生活魔法は万能です

浜柔

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 ヨーコの話が終わってからルキアスは気付いた。

「結構長く話してたのに通る人が誰もこっちに気を留めなかったよね?」

 広場が在るのは拠点中央とあって、そこそこ人通りがある。だからここで話し込んでいれば誰かしらに話し掛けられても不思議ではないのだ。ところが通り掛かった人はルキアス達が見えないかのように通り過ぎていた。

「話の腰を折られたくなかった故、おぬしの魔力も背景にとけ込ませておったのじゃ」
「それなら誰かしら気付くんじゃない?」
「そうはならぬ。魔力を背景に溶け込ませれば周囲の者の目にはその存在が曖昧に映るのじゃ」
「じゃあ、ここに居るのを誰も気に留める様子が無いのは存在が曖昧だから?」
「その通りじゃ」
「でもそれならぼくだってヨーコを見えなかった筈なんじゃ?」
「それは相性じゃ。おぬしは我と相性が良かったと言うことじゃな。かかかっ!」

 ヨーコは愉快そうに笑った。

「そう言うものなんだ……」
「うむ。我とて相性の悪い相手と話すのは苦痛じゃからの」
「……神様がそれでいいの?」
「我とて元は人間じゃからな。好みくらいあるのじゃ」
「え?」
「言うたであろう? 無主のダンジョンの攻略者がダンジョンの主になると。つまり神じゃ」
「あ……、じゃあヨーコはこのダンジョンの攻略者ってことなんだ?」
「うむ」
「もしかしてこのダンジョンの宝箱から出る魔道具はヨーコが作ったものなの?」
「それは我ではない。我は複製するのみじゃ。元を作ったのは我と共に在った者での、その者はもう居らぬから新しい魔道具が生み出されることは無い」
「その人凄い発明家だったんだね」
「発明家と言うなら発明家じゃが、その殆どは知っておる道具を魔力で動かせる形にしたのみじゃ。バスなどがそうじゃ」
「馬車をそうしたってこと?」
「違う違う。我とその者は天ぷら女神に連れて来られたこの世界とは違う世界の人間なのじゃ。その世界では魔法以外のエネルギーでバスを動かしておって、それを真似たのじゃ」
「他の世界なんて在ったんだ……?」

 異世界の話はルキアスには信じ難くもあったが、ダンジョンには信じ難い事柄が多いのだから「そんなこともあるのだろう」と思うことにした。
 するとヨーコが少しスッキリした表情で立ち上がる。

「話はこれまでじゃ。また会うこともあろう」

 ヨーコはそう言い残して忽然と姿を消した。
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