければと心が焦る。
「心配要らない……わ。今回はタワーの防衛機構の故障が原因だから費用はタワー持ち……よ」
単に「タワー」呼ぶ場合はベクロテの行政及び役所を指す。
ルキアスの身体から力が抜けた。
「助かった……」
ここで治療費を請求されようものなら良くてルキアスにとって多額の借金を抱えるところだ。支払えないことを罪に問われてしまえば救われない。
だから甚だ安堵した。するとそれに応えるように腹が鳴った。
「お腹、空いたかし……ら?」
「はい……」
ちょうどここでドアがノックされる音と開く音がした。
「お邪魔いたしますわ」
微かに聞こえた声と共に足音が近付き、ロマの眠るベッドを過ぎた所でその音の持ち主が見えた。
「あら、気が付かれましたのね」
「エリリース? どうして?」
「リュミア先生から知らせていただいたのですわ。何でもルキアスが人を救助して、自らは瀕死だったとか」
「ううん。違うよ。助けられたのはぼくの方だから」
「そうなんですの? ルキアスがどなたか背負って水の中から這い上がって来たように伺いましたが」
「あ、その人がぼくに危険を知らせてくれたんだ。もしその人が来てくれなかったら今頃ぼくは溺れ死んでたよ」
「そう言うことですのね」
エリリースは頷いた。
「あ、そうそう。お見舞いを持って来たのですわ。果物は如何かしら?」
「うん。ちょうどお腹が空いてたんだ。いただくよ」
「それではリンゴを剥いて差し上げますわ」
「ありがとう!」
ルキアスは「エリリースにリンゴを剥いて貰えるなんて」と内心で小躍りした。しかし直ぐに後悔する。エリリースの手付きが危なっかしくてハラハラしてしまう。リュミアを見れば、同じようにハラハラした表情をしている。
そしてリンゴを半分の大きさにしつつもどうにか剥き終えた時、ルキアスもリュミアも深く深く息を吐いた。
エリリースが小首を傾げる。
「どうかなさいまして?」
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