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393 講習を終えて
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昼から始めた講習は終わってみれば二時間掛かっていなかった。ルキアスは会場となった訓練場を後にする人々を眺めながら大きく息を吐く。
「つっかれたーっ」
準備の時間はそれなりに掛かっていても体力的にはそうでもない。それよりも講師の立場の気疲れを強く感じるルキアスだ。
「お疲れさん。どうにか終わらせたな」
「あ、デナンさんもお疲れさま。一時はどうなることかと思ったけど……」
「俺らの見込みが甘かったな。ああも収拾が付かなくなるとは」
「そう……、あ、そうだ」
ルキアスは話の流れで思い出した。目的の人物を探して数歩進み出る。
「タイラクさん! 今日はありがとうございました! お陰で無事に終われました!」
タイラクが呼び掛けに応えるのを待って頭を下げながらお礼を言った。
ところがそれから三拍ほど遅れてデナン達が腰を直角に折りながらタイラクに向けて頭を下げる。
「〃「ありあとしたーっ!」〃」
「えっ?」
その突然の声にルキアスはビクッとなって引いた。
タイラクも頭を押さえて困り顔だ。
「何で俺ばっかり怖がられなきゃならないんだ?」
強さだけで言えばメイナーダも大差無いのにとぼやく。
「見た目って大事よ?」
「そんなのどうしようもねぇだろ」
「だから諦めることね。見ず知らずの人相手に『もしも殴り掛かられたら』って思われるのはしょうがないじゃない?」
「そんなに暴力的に見えるか?」
「見えるわね」
メイナーダの言葉にタイラクはがっくり肩を落とした。
ルキアスはフォローのしようが無い。畏怖を感じてしまうのはあるのだから、下手に言うと嘘くさくなってしまう。
そのまま立ち尽くしていると、メイナーダが「ここはいいから」と言うように手を振るのでそこを離れ、ザネクの許へと移動する。
「ザネク、リュミアさん、今日はありがとう。エリリースも来てくれて嬉しかったよ」
「どういたしましてだ。大した事はしてないがな」
「お役に立てたなら良かった……わ」
「ルキアスの『傘』の進化には驚かされましたわ」
「あはは……。『傘』はぼくの生命線みたいなものだからかな」
「ところでルキアス、あれは何だったんだ? 『傘』に飛び乗ったあれは」
「『傘』を差した後で動いたりもしたわ……ね」
一般には『傘』は術者本人との相対位置で差す。この方が歩く際に『傘』に気を使わなくても一緒に動くのだ。逆に言えば差した後に『傘』だけ残して移動しようと思ってもできない。
「それは私も聞きたいね。ルキアス君の『傘』はそちらのお二人とは一線を画していた。その理由を聞かせて貰えるだろうか?」
「はい。……と言っても、特別にしたのは『傘』の基点が地面になるように弄った事だけです」
ルキアスは床や地面を基点にする改造をする前と後の『傘』の違いを大まかに説明した。
「なるほど。しかし今回の講習ではその点に触れなかったのはどうしてだい?」
「普段使いや練習には通常の『傘』の方が使い易いからです」
雨を避けるため、あるいは単に差し続けるだけなら動いた先に勝手に付いて来て欲しいものなのだ。空を飛ぶなどの特殊な場合以外は基点改造後の出番は無いだろう。
「つっかれたーっ」
準備の時間はそれなりに掛かっていても体力的にはそうでもない。それよりも講師の立場の気疲れを強く感じるルキアスだ。
「お疲れさん。どうにか終わらせたな」
「あ、デナンさんもお疲れさま。一時はどうなることかと思ったけど……」
「俺らの見込みが甘かったな。ああも収拾が付かなくなるとは」
「そう……、あ、そうだ」
ルキアスは話の流れで思い出した。目的の人物を探して数歩進み出る。
「タイラクさん! 今日はありがとうございました! お陰で無事に終われました!」
タイラクが呼び掛けに応えるのを待って頭を下げながらお礼を言った。
ところがそれから三拍ほど遅れてデナン達が腰を直角に折りながらタイラクに向けて頭を下げる。
「〃「ありあとしたーっ!」〃」
「えっ?」
その突然の声にルキアスはビクッとなって引いた。
タイラクも頭を押さえて困り顔だ。
「何で俺ばっかり怖がられなきゃならないんだ?」
強さだけで言えばメイナーダも大差無いのにとぼやく。
「見た目って大事よ?」
「そんなのどうしようもねぇだろ」
「だから諦めることね。見ず知らずの人相手に『もしも殴り掛かられたら』って思われるのはしょうがないじゃない?」
「そんなに暴力的に見えるか?」
「見えるわね」
メイナーダの言葉にタイラクはがっくり肩を落とした。
ルキアスはフォローのしようが無い。畏怖を感じてしまうのはあるのだから、下手に言うと嘘くさくなってしまう。
そのまま立ち尽くしていると、メイナーダが「ここはいいから」と言うように手を振るのでそこを離れ、ザネクの許へと移動する。
「ザネク、リュミアさん、今日はありがとう。エリリースも来てくれて嬉しかったよ」
「どういたしましてだ。大した事はしてないがな」
「お役に立てたなら良かった……わ」
「ルキアスの『傘』の進化には驚かされましたわ」
「あはは……。『傘』はぼくの生命線みたいなものだからかな」
「ところでルキアス、あれは何だったんだ? 『傘』に飛び乗ったあれは」
「『傘』を差した後で動いたりもしたわ……ね」
一般には『傘』は術者本人との相対位置で差す。この方が歩く際に『傘』に気を使わなくても一緒に動くのだ。逆に言えば差した後に『傘』だけ残して移動しようと思ってもできない。
「それは私も聞きたいね。ルキアス君の『傘』はそちらのお二人とは一線を画していた。その理由を聞かせて貰えるだろうか?」
「はい。……と言っても、特別にしたのは『傘』の基点が地面になるように弄った事だけです」
ルキアスは床や地面を基点にする改造をする前と後の『傘』の違いを大まかに説明した。
「なるほど。しかし今回の講習ではその点に触れなかったのはどうしてだい?」
「普段使いや練習には通常の『傘』の方が使い易いからです」
雨を避けるため、あるいは単に差し続けるだけなら動いた先に勝手に付いて来て欲しいものなのだ。空を飛ぶなどの特殊な場合以外は基点改造後の出番は無いだろう。
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