生活魔法は万能です

浜柔

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253 人の記憶も

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 エリリースが確実に魔物を察知できるようになるのと合わせたように第六階層の一通りの探索が終わった。有り体に言うなら地図に座標を書き終えたのだ。見付けた宝箱から出たのは何の変哲もない武器ばかりであった。
 そして今日からは第七階層に進出だ。

「えっと……、間違えてまだ第六階層だってことは無いよね?」

 第六階層を通って降りて来たばかりだと言うのにルキアスがそう感じるのも無理はない。第七階層の入口付近は第六階層と区別が付かない程似ている。せめて階層表示くらいあれば判るのだが、それさえ無いのだ。

「もっと下の階層に行く時に数えてなかったらさっぱりになるかもな」
「何か確かめる方法って無いのかな?」
「あるわ……よ」

 リュミアが答えた。ルキアスが振り向くのを待ってリュミアは続ける。

「座標表示の魔道具のボタンを長押ししたら階層が表示されるの……ね」
「え? そうなんですか?」

 ルキアスは早速取り出して確かめてみる。ルキアスだけでなくザネクとエリリースもだ。
 三秒程度押し続けたら“7”と表示された。

「おお……」

 長押しは教えて貰わなければ意外と気付かない。数字しか表示されないこともあって、たまたま長押ししても誤動作としか思わなかったりするのだ。魔道具屋の店主が忘れているくらいなのだから。

「こんな機能があるならこの魔道具はもっと普及しても良さそうなのに……」
「通っている内に何階層かは何となく判るようになるの……ね。それに少しくらい間違えても問題無いことの方が多いの……ね」
「それも魔物を察知するみたいな感じなんですか?」
「違うわ……ね。経験……よ」

 第六階層と第七階層は共に正面に真っ直ぐ回廊が通っているが、脇道の配置が微妙に違う。そう言ったものを半ば無意識に憶えてしまうのだ。

(人の記憶も魔法みたいだ)

 話を聞いたルキアスは何となくそう思った。
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