生活魔法は万能です

浜柔

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 メイナーダの操る火炎の絨毯を抜けて直ぐ、フヨヨンが魔道具の魔法を斉射。付近の魔物を一掃する。
 この空いた空間にタイラクが飛び降りて周囲の魔物を斬り倒し、フヨヨンが今度は進行方向に少し離れた魔物に狙いを定めて魔道具の魔法を撃ち、シャルウィはフヨヨンの撃ち漏らしを狙って魔法を撃つ。
 この体勢のままタイラク、フヨヨン、ザネク、シャルウィは地上へと急いだ。
 第一階層と地上を結ぶ回廊内の魔物を殲滅して外――町の構造上は地階――に出ると、魔物の姿はまばらだった。
 目を惹いたのは正面の壁に開いた窓から撃ち出された魔法で魔物が屠られていることだ。

「あれはボクが作った砲台だね」

 砲台の第一階層から撤去された後の行方を知らなかった一同はこの時初めて行方を知った。

「あんな所にあったんだ……」
「有効活用されていて喜ばしい限りだよ」

 ダンジョンから魔物が溢れた際の防衛戦の一角を担うのだからとても有意義な移転先だ。
 また、砲台の両脇の壁には四角く大きく入口が開いている。隠し扉だったらしい。

「あそこは魔物を地下に誘導して魔物が地上に出るのを遅らせる仕組みだね」
「遅らせるのはいいんだけど、魔物が地上を支えている柱を壊したらどうするのかしら?」
「そこは実に悩ましい問題だね。ただ今のところは柱を壊せるような魔物は出てないんじゃないかな」

 柱自身にも装甲が着けられていると思われるし、ダンジョンから溢れたのは日頃から浅い階層を徘徊する魔物ばかりの様子だ。

「ともかく、タイラクは砲台に巻き込まれないよう、一旦『傘』に乗ってくれたまえよ」

 ザネクが『傘』を下ろし、それにタイラクが跳び乗ると、ザネクはまた『傘』を上昇させて東側地上へと向かう。
 階段の上の方でも砲台が一基稼働していた。

「そう言えば下に在った砲台は三基だけだったね。きっと西の階段の途中にも一基設置してあるよ」

 効率を求めるならダンジョンの入口正面に五基全てを設置するのが最適だが、人は理性ではない部分で非効率を選び勝ちだ。この場合は「もしもの時」のために二段構えにしたのだろう。「度し難いものだね」とフヨヨンは頭を振った。
 階段の上まで行くと、探索者が階段を遠巻きにするように待ち構えていた。お陰で魔物に町の中までの浸入は許してない様子だ。
 四人がホッとした。ところがそれも束の間、飛ぶ『傘』を見た探索者達に動揺が走った。ここに集まっている探索者はベクロテ出身ばかりではなく、ベクロテ出身者でも『傘』が飛ぶ様子を見たことのない者が多い。

「……迂闊だったね。砲台に気を取られすぎてたよ。でもまあ、こっちは大丈夫そうだから念のため西に行ってみよう」
「おう」

 『傘』が騒ぎの原因になりそうな気配がしたので早々に退散だ。
 ザネクは急いで『傘』を上空に上げ、西側へと飛ぶ。背後から飛んで来る更なら動揺の気配はこの際無視だ。
 こうしてあくまで念のためで飛んで来たにも拘らず、四人は西側の状況に焦った。
 西側の町が半ば破壊されていたのだ。
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