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456 最寄りの町
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宿を探すにしても闇雲に歩き回るのは草臥れ儲けだ。
「なあ、ちょっと聞きたいんだが、宿屋がどこに在るか知らないか?」
タイラクが通り掛かった人に尋ねるが、その人はタイラクの容貌に一瞬ビクッとなっただけで目を吊り上げた。
「知らないよ! こっちは忙しいんだ! 話し掛けないでくれ!」
そう捲し立てると走り去った。
タイラクは皆の方を見ながら肩を竦めた。
そしてまた別の人に尋ねてみるが、反応は似たようなものだった。
「自力で探すしかねぇな」
タイラクが諦めたように呟き、皆も同意する。
それから宿屋らしき看板を見付けるまでには一時間余りを必要とした。
「邪魔するぞ」
タイラクが声を掛けながらドアを開ける。
中を見れば、右側にカウンターが在り、左側にはテーブルが並べられている。少なくとも飲食店ではあるようだ。カウンターの中では店の人が忙しげに動き回っている。
「なあ、ここは宿屋だろ? 泊まりたいんだが、いいか?」
タイラクが声を掛けると彼は立ち止まってギョロッと睨んで来る。手入れの行き届いた横に伸びる口髭が印象的だ。
「確かに宿屋だが今日はやっていない。判ったらさっさと出て行ってくれ」
「……だったら他の宿を紹介してくれないか? 在るか無いかも判らないもんをこれ以上探し回るのは勘弁だぜ」
「教えたところでどこもやってないだろうさ」
「何故だ?」
「何故も何もあんたら東で起こった火柱の話を聞いてないのか? 天変地異の前触れだって専らの噂だぞ? こうしてる間に天変地異が起きたらどうしてくれるんだ? あ?」
「起きないわよ」
メイナーダがタイラクの後から口を挟んだ。
「だってその火柱はわたし達がやった事なんだから」
ルキアスはギョッとしたが、表情に出すのをどうにか堪えた。
「どう言う事だ?」
口髭男の声が低くなり、凄みを含む。
「そう言う使い捨ての魔道具を使ったの」
「魔道具だと? 魔道具だと言うならその魔道具見せてみろ」
「使い捨てって言ったでしょ。もう残ってないわ」
「……だったらどうしてそんな貴重なものを使った?」
「わたし達の恰好を見て判らない? わたし達は探索者。ダンジョンを探してためよ」
「この近くにダンジョンなんぞは無い」
「在るわよ。見付けたの。見付けるために湿地の森の一部を焼き払ったのが火柱よ」
ルキアスは内心で頷いた。火柱の理由を隠したままでは埒が明かないが、魔法で焼き払ったと言えば警戒され、場合によってはこの町を拠点にできなくなってしまう。メイナーダがベクロテに居づらくなったのは魔法の威力が原因の一つなのだから、あまり大っぴらにはしたくないところだ。しかし火柱の原因を魔道具にしてしまえばそんな心配も要らない。
だが口髭男は胡散臭げにメイナーダを見るだけだ。
「何なら案内するわよ? あなたの目で見れば信じられるんじゃない? この町はダンジョンの最寄りだから、ダンジョンが在ると知られれば宿が繁盛するわよ?」
口髭男は黙ってメイナーダを睨み続ける。そして……。
「……判った。泊めてやろう。だから言葉通りにダンジョンに案内しろよ?」
ルキアス達はどうにか宿を確保できた。
「なあ、ちょっと聞きたいんだが、宿屋がどこに在るか知らないか?」
タイラクが通り掛かった人に尋ねるが、その人はタイラクの容貌に一瞬ビクッとなっただけで目を吊り上げた。
「知らないよ! こっちは忙しいんだ! 話し掛けないでくれ!」
そう捲し立てると走り去った。
タイラクは皆の方を見ながら肩を竦めた。
そしてまた別の人に尋ねてみるが、反応は似たようなものだった。
「自力で探すしかねぇな」
タイラクが諦めたように呟き、皆も同意する。
それから宿屋らしき看板を見付けるまでには一時間余りを必要とした。
「邪魔するぞ」
タイラクが声を掛けながらドアを開ける。
中を見れば、右側にカウンターが在り、左側にはテーブルが並べられている。少なくとも飲食店ではあるようだ。カウンターの中では店の人が忙しげに動き回っている。
「なあ、ここは宿屋だろ? 泊まりたいんだが、いいか?」
タイラクが声を掛けると彼は立ち止まってギョロッと睨んで来る。手入れの行き届いた横に伸びる口髭が印象的だ。
「確かに宿屋だが今日はやっていない。判ったらさっさと出て行ってくれ」
「……だったら他の宿を紹介してくれないか? 在るか無いかも判らないもんをこれ以上探し回るのは勘弁だぜ」
「教えたところでどこもやってないだろうさ」
「何故だ?」
「何故も何もあんたら東で起こった火柱の話を聞いてないのか? 天変地異の前触れだって専らの噂だぞ? こうしてる間に天変地異が起きたらどうしてくれるんだ? あ?」
「起きないわよ」
メイナーダがタイラクの後から口を挟んだ。
「だってその火柱はわたし達がやった事なんだから」
ルキアスはギョッとしたが、表情に出すのをどうにか堪えた。
「どう言う事だ?」
口髭男の声が低くなり、凄みを含む。
「そう言う使い捨ての魔道具を使ったの」
「魔道具だと? 魔道具だと言うならその魔道具見せてみろ」
「使い捨てって言ったでしょ。もう残ってないわ」
「……だったらどうしてそんな貴重なものを使った?」
「わたし達の恰好を見て判らない? わたし達は探索者。ダンジョンを探してためよ」
「この近くにダンジョンなんぞは無い」
「在るわよ。見付けたの。見付けるために湿地の森の一部を焼き払ったのが火柱よ」
ルキアスは内心で頷いた。火柱の理由を隠したままでは埒が明かないが、魔法で焼き払ったと言えば警戒され、場合によってはこの町を拠点にできなくなってしまう。メイナーダがベクロテに居づらくなったのは魔法の威力が原因の一つなのだから、あまり大っぴらにはしたくないところだ。しかし火柱の原因を魔道具にしてしまえばそんな心配も要らない。
だが口髭男は胡散臭げにメイナーダを見るだけだ。
「何なら案内するわよ? あなたの目で見れば信じられるんじゃない? この町はダンジョンの最寄りだから、ダンジョンが在ると知られれば宿が繁盛するわよ?」
口髭男は黙ってメイナーダを睨み続ける。そして……。
「……判った。泊めてやろう。だから言葉通りにダンジョンに案内しろよ?」
ルキアス達はどうにか宿を確保できた。
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