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やだテンプレ(マリン視点)
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異世界に聖女として呼ばれ勇者と共に世界を救うとか。
成川真凛(17)、かんっぜんなるテンプレに巻き込まれ中。
ただテンプレその2の召喚された先が最悪で酷い目に遭って虐待先をざまぁする~の方じゃなくて良かった。無理やり呼び出したのを除けばみんな親切。
何日も食べさせて貰えない外にも出れないとか無理無理。
そして勇者を選べと言われて、なぜか知らない村と人の名前がすらすらと出てきて直感のまま答えたら、なぜか可愛らしい女の子と一緒にお城に連れて来られた。
勇者の事が好きな幼馴染付きかあ。残念。
勇者とのロマンスをちょっと期待したけど、そうだよね。同じ村の好きな男の子が突然お城に連行されたら心配でたまらないよね。
健気なその子…アンヌに、なんだか感動した。
私が住んでる世界はもっと他人と距離があいていて、情に厚すぎるとうざがられるから、この一途さは新鮮だった。
聖地の力を取り戻す旅は、思ってた以上に過酷。
知ってたけど小説読んでるのと、実際におぞましい形のモンスターに遭遇するのとでは恐怖の度合いが違う。
モンスターを初めて見た時は腰が抜けちゃって、兵士の人に抱えて貰いながら逃げ回っていた。
「きゃあああっいやああああっ!!!」
「聖女様!勇者様がモンスターを相手している内に力を注いでください!」
「マリン様落ち着いて!あなたには一匹たりとも近づかせません!」
「そそ、そんなこと言っても…!!」
最初に巡った聖地では兵士に励まされジグに守られ、なんとかかんとか力を注ぐことに成功した。
後から聞いたら、この世界もモンスターなんていないんだって。私以外の人も初めて相対してたんだ。
なのに私ったらパニクって守ってもらうばかりで…護衛の人に怪我させて…情けない声上げて、スカートなのに滅茶苦茶に逃げ回って…ああこれお風呂とか寝る前とかに思い出して鬱々するやつ。
私が剣に聖なる魔力を付与することで兵士もモンスターを退けることが出来る。
勇者にはそんな必要なく、たった三か月の訓練で得たとは思えない剣捌きでモンスターを倒していく。
けど聖地の力を取り戻さない事にはモンスターは無限に湧き出てくるので、結局私がどれだけ迅速に力を注げるかで皆の負担が違ってくるのだ。
「マリン様、あれ見て下さい」
「ん?あれって…あそこにある花のこと?」
「綺麗ですよね。さっきまで萎れていたのにマリン様が聖地に力を与えて下さってから元気を取り戻したんですよ」
「…………うん」
「花が咲くなんて普通の事なのに、そんな普通の事も聖女様がいなければ無くなっていたんです」
「……うん。もしかして励まそうとしてる?」
「はい。バレましたか?内緒のつもりだったんですが」
旅の半ば、知らない世界で知らない町や村に移動してはモンスターを倒す毎日。
疲れが出てるのを見抜かれて慰められたときは流石にときめいちゃった。
だめだめ。ジグ君にはアンヌがいるんだから。
守ってもらうたびに胸をぎゅっと掴まれるような気持になっても、私はこの旅が終わったら日本に帰るんだし。
そこまで無責任なことはしたくない。
「お疲れさまです」
「わあ~んアンヌ~!お出迎えありがと~!」
「ちょっ、っと、抱き着くのは構いませんが、もっとゆるやかに…!」
勢いよく飛びついたら怒られてしまった。
アンヌにはほんとに助けられてる。
アンヌが体力と魔力を譲ってくれる魔法を使えるお陰で、聖地に行く前は力が漲って、どんなに疲れて帰ってもスッキリ疲労が取れる。
この旅にアンヌの存在がどれほど有難い存在か。
日本生まれで文化部の体力雑魚人間の私はアンヌが居なかったら限界超えて死んでたかも。
「敬語辞めてって言ってるのにな~距離感じる~」
「怒られるのはあたしなんですよ。好きで同年代を恭しく扱ってると思います?」
「お、言ったな。護衛さ~ん!アンヌぐぅぁっ」
「言い付けるのは無しです!それは卑怯なやつです!」
私とジグに体力と魔力を分けるためにいつも留守番になるアンヌ。
見送ってくれるときに表情が曇ってるのに気づかない訳ない。
ここまで付いて来たのだってジグのためなのに、一番危険な場所に一緒に行けないなんてどれだけもどかしいか。
(私にできるのは旅を早く終わらせられるよう努力することだけ。アンヌ、もうちょっと我慢してね)
成川真凛(17)、かんっぜんなるテンプレに巻き込まれ中。
ただテンプレその2の召喚された先が最悪で酷い目に遭って虐待先をざまぁする~の方じゃなくて良かった。無理やり呼び出したのを除けばみんな親切。
何日も食べさせて貰えない外にも出れないとか無理無理。
そして勇者を選べと言われて、なぜか知らない村と人の名前がすらすらと出てきて直感のまま答えたら、なぜか可愛らしい女の子と一緒にお城に連れて来られた。
勇者の事が好きな幼馴染付きかあ。残念。
勇者とのロマンスをちょっと期待したけど、そうだよね。同じ村の好きな男の子が突然お城に連行されたら心配でたまらないよね。
健気なその子…アンヌに、なんだか感動した。
私が住んでる世界はもっと他人と距離があいていて、情に厚すぎるとうざがられるから、この一途さは新鮮だった。
聖地の力を取り戻す旅は、思ってた以上に過酷。
知ってたけど小説読んでるのと、実際におぞましい形のモンスターに遭遇するのとでは恐怖の度合いが違う。
モンスターを初めて見た時は腰が抜けちゃって、兵士の人に抱えて貰いながら逃げ回っていた。
「きゃあああっいやああああっ!!!」
「聖女様!勇者様がモンスターを相手している内に力を注いでください!」
「マリン様落ち着いて!あなたには一匹たりとも近づかせません!」
「そそ、そんなこと言っても…!!」
最初に巡った聖地では兵士に励まされジグに守られ、なんとかかんとか力を注ぐことに成功した。
後から聞いたら、この世界もモンスターなんていないんだって。私以外の人も初めて相対してたんだ。
なのに私ったらパニクって守ってもらうばかりで…護衛の人に怪我させて…情けない声上げて、スカートなのに滅茶苦茶に逃げ回って…ああこれお風呂とか寝る前とかに思い出して鬱々するやつ。
私が剣に聖なる魔力を付与することで兵士もモンスターを退けることが出来る。
勇者にはそんな必要なく、たった三か月の訓練で得たとは思えない剣捌きでモンスターを倒していく。
けど聖地の力を取り戻さない事にはモンスターは無限に湧き出てくるので、結局私がどれだけ迅速に力を注げるかで皆の負担が違ってくるのだ。
「マリン様、あれ見て下さい」
「ん?あれって…あそこにある花のこと?」
「綺麗ですよね。さっきまで萎れていたのにマリン様が聖地に力を与えて下さってから元気を取り戻したんですよ」
「…………うん」
「花が咲くなんて普通の事なのに、そんな普通の事も聖女様がいなければ無くなっていたんです」
「……うん。もしかして励まそうとしてる?」
「はい。バレましたか?内緒のつもりだったんですが」
旅の半ば、知らない世界で知らない町や村に移動してはモンスターを倒す毎日。
疲れが出てるのを見抜かれて慰められたときは流石にときめいちゃった。
だめだめ。ジグ君にはアンヌがいるんだから。
守ってもらうたびに胸をぎゅっと掴まれるような気持になっても、私はこの旅が終わったら日本に帰るんだし。
そこまで無責任なことはしたくない。
「お疲れさまです」
「わあ~んアンヌ~!お出迎えありがと~!」
「ちょっ、っと、抱き着くのは構いませんが、もっとゆるやかに…!」
勢いよく飛びついたら怒られてしまった。
アンヌにはほんとに助けられてる。
アンヌが体力と魔力を譲ってくれる魔法を使えるお陰で、聖地に行く前は力が漲って、どんなに疲れて帰ってもスッキリ疲労が取れる。
この旅にアンヌの存在がどれほど有難い存在か。
日本生まれで文化部の体力雑魚人間の私はアンヌが居なかったら限界超えて死んでたかも。
「敬語辞めてって言ってるのにな~距離感じる~」
「怒られるのはあたしなんですよ。好きで同年代を恭しく扱ってると思います?」
「お、言ったな。護衛さ~ん!アンヌぐぅぁっ」
「言い付けるのは無しです!それは卑怯なやつです!」
私とジグに体力と魔力を分けるためにいつも留守番になるアンヌ。
見送ってくれるときに表情が曇ってるのに気づかない訳ない。
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