生活魔法は万能です

浜柔

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265 減熱

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 ザネク達パーティーの面々に体調管理の不備を謝りつつ探索を終えた明くる夜。昨夜途中で切り上げた骨を繋ぐ検証の続きだ。
 昨夜の失敗は接着そのものが上手くできなかったことによる。

(やっぱり噛み合わせるしかないんだよね……)

 とは言え、骨のパーツに溝を彫り、動かないように噛み合わせるのは必要な精度的にも時間的にも不可能に近い。もっと簡単にしなければ。

(鉄くらい加工しやすかったらな……)

 知らない人が聞けば目を剥いて驚きそうなことを考えつつ、喉の渇きを覚えたルキアスは『収納』からカップを取り出して『湧水』で水を注ぐ。そして一口。

(温っ)

 今の季節は夏の真っ只中。ダンジョンタワー地下二階とは言え、換気に伴って外気温の影響をかなり受ける。何らかの作業をするだけで汗ばむ程度には気温が高いので温い水はいただけない。
 そんな中で水を出す時に水温を下げるのを忘れた。そこいらに水を捨てる訳にも行かず、入れ直すには流し台まで往復だ。

(温度下げられないかな……)

 ルキアスは何となくそう思った。水温の問題だけなので、それを下げられれば流し台まで往復せずに済んで手間要らずだ。

(『加熱』ができるんだから、減熱? ができたっていいんじゃ……)

 ルキアスはカップを見詰めた。

「『加熱』」

 ……水がほかほかになった。

(……行けそうに思ったんだけどな)

 『加熱』で温度を一〇度上げるのも一〇〇度上げるのも魔法の構成自体はほぼ同じだ。籠める魔力次第と言って良い面もある。温度を下げる場合も構成自体はそう変わらない筈だった。
 しかし何かが違った。

(何か参考になるものは……)

 ルキアスは考えつつまたカップを見詰めた。

(あっ! 『湧水』!)

 『湧水』は素の構成では気温に近い温度になる。今さっき出して温かった水がそうだ。しかし温度に係る構成を変更することでささやかながら水温を変更可能なのだ。
 この構成の変更の仕方が温度を上げる時と下げる時では若干異なる。足し算と引き算の違いのようなものだ。
 『湧水』で冷水を出そうとする時には引き算の形で温度を下げるように構成を変更する。
 『加熱』でもこの『湧水』と同じように引き算をしたなら温度を下げられる筈だ。先のルキアスの間違いは負の値を足そうとしたことだった。負の値ではなく正の値として足されてしまったのだ。
 ルキアスは早速試してみる。

「『加……」

 途中で止めた。発動の言葉自体が足すように出来ている感じがした。
 だからそこから変えて試す。

「『冷却』」

 カップの水はひんやりと冷気を纏った。
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