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新生冒険者ギルド、始動!(2)
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「ほえ!?」
猫耳と尻尾が付いている所を見る限り、あの黒猫が人間化した姿なんだよね? 翼が消えたので空を飛べなくなり、猫美少年は廊下に降り立った。
てか黒猫だったのに黒髪ちゃうんかい。
「何で黒猫なのに明るい髪色なんだよ……」
同じことを考えたようでキースが小さく突っ込んでいた。
『聞こえたぞ~。ホントは黒髪なんだけど、弟達と混同されないように色付けたんだ。俺ら一卵性の三つ子だから何から何までそっくりなんだよな。ちなみに真面目タイプの次男は黒髪のまんまで、食い意地が張っている三男は前髪に青いメッシュ入れてる』
さようですか。つまりこやつが長男か。
「……ロックウィーナ、彼をどう思う?」
「想像と違ってヤンチャですね。猫の時は大人しい感じだったのに」
「そうではなくて、その、好みの顔立ちかどうか」
「ああ……」
アルクナイトが「面食いのロックウィーナが惚れるかもしれない」と言っていた。それをキースは気にしているんだな。
「あはは。綺麗な顔をしているとは思いますが、私、子供は恋愛対象にならないので」
「そっか、良かった」
安堵したかのような声が後ろから聞こえた。何だかキース可愛い。
『それも聞こえたぞ~。魔王様と逆で、俺はあまり大きな姿になると魔力が上手く循環しないんだ。だからガキの姿してっけど実年齢は250歳超えてっからな、そこら辺ヨロシク』
「おいアナシス、気を抜き過ぎだぞ」
キビキビとした第三者の声が届いた。ソルだ。鎧を脱いだ彼はフェイスタオル片手に水場を訪れた。生活感が出ている。
『あ、ソルさんお久。ちっすちっす』
軽い挨拶だな。アナシスと言うのがオレンジ猫の名前か。
「おまえ達は耳と尻尾で魔族だとすぐにバレる。人間社会では身を隠しておけと言っただろう?」
『ちょっと言いたいことが有ったんスよ。でも猫のままだと人間の言葉が上手く発音できねーもんで』
「何で喋る? 伝えたいことが有るならいつものように心話を使え」
『心話じゃこっちの兄さんと姉さんに伝わんねーからさ』
ソルはキースと私を不思議そうに見た。まだキースが私に抱き付いたままなので気まずい。
「……おまえ達は交際していたのか? 彼女は我が王のお気に入りではなかったのか?」
『それがさ~、このお姉さんたらモテモテなんだよ』
それからアナシスは、私と男性陣との微妙な関係性を事細やかにソルに話して聞かせた。
「ちょ、ちょっと、何でそんなに詳しく知ってんのよ!」
『ん~? 魔王様がこっちへ合流してから俺達もずっと一緒に居たからね~。魔王様専用の使い魔だからさ』
あっけらかんとアナシスは答えた。ぎゃー。知らない間に観察されていたのかい!
幸い、猫達は基本的にアルクナイトと一緒に行動している為、エンやルパートとの密会は見られていなかったようだ。それを暴露されていたらたぶんキースがえらいことになった。
ソルが首を捻った。
「この世界がコイツを主役にした小説の舞台だと、それは夕べ王から伺って知った。しかしループを破った時点で主人公補正が消えたのではなかったのか? 今でもモテまくる意味が解らん。よく見ればそれなりに整ってはいるが、複数の男を手玉に取るような絶世の美女とは到底呼べないぞ」
地味ですまん。前にユーリにも言われたような。
しかし私の背後に居るキースは言ってくれた。
「僕には眩しいほどに輝ける存在だよ。容姿も、声も、性格も、彼女の全てが愛おしい。だから小説の物語が終わってからも恋心が消えない。むしろ前より強くなっている」
キース……。
納得できないソルはまた首を捻った。ムカつく。アナシスがニヤついて聞いた。
『人のこと気にしてっけど、ソルさん自身の恋愛はどうなん? 夕べは魔王様と同じベッドだったんしょ? 上手くいった~?』
「ばっ、ばばば馬鹿者!! 主君に対してそんな邪な感情は抱けんわ!」
ソルは一瞬にして顔を真っ赤に染め上げた。
『え~、何も無し~? 気を利かせてあげてせっかく二人きりにしてあげたのに~』
猫美少年はけっこうエロかった。あの魔王の使い魔だしな。
『いいこと教えてあげるよ。魔王様は耳が弱いんだ』
「なっ……、おまえ我が王とそんな関係なのか!?」
『違う違う。前にイタズラで耳にフーッて息を吹き掛けたんだ。そうしたら魔王様、ふおぉって派手に悶えてた』
アルクナイト、知らない間に性感帯をバラされてるぞ。
「魔王様は耳が弱点……」
「なるほど、耳を責めれば大人しくなる訳だね」
ソルが照れてモジモジして、後ろのキースは意地悪な声で呟いた。
あーもう、イタズラ猫の爆弾投下でまたややこしいことになりそうだよ。
☆☆☆
特に騒ぎを起こさずに皆で朝食を済ませた後、私はソルと鈴音を連れて冒険者ギルド内を軽く案内して回った。
「コイツが女神……?」「この人目つきが悪くて怖い」と最初は二人ともピリピリしていたが、喧嘩にまでは発展しなかった。
「そういえばソル、これからもアルクナイトと一緒に寝るの?」
「……いや、今晩から近くの宿屋に泊まることになる」
非常に残念そうにソルは言った。魔王との同室、嬉しかったんだね。
「急だけど部屋は取れたの?」
「ああ。ローウェルが取ってくれた」
「ローウェル? どちら様?」
「アナシスの弟で真面目なヤツだ」
髪を染めていない次男猫かな。しかしソルと普通に世間話をする日が来るとはね。
「観光客が減っているとかで、宿には空き室が多いそうだ」
「国境を封鎖しているんだもんね」
観光どころかラグゼリア以外は、国も人も霧に呑まれて全滅してしまっている。でもきっと何とかなる。みんなで世界を甦らせるんだ!
「ここから先が冒険者ギルドのエントランスホールだよ」
まだ開けたばかりのギルドに冒険者はまばらだった。しかし勤勉な聖騎士トリオが朝一番で受付カウンターに詰めていた。彼らの対応をしていたルパートとリリアナが私達に気づいて手を振った。
「ウィー、女神さんの紹介と今日のミッションの説明をするから、先に会議室へ行っててくれ!」
私は頷いて、先ほど二人に案内した会議室へ引き返した。
猫耳と尻尾が付いている所を見る限り、あの黒猫が人間化した姿なんだよね? 翼が消えたので空を飛べなくなり、猫美少年は廊下に降り立った。
てか黒猫だったのに黒髪ちゃうんかい。
「何で黒猫なのに明るい髪色なんだよ……」
同じことを考えたようでキースが小さく突っ込んでいた。
『聞こえたぞ~。ホントは黒髪なんだけど、弟達と混同されないように色付けたんだ。俺ら一卵性の三つ子だから何から何までそっくりなんだよな。ちなみに真面目タイプの次男は黒髪のまんまで、食い意地が張っている三男は前髪に青いメッシュ入れてる』
さようですか。つまりこやつが長男か。
「……ロックウィーナ、彼をどう思う?」
「想像と違ってヤンチャですね。猫の時は大人しい感じだったのに」
「そうではなくて、その、好みの顔立ちかどうか」
「ああ……」
アルクナイトが「面食いのロックウィーナが惚れるかもしれない」と言っていた。それをキースは気にしているんだな。
「あはは。綺麗な顔をしているとは思いますが、私、子供は恋愛対象にならないので」
「そっか、良かった」
安堵したかのような声が後ろから聞こえた。何だかキース可愛い。
『それも聞こえたぞ~。魔王様と逆で、俺はあまり大きな姿になると魔力が上手く循環しないんだ。だからガキの姿してっけど実年齢は250歳超えてっからな、そこら辺ヨロシク』
「おいアナシス、気を抜き過ぎだぞ」
キビキビとした第三者の声が届いた。ソルだ。鎧を脱いだ彼はフェイスタオル片手に水場を訪れた。生活感が出ている。
『あ、ソルさんお久。ちっすちっす』
軽い挨拶だな。アナシスと言うのがオレンジ猫の名前か。
「おまえ達は耳と尻尾で魔族だとすぐにバレる。人間社会では身を隠しておけと言っただろう?」
『ちょっと言いたいことが有ったんスよ。でも猫のままだと人間の言葉が上手く発音できねーもんで』
「何で喋る? 伝えたいことが有るならいつものように心話を使え」
『心話じゃこっちの兄さんと姉さんに伝わんねーからさ』
ソルはキースと私を不思議そうに見た。まだキースが私に抱き付いたままなので気まずい。
「……おまえ達は交際していたのか? 彼女は我が王のお気に入りではなかったのか?」
『それがさ~、このお姉さんたらモテモテなんだよ』
それからアナシスは、私と男性陣との微妙な関係性を事細やかにソルに話して聞かせた。
「ちょ、ちょっと、何でそんなに詳しく知ってんのよ!」
『ん~? 魔王様がこっちへ合流してから俺達もずっと一緒に居たからね~。魔王様専用の使い魔だからさ』
あっけらかんとアナシスは答えた。ぎゃー。知らない間に観察されていたのかい!
幸い、猫達は基本的にアルクナイトと一緒に行動している為、エンやルパートとの密会は見られていなかったようだ。それを暴露されていたらたぶんキースがえらいことになった。
ソルが首を捻った。
「この世界がコイツを主役にした小説の舞台だと、それは夕べ王から伺って知った。しかしループを破った時点で主人公補正が消えたのではなかったのか? 今でもモテまくる意味が解らん。よく見ればそれなりに整ってはいるが、複数の男を手玉に取るような絶世の美女とは到底呼べないぞ」
地味ですまん。前にユーリにも言われたような。
しかし私の背後に居るキースは言ってくれた。
「僕には眩しいほどに輝ける存在だよ。容姿も、声も、性格も、彼女の全てが愛おしい。だから小説の物語が終わってからも恋心が消えない。むしろ前より強くなっている」
キース……。
納得できないソルはまた首を捻った。ムカつく。アナシスがニヤついて聞いた。
『人のこと気にしてっけど、ソルさん自身の恋愛はどうなん? 夕べは魔王様と同じベッドだったんしょ? 上手くいった~?』
「ばっ、ばばば馬鹿者!! 主君に対してそんな邪な感情は抱けんわ!」
ソルは一瞬にして顔を真っ赤に染め上げた。
『え~、何も無し~? 気を利かせてあげてせっかく二人きりにしてあげたのに~』
猫美少年はけっこうエロかった。あの魔王の使い魔だしな。
『いいこと教えてあげるよ。魔王様は耳が弱いんだ』
「なっ……、おまえ我が王とそんな関係なのか!?」
『違う違う。前にイタズラで耳にフーッて息を吹き掛けたんだ。そうしたら魔王様、ふおぉって派手に悶えてた』
アルクナイト、知らない間に性感帯をバラされてるぞ。
「魔王様は耳が弱点……」
「なるほど、耳を責めれば大人しくなる訳だね」
ソルが照れてモジモジして、後ろのキースは意地悪な声で呟いた。
あーもう、イタズラ猫の爆弾投下でまたややこしいことになりそうだよ。
☆☆☆
特に騒ぎを起こさずに皆で朝食を済ませた後、私はソルと鈴音を連れて冒険者ギルド内を軽く案内して回った。
「コイツが女神……?」「この人目つきが悪くて怖い」と最初は二人ともピリピリしていたが、喧嘩にまでは発展しなかった。
「そういえばソル、これからもアルクナイトと一緒に寝るの?」
「……いや、今晩から近くの宿屋に泊まることになる」
非常に残念そうにソルは言った。魔王との同室、嬉しかったんだね。
「急だけど部屋は取れたの?」
「ああ。ローウェルが取ってくれた」
「ローウェル? どちら様?」
「アナシスの弟で真面目なヤツだ」
髪を染めていない次男猫かな。しかしソルと普通に世間話をする日が来るとはね。
「観光客が減っているとかで、宿には空き室が多いそうだ」
「国境を封鎖しているんだもんね」
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まだ開けたばかりのギルドに冒険者はまばらだった。しかし勤勉な聖騎士トリオが朝一番で受付カウンターに詰めていた。彼らの対応をしていたルパートとリリアナが私達に気づいて手を振った。
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