1,955 / 2,079
23の扉 新世紀
新しい風
しおりを挟むただ
吹いてくる風を 気持ちよく味わえること
「ここに在る意味」は
ほんとうにそれだけで 良くて。
「 あぁ~ 平和。 」
そう呟きながらもくるりと振り返り、
少し後ろをゆっくりと歩く リュディアの姿を 観る。
「 うん。」
「なぁに?どうしたのよ?」
「 いや。」
そんな私を見て クスリと笑う彼女の「美しく束ねられた紺色の髪」は
サラサラと風に靡いて。
その
青が 青に揺れる様も また気持ち良くて
そのまんま、石段をポンポンと降り
少し涼しくなってきたラピスの空気を じっくりと 味わう。
「うーん、平和?…そうね、確かにヨルから見れば。どこも、平和なんでしょうね。」
「 まあ、 そうだね。 ここからだもん、みんな 。」
「そう言われると安心するわ。今日も楽しみだし。」
「 ふふ、なんだろうね、揃って呼ばれるなんて。 珍しい。」
今日は久しぶりにエローラに呼び出されて。
これまた久しぶりのリュディアと二人、連れ立って
青の館から水色の店まで テクテクと歩いている途中だ。
あれから 順調に「自分の矢印の上を歩いている私」は。
日々の「変わらぬ様に見える、生活」を粛々とこなし
着実に自分の道を 創っているし
「今日の呼び出し」もきっと 「その体感を掴む為に起こるなにか」で
そこへ行けば「自分が何を積んできたか」が 観える筈だ。
だから 「ポンポンと弾みながら降りる自分」と
「静かに降りているリュディア」の距離が 離れすぎない様にしながら。
広場へ繋がる道に出るまで ペースを調整しながらも
心のままに 弾んでいたんだ。
うん?
あれ?
これって もしかして
いや もしかしなくとも?
まさか てか
やっぱり、 もしか して ?
えっ リュディアも そう思う?
やっぱ 「そう」だよね?
あ レナ、知ってるでしょ
なるほど 鋭いもんな
確かに「姉さん達」 ふむ
なんか 「懐かしい」なぁ ~
うんうん かわいいだろうなぁ
「赤ちゃん」 。
うん そっかぁ
てか ホント
「時が経つの」? って 早いな?
えっ?「遅いくらい」だって? ウソ
いや 「私の体内時間」「縮尺」がおかしいのか
うん、でも
なんだっけ そうじゃなくて
ああ そう「スパンの違い」よ そう
「創ってるもの」が ちと 違うから
そうねぇー
しかし 子供かぁ~
かぁわいいだろうな~~
うんうん
「 おめでとう!」
「ありがと。」
「良かったね~。シャルム待望の子だわね~。」
「あの人は口に出さないけどね。」
「らしいわ。」
「ま、でも元気そうで良かった。そうかなぁ、って思ってから会ってなかったから。」
「一応ね、店に出れない日もあったから大事を取って。」
「うん、それがいいよ。」
そうね~ そうか~
成る程 「子供」。
「私が」
「私も」?
うむ 「私が 子供を生む」
確かに「産みたくは ある」な
でも「今じゃない」のよね まだ
もっと なんだろ
「平和」って言うか「調和」にならないと
多分 「生まれない」
うん
そう なんか
「私のタイミング」が まだ
それなのよ
うん
んで そうね
やっぱり。
「時間」 「時代」?
その「自分年表の進み具合」が
大分「世界」と 違うんだわ
あ でも 「長く生きる」なら「当然そうなる」のか
ふーん?
でも それって
「実際」? どう なるんだろう
まあ 「なるようになる」んだけど 。
「…………………ヨル?」
「この子はいいわよ。放っときなさい。まあ、何しろ良かったわね。意外と遅かったから、作る気ないのかと思ってたわ。」
「まぁね。ここはみんな、早いもの。私も意識してなかった訳じゃないけど、店もあるし、従業員も初めて雇うしで大変だったんでしょうね…なんか今思えば、それも大分昔の事みたいに感じるけど。」
「私の結婚式からも、もう二年だもの。うちだって煩いわよ。でも造船所の子供達が可愛くて。それで満足しちゃうのがいけないのかしら。」
「リュディアらしいわね。二人とも道具に一番関心があるからじゃない?」
「…………そうね…子供が産まれたら、時間も減るし。なにしろ、エローラはおめでとう。いつ産まれるの?」
「次の春かな。暑いのがひと段落して、大分体も楽になった。本当にこのまま暑かったら無理かと思ったわ。」
「お腹にいるだけで自分も暑がりになるらしいものね?うちにも最近、妊婦さん多いのよ。」
「へぇ?本当?」
夏用にディスプレイされた明るい店内へ入った時、
確かに「いつもと違う空気」が 流れていたんだ。
そして直ぐに「エローラの変化」に気付いた私は
リュディアとアイコンタクトをし、
そこに相槌を打つレナの瞳で「予想」が「確信」に変わると
笑顔で 「おめでとう」を言って。
そのまんま ニコニコで「時間とスペースのくるくる」を眺めながら
「新しく宿る生命」と
「時が齎す変化というギフト」に、
「いろんな いろ」を浮かべて 幸せな気持ちに浸って いた。
そう ね
そう か
「赤ちゃん」ね 。
うん「子供」か
ふむ。
それについて 早速「スペースを廻り始めている いろ」
それもまた 「いろんないろ」が あって。
あの
「懐かしい」と思えたいろは
未だ「一番濃いディーのいろ」だし
しかし「何処かの私のいろ」でもあって
「この私」は 産んだことはないけれど。
なんだろうか
でも
「ちゃんと廻ってる」のは わかるから
それでいいし
それが いいし
「時間が解決する部分」って 言うけど。
でも そうか
成る程?
「時間」も また「自分」
て言うか「ただ流れるもの」じゃなくて
「自分で積むもの」だから
成る程「消化できて」 「今ここ」、 そうね
確かに。
「それもまた 美しいいろ」になって
ぜんぶ 「ある」もん なぁ 。
思えば
「現実」の 中、
ずっとずっと ただ「流れる季節」を 感じて。
「この思い」に「どんな意味があるんだろう」
何故 これは私を突き動かすのだろうか、と
「わからないまま進んでいた自分」がこの地点だとクリアに観えて
「その理由を理解できる自分」は
ずっと遠くに来たことが わかる。
なるほど ?
そう、「エローラの祝福のいろ」に 誘われて。
私は 自分の持つ「スペースの深い部分」に
どっぷりと浸りせかいを浚っているし
だからこそ、「ずっと抱えていた焦燥感の分解」
それが 起こっているのだ。
「 そう か。」
だから その「大切な部分」を
正確に 正しく視る為に。
静かに息を 吐いて 吸って
一旦 自分を
ゆっくりと 空にしたんだ。
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる