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幕撤去 不穏な動きと輝ける聖騎士(5)
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「僕のことを気遣う必要は有りません。僕は自分が所属している、冒険者ギルドの調和の為に動くだけです。手始めにあのエロガッパを魅了の沼に沈めます」
キースは完全に殻に閉じ籠ってしまっている。そしてどんどんアルクナイトの呼称が酷くなっていく。
たくさん親切にしてもらった。彼の助言で今までどれだけ助けられたか。それなのに当の本人は幸せを諦めてしまっている。
「先輩!」
衝動的にキースの至近距離に寄った私は、彼の前髪を両手で掻き上げていた。
「ロック……ウィーナ……!」
目を逸らそうとした彼に怒鳴った。
「逃げないで! 私を見て!!」
なんて大胆で無謀なことをやってしまったのだろう。私はキースと……いや、彼の魅了の瞳と直接見つめ合ったのだ。
「!……………………」
怯えたような、困ったような表情をさせてしまったな。それがまたそそる。ん? そそる? うわぁ、いけない、もう私は魅了されてしまっている。
線の細いキース。でも骨格は男性のそれだ。思ったよりも肩幅が広い。抱きしめられたら私の身体がすっぽり収まりそうだ。胸に顔を埋めたいな。
ゴクリと私は生唾を飲み込んだ。すっかりエロ親父と化していた。
中性的なキース綺麗だな。彼にも性欲が有るんだろうか? ああ、前にルパートを諌める時に、「僕も男だから解る」とか言っていたような。その気になったキースはどんな感じなんだろう、見てみたいな。
えっちな妄想がどんどん湧いてきた。────限界だ!
「くはぅっ!」
私はキースから手を放し、身をよじって草の上に倒れた。そうしないと確実に彼を押し倒していた。
「ロックウィーナ!」
ばったんばったん、あっちこっち転がる私へ、今度はキースが怒鳴った。
「何やってんだ馬鹿!! こうなることは判っていただろう!?」
キースらしからぬ乱暴な口調だ。これが本来の彼の口調なのかもしれない。いつもの丁寧な話し方は、心を封じる為の鎧代わりなのかもしれない。
そう考えた途端に、彼の表情をハッキリ読み取れた。
怒りでも戸惑いでも怯えでもない。あれは…………悲しみだ。
耐えろ、堪えろ私。魅了の瞳に負けるな。彼を悲しませるな。独りにするな。
「はぁっ、はあっ、はぁっ、はあっ」
息が荒い。だけどえっちな気持ちは少しずつ消えていっている。……彼にキスしたい。……それ以上に傷付けたくない! そうだ、その気持ちこそが真実!!
「ふあぁぁぁぁ、乗り切ったぁぁ────!!!!!!」
私は大声を上げて残りの雑念を振り切り、両の拳を空中に掲げた。
「うわっ、何!?」
驚くキースを安心させようと、私は笑顔で宣言した。
「安心して下さい先輩! エロスの波は引きました!! もう押し倒したいとは思いません!」
満面の笑みで何を言ってるの私。やっちまったよ。キースは眉間に皺を寄せていた。だよね。
「嘘……だろ? あれだけバッチリ僕の目を見たのに、もう正常に戻ったのか?」
あ、そっちか。私の発言にドン引きした訳じゃなかったのね。良かった。
「まだちょっと心臓がドキドキ鳴ってますけど……、もう大丈夫だと思います」
「どうして……? 何で平気なんだ? 魅了されたんだろう?」
「気合いで跳ね返しました!」
「は?」
「気合いですよ先輩。強く願えばたいていの暗い気持ちは吹き飛ばせます」
「強く……願う……」
呼吸の乱れがようやく治まった。私は上半身を起こして、今度こそ自然にキースへ笑いかけた。
「そう簡単にはいかないと思うけど、もっともっと心を強くして、私が魅了に負けない第一号になります!」
ハイテンションで決めた私であったが、
「……………………」
肝心のキースの反応が無い。
言ってしまった後だが、もしかして調子に乗ってしまったんじゃないかと私は怖くなった。
魅了の瞳にずっと振り回されてきたキース。そんな彼に「気合いで何とかなる」なんて、かなり無責任な言動に思えてきた。
キースは俯いていた。前髪で顔を半分隠しているせいもあって表情が窺い知れない。
「……………………」
何か言って欲しいのだが、しばらく彼は沈黙していた。
私の行動を呆れたのかな? 喜んでくれたのかな? 怒っているのかな? 可笑しいと思っているのかな?
キースの心の内を勝手に想像して、私は独り不安になっていた。笑顔をキープしている顔がひくついた。
どうしよう。キースを余計に傷付けてしまっていたら。
「……キミは馬鹿だ」
ようやく開いてくれたキースの口からは、非難と取れる言葉が紡がれた。
あああ、やっぱり。私は失敗しちゃったんだ。笑顔が一気に萎れた。私も俯いてしまう。
「魅了の恐ろしさを知っていながら、僕と正面から見つめ合う愚か者はキミくらいだ」
あうう。
「僕と一緒に旅をしてくれたケイシーとエルダでさえ、目を合わせないように気をつけていた」
ギルドマスター夫妻ですら遠慮して付き合っていたというのに、私は図々しくも彼が隠していた心の傷に触れようとしてしまったのだ。
ごめんなさい、ごめんなさい。やらかしてしまったことを何度も心の中で詫びた。
「あまつさえ、こんな面倒臭い僕とまだ関わろうとするなんてさ」
……………………。
あれ?
「馬鹿だよ、ほんと」
「……………………」
対面の彼が笑ったような気がした。もしかしてキース、怒ってはいないのかな?
キースは完全に殻に閉じ籠ってしまっている。そしてどんどんアルクナイトの呼称が酷くなっていく。
たくさん親切にしてもらった。彼の助言で今までどれだけ助けられたか。それなのに当の本人は幸せを諦めてしまっている。
「先輩!」
衝動的にキースの至近距離に寄った私は、彼の前髪を両手で掻き上げていた。
「ロック……ウィーナ……!」
目を逸らそうとした彼に怒鳴った。
「逃げないで! 私を見て!!」
なんて大胆で無謀なことをやってしまったのだろう。私はキースと……いや、彼の魅了の瞳と直接見つめ合ったのだ。
「!……………………」
怯えたような、困ったような表情をさせてしまったな。それがまたそそる。ん? そそる? うわぁ、いけない、もう私は魅了されてしまっている。
線の細いキース。でも骨格は男性のそれだ。思ったよりも肩幅が広い。抱きしめられたら私の身体がすっぽり収まりそうだ。胸に顔を埋めたいな。
ゴクリと私は生唾を飲み込んだ。すっかりエロ親父と化していた。
中性的なキース綺麗だな。彼にも性欲が有るんだろうか? ああ、前にルパートを諌める時に、「僕も男だから解る」とか言っていたような。その気になったキースはどんな感じなんだろう、見てみたいな。
えっちな妄想がどんどん湧いてきた。────限界だ!
「くはぅっ!」
私はキースから手を放し、身をよじって草の上に倒れた。そうしないと確実に彼を押し倒していた。
「ロックウィーナ!」
ばったんばったん、あっちこっち転がる私へ、今度はキースが怒鳴った。
「何やってんだ馬鹿!! こうなることは判っていただろう!?」
キースらしからぬ乱暴な口調だ。これが本来の彼の口調なのかもしれない。いつもの丁寧な話し方は、心を封じる為の鎧代わりなのかもしれない。
そう考えた途端に、彼の表情をハッキリ読み取れた。
怒りでも戸惑いでも怯えでもない。あれは…………悲しみだ。
耐えろ、堪えろ私。魅了の瞳に負けるな。彼を悲しませるな。独りにするな。
「はぁっ、はあっ、はぁっ、はあっ」
息が荒い。だけどえっちな気持ちは少しずつ消えていっている。……彼にキスしたい。……それ以上に傷付けたくない! そうだ、その気持ちこそが真実!!
「ふあぁぁぁぁ、乗り切ったぁぁ────!!!!!!」
私は大声を上げて残りの雑念を振り切り、両の拳を空中に掲げた。
「うわっ、何!?」
驚くキースを安心させようと、私は笑顔で宣言した。
「安心して下さい先輩! エロスの波は引きました!! もう押し倒したいとは思いません!」
満面の笑みで何を言ってるの私。やっちまったよ。キースは眉間に皺を寄せていた。だよね。
「嘘……だろ? あれだけバッチリ僕の目を見たのに、もう正常に戻ったのか?」
あ、そっちか。私の発言にドン引きした訳じゃなかったのね。良かった。
「まだちょっと心臓がドキドキ鳴ってますけど……、もう大丈夫だと思います」
「どうして……? 何で平気なんだ? 魅了されたんだろう?」
「気合いで跳ね返しました!」
「は?」
「気合いですよ先輩。強く願えばたいていの暗い気持ちは吹き飛ばせます」
「強く……願う……」
呼吸の乱れがようやく治まった。私は上半身を起こして、今度こそ自然にキースへ笑いかけた。
「そう簡単にはいかないと思うけど、もっともっと心を強くして、私が魅了に負けない第一号になります!」
ハイテンションで決めた私であったが、
「……………………」
肝心のキースの反応が無い。
言ってしまった後だが、もしかして調子に乗ってしまったんじゃないかと私は怖くなった。
魅了の瞳にずっと振り回されてきたキース。そんな彼に「気合いで何とかなる」なんて、かなり無責任な言動に思えてきた。
キースは俯いていた。前髪で顔を半分隠しているせいもあって表情が窺い知れない。
「……………………」
何か言って欲しいのだが、しばらく彼は沈黙していた。
私の行動を呆れたのかな? 喜んでくれたのかな? 怒っているのかな? 可笑しいと思っているのかな?
キースの心の内を勝手に想像して、私は独り不安になっていた。笑顔をキープしている顔がひくついた。
どうしよう。キースを余計に傷付けてしまっていたら。
「……キミは馬鹿だ」
ようやく開いてくれたキースの口からは、非難と取れる言葉が紡がれた。
あああ、やっぱり。私は失敗しちゃったんだ。笑顔が一気に萎れた。私も俯いてしまう。
「魅了の恐ろしさを知っていながら、僕と正面から見つめ合う愚か者はキミくらいだ」
あうう。
「僕と一緒に旅をしてくれたケイシーとエルダでさえ、目を合わせないように気をつけていた」
ギルドマスター夫妻ですら遠慮して付き合っていたというのに、私は図々しくも彼が隠していた心の傷に触れようとしてしまったのだ。
ごめんなさい、ごめんなさい。やらかしてしまったことを何度も心の中で詫びた。
「あまつさえ、こんな面倒臭い僕とまだ関わろうとするなんてさ」
……………………。
あれ?
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