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23の扉 新世紀
シンプル
しおりを挟む「ほう。シンプルだが、これはいいな。」
「 ですよね。 やはり シンプルイズベスト 」
「…ヨル、それってどういう意味?」
「 あのですね 」
工房が大分薄暗くなってから
ようやっとヨークに声を掛けられていたことに気が付いた私は
どうやら彼のその後の仕事を中断させていたらしい。
「 本当にすいませんでした。」
「まあ、いいさ。こんないい物が見られたんだ。ヨルの作るものは面白いからな。」
「なんて、言っていいか。でも、確実にその役割は果たすだろうね。」
「 そう言ってもらえると。 二人からのお墨付きですね。 ふふ」
あれから 黙々と鱗が尽きるまで創り続けて今
目の前にあるのは 総勢三十個のガラス玉だ。
少し 時間を置いて見えてきたクリアな色は
「なんとも言えないすみれ掛かった青」で
その真ん中に「大きな星」が配されている、
手のひらサイズのガラスで ある。
「確かにこっち側だけ平たくなってるからな。家の壁に取り付けるにはいいだろう。これはどうやって押したんだ?随分綺麗だな。」
「 あ~、そこは結構難しかったです。 押すと、上も潰れちゃうから何回も温め直して、 結局あの台に置いてひたすら待ってましたよ。 このかたちになるまで。」
「…成る程な。根気勝負だ。」
「ヨル、意外とそういう所もあるんだね。」
「 ふふ、それはどういう意味で。 」
「確かに待たずにホイホイ作りそうだもんな。まあ、お前さんも成長したという事か。」
「 そうですよ。 うん。」
大きめの「おまんじゅう型」のガラスの中に。
虹色の四芒星が入った「看板」
私が空にて創造したそれは
頭を使ってあれこれ捻り出すより、とても素敵な仕上がりに見える。
「 ふむ。 いいね 」
なにかを作る人には わかると思うけど。
「あれこれ考えて作る」と
段々と思考と視界がこんがらがってきて
修正を加えているうちに「それが いいのか」「違う方向へ行っているのか」、わからなくなってしまうからだ。
それは「三半規管が狂う」のに 似ていて。
「今 ここ」から観れば「センサーが狂ってたんだ」とわかるし
やはり何事も直感で創るのが最善なのだろう。
「 なるほど。 」
だからこの「自分の創造物が新鮮に観える新鮮さ」に
感謝をして。
遅くならないうちに、工房を後にすることにした。
「 よっ ほっ とっ? ふふ」
帰り道の石段は 「いい物が創れた」私の心を反映し、
とても楽しいアトラクションを体験している感覚である。
大きめの長四角の石だけを踏む
その「謎縛り」を子供の様に自然と課して進む自分の足は
確かに「無限の可能性を含んでいた頃」を思い出させ
「そこから縮まって」
「また拡大しているくくり」
その柔軟さも表し「ここからまた進む道」が拡大することをも
示している。
「 なん か。 不思議だよね。 いや、まあ ちゃんと観れば、不思議じゃないんだけど 」
「ここまで辿ってきた自分の道」
「ほんとうに展開していた原初からの道」
その「どちらも視える視点」は
「なんも分かってなかったから不思議に見える私」と
「ただ自分のかたちをトレースしている私」、
その両方を観せていて
「その感覚の差異」と「距離の違い」があからさまに視えるから
なんだか面白くて「ついでのカケラ」がポンポンと 溢れて くる。
「目で 見ると 「今」は どんつきに見えること」
「眼で 視れば「今」は 「永遠」の途中であること」
「過去」
「歴史」
「記録」
「記憶」
「神話」
「物語」
「文字」
「言葉」
「有史」
「先史」
「数多ある 名もなき光のなかで」
「形に残るもの」
「形として残っていないもの」
「だが 「ある」もの」
「世界に 充満している もの」 。
今 私が思い浮かべている粒子は
「物質的なもの」ではなく「ひかり」で
「世界を構成するせかい成分」、そんな様な「もの」だ。
「 成る程? 」
そして
多分
私は
「それ」があるから「この眼」を持っていて
「ここで」「この役割をしていて」
「必要を積んでいる」。
「必要を積む」とは
「決めてきたことをやること」により「出来上がる道」だ。
「 ああ なるほど? だから、「星」が 入ったんだ。」
そして「そこに気付いたから」、
今が「完全オリジナルの道」なのが視えて
「自分の創りたかったもの」且つ
「目印」、それであるのが 知れる。
そう、なんだか ややこしく見えるけれど
「その本質は至ってシンプル」
即ち「先程の創造」と同じで
「きちんと自分の位置でやるべきことをやっている」から
「そう成る」、ということである。
「 ふぅむ 」
「それ」は 「世界=私」
「創造物=私」をも表していて
再び「ぐるっと回って自分に辿り着いた」、この地点を笑い
なんだか「いい夜になったな」と 大分暮れてきた空を見上げる。
「いつかの窓辺で 空を見ていた私」
「その私」は いろんな色で いろんな場所にいて
でも「そのどれもが私」だから、
「そうして空を見ていたこと」が深く自分に落ち
「この私」とも繋がって 「光の網」が強化されるのが わかる。
「 なんか。 なるほど確かに 「そう 成る」んだけど 凄いな。」
だから「その展開」に
素直に感動しながら。
「わたしの采配」に 感謝をして
ポン、と 最後の石段を 跳んだのである。
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