生活魔法は万能です

浜柔

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162 暴風

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 爆風が吹き荒れた。火柱の範囲外のオークが木の葉のように舞い落ちる。膝立ちだったルキアスは吹き飛ばされるように背中から転がって林の木に激突する。ロマやリュミア、ザネクは地面にしがみつくようにして耐え、エリリースは爆風に煽られて横に一回転した後で反射的に地面にしがみつくようにして耐えた。
 張本人たるメイナーダは平気な顔で微動だにしない。その腕に抱き抱えられたユアは遅い時間故にスヤスヤと眠っている。
 立ち上がる火柱は階層の天井を突き、横に広がって柱の直径を数倍する広さに達する。しかしこの場でその光景を見たのも張本人たるメイナーダだけだ。
 そして突如の無風。風が止んだかと思われた。だが違った。風は直後に火柱に吸い寄せられるように吹き荒れる。

「うあああっ!」

 無風になった時に前後不覚のまま不用意に起き上がったルキアスが風に翻弄され、未だ収まらない火柱に吸い寄せられるように転がって行く。このまま転がれば火柱に突っ込むのが必至。あわや、……と思われた瞬間、ロマに手を引かれて止まり、事無きを得た。

「ルキアス! 無事か!?」
「うん! ロマさん! ありがとう!」

 身体のあちこちを打ち付けたり擦ったりで多少の傷は負っているが、動きを阻害されるような怪我はしていない。「無事」の範疇であろう。
 暫くして風が収まると、静けさだけが漂った。ロマが周囲を警戒する。が、動くオークの姿は無い。幾らか撃ち漏らした筈だったが、何処かへ逐電したのだろう。ロマは警戒を解いた。
 が、その目の緊張感はまだ消えない。メイナーダに向かって吊り上げる。

「メイ! 待てっつったろが! やり過ぎだ!」

 ロマ、激おこである。

「危うくルキアスが巻き込まれるところだったろが!」
「あっはっはー。そこはロマを信頼してるからぁ。何とかしてくれるってねっ」

 メイナーダが少し戯けたようにウインクする。ロマは酷く嫌な顔をした。

「お前のそんなところ、ほんとむかつく」
「まあまあいいじゃない。みんな無事だったんだから」
「お前が言うな!」

 ロマ、まだまだおこである。

「まあまあロマさん、メイナーダさんのお陰で助かったのは事実だから……」
「そうね。それは確かだわ……ね」
「はあ……。ルキアス達がそう言うならな……」

 ルキアスとリュミアがロマを宥めに掛かると、ロマはあっさりと矛を収めた。

「ところでルキアスちゃん? ちょっと臭いわよ?」
「え……?」
「あー、アレだな」
「引き上げる前にエリリース共々身体と服を洗ってからにした方が良さそう……ね」
「あ……」

 当然の如くエリリースの方が酷い状況だ。二人は林の中、エリリースについては毛布で目隠しもした中で『湧水』を駆使して身体と服を洗うこととなった。
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