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翌朝目を覚ました時、どうして目の前に阿見が居るのか分からなくて数十秒硬直してしまった。
視線を回して今居るのが自分の家だというのを確認して、それから必死に昨夜の記憶を熱の出始めた夕方から思い返しているうち、唸る俺に気が付いたのか阿見が瞼を開けた。
「おはよ、ヒロ。熱はどう?」
コツ、と額と額をくっつけられて、目の前が真っ白になって、ついでに昨夜押し掛けてきた彼のことを朧げながら思い出した。
「あ、阿見、やめろ」
「ん?」
「好きでもない奴にそうやって簡単に接触すんのは……」
「俺、前に言わなかったっけ。命令形は嫌だって」
両手で頬を包むようにされて、顔を寄せてきた阿見が唇が触れた状態で話すので寝起きの股間に急激に血が集まってしまう。
「……っ、待、ち、近寄らないでくれ、お願いだから」
吐息が俺の口の中に入ってきて、今唇を吸われたらきっと、完全に勃つ。避けるように頭の角度を変えようとするのに、ぐぎぎ、と骨の軋む音がするほど力を込めても阿見が馬鹿力で押さえ込んできていて敵わない。
「俺に寄られるの、嫌い?」
「っ、……!」
阿見は俺の顔を固定したまま身体まで上に乗ってきて、そして唇を重ねてきた。差し込まれた舌が俺の舌に絡んできて、唇が唾液を欲しがるように吸ってくる。
びくびくと腰が跳ね、熱が集まって硬くなった肉に擦り付けるように阿見の股間が押し付けられた。ぴたりと隙間を無くしたいみたいに覆い被さってきた阿見が、口付けながら猛った股間同士を擦り合わせるように小刻みに揺れる。
「ん、……っ、んぁ」
「かわいい」
俺が抵抗しないと判断したのか、阿見は片手を俺の顔から離して顎の下を撫でてきた。指先に擽られて、ぞわぞわとした軽い性感に震える。阿見の指先はゆっくり下へと降りてきて、スウェットの上から突起を探すように弄り始めた。五本の指が俺の胸の上を何度も往復して、焦らされて触って欲しいと主張するように勝手に突起が硬く尖っていく。
「っ!」
阿見の指先に引っ掛かってしまった突起が、ガリ、と爪に強く擦られて腰が浮いた。阿見に押し付けてしまった股間がはち切れて、そこに熱いものが広がる感覚がある。
「や……っ、阿見、ちょっと」
「だめ」
唇を離した阿見が、服の布地の上からでもぷっくりと浮かんで主張するそこに顔を寄せて歯を立てた。
「あッ」
がじがじと強めに噛まれ、けれど厚めの布越しだからか痛みの全てを感じられずに背中が弓なりに反る。
「阿見っ、……や、……も……」
「もう、なに?」
視線を下げると、阿見が齧った所だけ灰色のスウェットが黒く濡れていた。もう片方の乳首も触れて欲しくて布地を下から押して影を落としていて、なのに阿見の指はわざとそこを避けてやわやわと胸を揉んでくる。
パンツの中がベタついて気持ち悪い。達した直後でもまだ硬い俺の裏筋を阿見の猛ったものでゴリゴリ擦られて、反った背筋が浮いたまま戻らない。
「お、願……ぃ、直接……っ」
「直接、なに」
「……さわ、って……」
恥を忍んで言葉にしたのに、それを聞いた阿見はフッと愉しげに目を細めて、
「どこに?」
と質問を重ねてきた。
どこって、もう、どこだか分からない。
「……全、部……」
阿見に触られたら何処だって気持ちいいに決まっていて、だからそう答えた。早く、と見つめて急かすのに、阿見は一層目を細く弧にして、焦らすようにゆっくりと上に着たスウェットを腹の方から捲ってくる。
「はい、脱ぎ脱ぎしましょうね」
下着と一緒くたに、スウェットが両腕と首から抜かれていった。甘い声で揶揄うように幼子扱いされて、けれどそれが嫌じゃないのはなんでだろう。
阿見の背中にある掛け布団が彼の体と一緒に離れていって、隙間の出来たところから冷たい空気が入ってきてぶるりと身震いした。
「寒いなら下はそのままにする?」
俺の服を脱がしながらも素肌に触れてくれない阿見の指先が、スウェットズボンの腰ゴムの上を撫でていく。視線を下ろせば股間の方もぐっしょりと濡れて濃い色になっていて、漏らしたみたいで恥ずかしくて唇を噛んだ。
脱ぐ、と小さく言って、自分で腰を浮かそうとするのに阿見が指を重ねてきた。
「っ……!」
腰を親指の爪が掠っていって、息を詰めて背中が浮く。くす、と笑った阿見が「お尻浮かせてくれないと脱げないでしょ」と腰骨を叩いてきて、それだけでまた身震いした。
今何時なんだろう。俺の部屋に時計は置いていなくて、時間が分かるのはスマホだけだ。
閉めたままの藍色のカーテンの外から漏れてきた昼間の陽光が、素っ裸にされていく俺を照らして晒す。
阿見の手によってズボンと下着が下されて白濁に濡れた股間が露わになった。彼の視線を感じるだけで期待にビクビク震える陰茎が恥ずかしいのに、それとなく隠そうとした手は阿見によって退けられてしまう。
「俺に触って欲しいんでしょ。手はこっち」
指を握るように両手を頭の横まで持ち上げられて、掛け布団の温もりと共に阿見が俺の上に戻ってきた。
ちゅう、と額を吸われて、覆い被さる阿見の服が肌に触れてから慌ててまた股間に手をやった。阿見の服が汚れるから、と咄嗟に気を遣ったのに、どろりと目を濁らせた彼は上体を起こして即座に俺の頬を張った。
バチ、と音を立て、叩かれた頬は一瞬熱く感じてからじりじりとした痛みに変わる。
「っ、あの、汚れ」
理由を教えようと口を開いたのに、返す手の甲でもう一度叩かれる。
気遣っただけなのに、と目尻に涙を溜める俺を見下ろして、阿見は殊更に優しく微笑んだ。
「ヒロ。ヒロはね、俺の言うことを聞いてればいいの。言ってる意味、分かる? 分かるなら、どうしたらいいかも分かるね?」
見開いた目に脅され、両手を顔の横まで戻した。
叩かれた頬に、阿見がご褒美のように口付けを落としてくる。
着衣の阿見がそのまま汚れた俺の股間の上に乗ってきて、ぷちゅ、と粘つく破裂音がした。硬くなった陰茎を布越しに押し付けながら、阿見の手が俺の首筋からゆっくりと下に降りていく。さっきは全く触れてくれなかったのに、今度は掌全体でじっとりと撫でるように肌の上を移動して、けれどまた突起の上だけは避けていく。
「ふ……っ」
「ねぇ、また俺、約束破ったんだけど。怒らなくていいの?」
「……? なん」
「気持ち良かったらなんでも許しちゃう?」
「んっ、ィッ」
愛おしむみたいに頬を染めている癖に、全く笑っていない目で阿見は急に両方の乳首を爪で捻り上げてきた。刺すような痛みに胸を喘がせたけれど、その爪が外れることは無い。ギリギリと短いが鋭い爪の間で千切られそうに捻った状態で更に引っ張られて、目の奥から溢れてきた涙が耳の方へ流れた。
痛くて、痛過ぎて、けれど勃起した股間の上で阿見に腰を揺すられると喉から甘い声が漏れた。
「ぁ……っ、や、……ふ、うぅ」
揺れる視界でここが自分の家なのだと思い出し、必死で息を吸って声を我慢する。ぎゅっと瞼を閉じるとボロボロと大粒の涙が溢れて、顔を寄せてきた阿見がそれに吸い付く音がした。じゅ、ちゅう、と涙を吸って、眦から入ってこようとした舌先が一瞬止まってから涙を追うようにこめかみへ移動していく。
前に俺が嫌だと言ったのを覚えていてくれたのだ、とふっと息を吐いた。アホだし、身勝手だし、凶暴だけれど、理由も無く約束を破る奴じゃない。今叩かれたのは言いつけられた直後に破った俺が悪いし、と考えてから、もしかしたら先週彼が乱暴だったのも何か理由があったのか、と今更思い至った。
摘んだ乳首をやっと離した阿見は、今度は逆に癒すようにそこをそっと舌で舐めてくる。唾液を纏った温かい舌にぬるりと撫ぜられ、息が上がった。声を我慢する為に噛んだ唇がジンジンと痺れる。先端にチリ、と痛みが走った後、びりびりと身体の奥に響いてきてそのまま陰茎の方へ波が寄せてきた。
片方を優しく舐め終えると、もう片方も同じくされる。たっぷり阿見の唾液を塗り付けられた突起は、そのまま彼の指に捏ね回され始めた。
「ん、んん、っ、……っ」
弱い先端を嬲られたかと思えば、唾液で滑ったみたいに予測しないタイミングで爪に引っ掻かれる。くにゅくにゅと阿見の指の腹に撫でられたり潰されたりして、声を出さないようにずっと息を吸ったままになって視界が白く染まっていく。
「ヒロ。息しないと死んじゃうよ」
「は……っ、あッ」
先端を指先に弾かれて、耐えきれず高い声が出た。口元を押さえようとした手を、ぐっと堪えて必死に呼吸に変える。
声を出さないようにひゅうひゅうと息をする俺を見て、阿見は俺の両手それぞれに真上から指を絡めるように握ってきた。ぎゅ、と併さった掌の中で空気が潰れて、滲んだ汗でぺたりとくっつく。顔を寄せてきた阿見が俺の乾ききった唇を軽く舐めてから舌を入れてきた。
舌先同士が触れてから、お互い相手の動向を探るように控えめに動く。呼吸のし過ぎで乾いた口に阿見の唾液は甘くて、欲しがるみたいに吸うとぐっと舌が押し込まれてきた。俺の舌の上を阿見の舌が這って甘い汁をくれる。ぞくぞくとした震えが背筋のラインをなぞるように下りていって、股間へ辿り着くと身体の奥から突き上げてくる熱に変わった。
「ん……、ぁ、……は……あ、ああ、ぁ」
今日の阿見のキスは執拗で、濃厚なそれに煽られてどくどくと精を吐かされてやっと彼は唇を離してくれた。数度跳ねた腰の上で、阿見が俺の肉が柔らかくなったのを確認するみたいに揺れる。
「あ、み、まだ」
「まだ出来る?」
「違……、そうじゃ、なくて」
恋人同士がセックスする時のように繋がれていた手が離れていって、空気に触れたところの汗が冷えてやり場のない気持ちに拳を握った。
ここまでしてくれるのに、阿見は俺を『好きじゃない』のか。考えたくないのに、ふと我にかえるとその言葉が浮かんでくる。
そろそろ阿見の方も俺の口を使って出す頃合いだろうか、と呼吸を整える俺の下腹をつぅと阿見の人差し指の先が撫でて、そして全く予想外のことを言い出した。
「ね、ヒロ。男同士でもさ、ここに挿入れられるんだっけ?」
視線を回して今居るのが自分の家だというのを確認して、それから必死に昨夜の記憶を熱の出始めた夕方から思い返しているうち、唸る俺に気が付いたのか阿見が瞼を開けた。
「おはよ、ヒロ。熱はどう?」
コツ、と額と額をくっつけられて、目の前が真っ白になって、ついでに昨夜押し掛けてきた彼のことを朧げながら思い出した。
「あ、阿見、やめろ」
「ん?」
「好きでもない奴にそうやって簡単に接触すんのは……」
「俺、前に言わなかったっけ。命令形は嫌だって」
両手で頬を包むようにされて、顔を寄せてきた阿見が唇が触れた状態で話すので寝起きの股間に急激に血が集まってしまう。
「……っ、待、ち、近寄らないでくれ、お願いだから」
吐息が俺の口の中に入ってきて、今唇を吸われたらきっと、完全に勃つ。避けるように頭の角度を変えようとするのに、ぐぎぎ、と骨の軋む音がするほど力を込めても阿見が馬鹿力で押さえ込んできていて敵わない。
「俺に寄られるの、嫌い?」
「っ、……!」
阿見は俺の顔を固定したまま身体まで上に乗ってきて、そして唇を重ねてきた。差し込まれた舌が俺の舌に絡んできて、唇が唾液を欲しがるように吸ってくる。
びくびくと腰が跳ね、熱が集まって硬くなった肉に擦り付けるように阿見の股間が押し付けられた。ぴたりと隙間を無くしたいみたいに覆い被さってきた阿見が、口付けながら猛った股間同士を擦り合わせるように小刻みに揺れる。
「ん、……っ、んぁ」
「かわいい」
俺が抵抗しないと判断したのか、阿見は片手を俺の顔から離して顎の下を撫でてきた。指先に擽られて、ぞわぞわとした軽い性感に震える。阿見の指先はゆっくり下へと降りてきて、スウェットの上から突起を探すように弄り始めた。五本の指が俺の胸の上を何度も往復して、焦らされて触って欲しいと主張するように勝手に突起が硬く尖っていく。
「っ!」
阿見の指先に引っ掛かってしまった突起が、ガリ、と爪に強く擦られて腰が浮いた。阿見に押し付けてしまった股間がはち切れて、そこに熱いものが広がる感覚がある。
「や……っ、阿見、ちょっと」
「だめ」
唇を離した阿見が、服の布地の上からでもぷっくりと浮かんで主張するそこに顔を寄せて歯を立てた。
「あッ」
がじがじと強めに噛まれ、けれど厚めの布越しだからか痛みの全てを感じられずに背中が弓なりに反る。
「阿見っ、……や、……も……」
「もう、なに?」
視線を下げると、阿見が齧った所だけ灰色のスウェットが黒く濡れていた。もう片方の乳首も触れて欲しくて布地を下から押して影を落としていて、なのに阿見の指はわざとそこを避けてやわやわと胸を揉んでくる。
パンツの中がベタついて気持ち悪い。達した直後でもまだ硬い俺の裏筋を阿見の猛ったものでゴリゴリ擦られて、反った背筋が浮いたまま戻らない。
「お、願……ぃ、直接……っ」
「直接、なに」
「……さわ、って……」
恥を忍んで言葉にしたのに、それを聞いた阿見はフッと愉しげに目を細めて、
「どこに?」
と質問を重ねてきた。
どこって、もう、どこだか分からない。
「……全、部……」
阿見に触られたら何処だって気持ちいいに決まっていて、だからそう答えた。早く、と見つめて急かすのに、阿見は一層目を細く弧にして、焦らすようにゆっくりと上に着たスウェットを腹の方から捲ってくる。
「はい、脱ぎ脱ぎしましょうね」
下着と一緒くたに、スウェットが両腕と首から抜かれていった。甘い声で揶揄うように幼子扱いされて、けれどそれが嫌じゃないのはなんでだろう。
阿見の背中にある掛け布団が彼の体と一緒に離れていって、隙間の出来たところから冷たい空気が入ってきてぶるりと身震いした。
「寒いなら下はそのままにする?」
俺の服を脱がしながらも素肌に触れてくれない阿見の指先が、スウェットズボンの腰ゴムの上を撫でていく。視線を下ろせば股間の方もぐっしょりと濡れて濃い色になっていて、漏らしたみたいで恥ずかしくて唇を噛んだ。
脱ぐ、と小さく言って、自分で腰を浮かそうとするのに阿見が指を重ねてきた。
「っ……!」
腰を親指の爪が掠っていって、息を詰めて背中が浮く。くす、と笑った阿見が「お尻浮かせてくれないと脱げないでしょ」と腰骨を叩いてきて、それだけでまた身震いした。
今何時なんだろう。俺の部屋に時計は置いていなくて、時間が分かるのはスマホだけだ。
閉めたままの藍色のカーテンの外から漏れてきた昼間の陽光が、素っ裸にされていく俺を照らして晒す。
阿見の手によってズボンと下着が下されて白濁に濡れた股間が露わになった。彼の視線を感じるだけで期待にビクビク震える陰茎が恥ずかしいのに、それとなく隠そうとした手は阿見によって退けられてしまう。
「俺に触って欲しいんでしょ。手はこっち」
指を握るように両手を頭の横まで持ち上げられて、掛け布団の温もりと共に阿見が俺の上に戻ってきた。
ちゅう、と額を吸われて、覆い被さる阿見の服が肌に触れてから慌ててまた股間に手をやった。阿見の服が汚れるから、と咄嗟に気を遣ったのに、どろりと目を濁らせた彼は上体を起こして即座に俺の頬を張った。
バチ、と音を立て、叩かれた頬は一瞬熱く感じてからじりじりとした痛みに変わる。
「っ、あの、汚れ」
理由を教えようと口を開いたのに、返す手の甲でもう一度叩かれる。
気遣っただけなのに、と目尻に涙を溜める俺を見下ろして、阿見は殊更に優しく微笑んだ。
「ヒロ。ヒロはね、俺の言うことを聞いてればいいの。言ってる意味、分かる? 分かるなら、どうしたらいいかも分かるね?」
見開いた目に脅され、両手を顔の横まで戻した。
叩かれた頬に、阿見がご褒美のように口付けを落としてくる。
着衣の阿見がそのまま汚れた俺の股間の上に乗ってきて、ぷちゅ、と粘つく破裂音がした。硬くなった陰茎を布越しに押し付けながら、阿見の手が俺の首筋からゆっくりと下に降りていく。さっきは全く触れてくれなかったのに、今度は掌全体でじっとりと撫でるように肌の上を移動して、けれどまた突起の上だけは避けていく。
「ふ……っ」
「ねぇ、また俺、約束破ったんだけど。怒らなくていいの?」
「……? なん」
「気持ち良かったらなんでも許しちゃう?」
「んっ、ィッ」
愛おしむみたいに頬を染めている癖に、全く笑っていない目で阿見は急に両方の乳首を爪で捻り上げてきた。刺すような痛みに胸を喘がせたけれど、その爪が外れることは無い。ギリギリと短いが鋭い爪の間で千切られそうに捻った状態で更に引っ張られて、目の奥から溢れてきた涙が耳の方へ流れた。
痛くて、痛過ぎて、けれど勃起した股間の上で阿見に腰を揺すられると喉から甘い声が漏れた。
「ぁ……っ、や、……ふ、うぅ」
揺れる視界でここが自分の家なのだと思い出し、必死で息を吸って声を我慢する。ぎゅっと瞼を閉じるとボロボロと大粒の涙が溢れて、顔を寄せてきた阿見がそれに吸い付く音がした。じゅ、ちゅう、と涙を吸って、眦から入ってこようとした舌先が一瞬止まってから涙を追うようにこめかみへ移動していく。
前に俺が嫌だと言ったのを覚えていてくれたのだ、とふっと息を吐いた。アホだし、身勝手だし、凶暴だけれど、理由も無く約束を破る奴じゃない。今叩かれたのは言いつけられた直後に破った俺が悪いし、と考えてから、もしかしたら先週彼が乱暴だったのも何か理由があったのか、と今更思い至った。
摘んだ乳首をやっと離した阿見は、今度は逆に癒すようにそこをそっと舌で舐めてくる。唾液を纏った温かい舌にぬるりと撫ぜられ、息が上がった。声を我慢する為に噛んだ唇がジンジンと痺れる。先端にチリ、と痛みが走った後、びりびりと身体の奥に響いてきてそのまま陰茎の方へ波が寄せてきた。
片方を優しく舐め終えると、もう片方も同じくされる。たっぷり阿見の唾液を塗り付けられた突起は、そのまま彼の指に捏ね回され始めた。
「ん、んん、っ、……っ」
弱い先端を嬲られたかと思えば、唾液で滑ったみたいに予測しないタイミングで爪に引っ掻かれる。くにゅくにゅと阿見の指の腹に撫でられたり潰されたりして、声を出さないようにずっと息を吸ったままになって視界が白く染まっていく。
「ヒロ。息しないと死んじゃうよ」
「は……っ、あッ」
先端を指先に弾かれて、耐えきれず高い声が出た。口元を押さえようとした手を、ぐっと堪えて必死に呼吸に変える。
声を出さないようにひゅうひゅうと息をする俺を見て、阿見は俺の両手それぞれに真上から指を絡めるように握ってきた。ぎゅ、と併さった掌の中で空気が潰れて、滲んだ汗でぺたりとくっつく。顔を寄せてきた阿見が俺の乾ききった唇を軽く舐めてから舌を入れてきた。
舌先同士が触れてから、お互い相手の動向を探るように控えめに動く。呼吸のし過ぎで乾いた口に阿見の唾液は甘くて、欲しがるみたいに吸うとぐっと舌が押し込まれてきた。俺の舌の上を阿見の舌が這って甘い汁をくれる。ぞくぞくとした震えが背筋のラインをなぞるように下りていって、股間へ辿り着くと身体の奥から突き上げてくる熱に変わった。
「ん……、ぁ、……は……あ、ああ、ぁ」
今日の阿見のキスは執拗で、濃厚なそれに煽られてどくどくと精を吐かされてやっと彼は唇を離してくれた。数度跳ねた腰の上で、阿見が俺の肉が柔らかくなったのを確認するみたいに揺れる。
「あ、み、まだ」
「まだ出来る?」
「違……、そうじゃ、なくて」
恋人同士がセックスする時のように繋がれていた手が離れていって、空気に触れたところの汗が冷えてやり場のない気持ちに拳を握った。
ここまでしてくれるのに、阿見は俺を『好きじゃない』のか。考えたくないのに、ふと我にかえるとその言葉が浮かんでくる。
そろそろ阿見の方も俺の口を使って出す頃合いだろうか、と呼吸を整える俺の下腹をつぅと阿見の人差し指の先が撫でて、そして全く予想外のことを言い出した。
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