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25の扉 発光
そこから
しおりを挟むカバンの中でチャリチャリと、
可愛いらしい小瓶達が歌っている。
今日は、あの手紙の注文を届けに 灰色の島へ行く日で
肩掛けのカバンには出番を待つ金の蜜が ぎゅうぎゅうに詰められているからだ。
「 こんだけあれば、大丈夫でしょ。 しかし、可愛らしい音だねぇ 」
一歩一歩、軽快な足取りで 進む度に。
カチャカチャと小瓶同士が当たり、爽やかな音を立てるカバンは
さながら楽器を奏でる様に この夜の道中を楽しいものにしてくれている。
「 てか、夜に出掛けるの ホントに久しぶり。 なんか、懐かしいな。」
常に夜の様な狭間を抜け
そこからもう少し明るい雲灯の島へ出ると
天上には月があるのだろうな、と思える景色が広がっていて
いつだか窓からこの景色を眺めていた自分の視点がぐっと 戻ってくる。
あの頃 そうね
あの出窓でいろんな色を感じていた 頃は。
「 ふむ 」
主がまた、「感傷」に浸ることはないけれど。
それは「感傷ではない」、だけで
「その色を観て そうだったな」と思うことは ままある。
そして 今「それ」を観て思うのは
「あの時の私はそうしていろんないろを回収していたんだな」という、高いところからの視点で
「どんな自分」も温かく観れる今は、ほぅっと息を吐いて
夜の中に浮かぶ「白い雲」を 愉しく眺められるんだ。
いろんな 「色」が廻る世界
それと共に 愉しく存在する私
そしてそれを観て せかいと遊ぶわたし。
テクテクと 夜道を歩きながらも
そうやって「いろんな視点」で遊んでいると、直ぐにレナの店が見えてきて 濃灰色の中に浮かぶ灯りが私を呼んでいるのが 視える。
「 ふふ。 なんか。 夜の訪問は背徳感があるね。 「背徳」、じゃあ ないんだけど。 なんだろ 」
今の私には 「社会的ルール」など無いけれど。
小さな頃、
夜の方が身体が軽く 速く走れると感じていた記憶が
「いつもにはない特別感」と「秘密の時間の様に感じていた色」を思い出させ
その「段階的な記憶の展開」を紐解く為に
スペースへ明晰君が呼び出される。
ふむ ?
そうして 少しくるくると彼がせかいを廻ると。
「別の空間にいることで 」
「普段設けていた「限界」が解除され」
「より、本来のかたちに近くなるから」
このこたえが回収され、「確かに」と 深く頷く自分が いる。
「 な~るほど。 ねぇ 」
だから そんな「ひとつの解決」を観ながら
目の前に迫る灯りを 観て。
ニコリと笑い、
温かな部屋の色も想像しながら「トントン」と ノックをしたのである。
「ごめんね、夜に来てもらっちゃって。」
「 ううん、久しぶりで楽しかったよ?」
「………ん?「夜にヨルに来てもらう」?」
「 レナ、それ、誰の影響? うちの人達かしら 」
「ああ、ごめんなさい。それにしても、沢山持って来てくれたのね?」
「 うん。 まだあるけどとりあえずこのくらいにしといた。」
珍しく彼女が駄洒落を言うものだから、うちの大人達に影響されたのかと
「いつもの書斎の景色」がモクモクと浮き上がってくる。
でも、レナはそんな私を気にせず
早速カバンから小瓶を取り出し綺麗に並べ始めたから。
共に「正確な数」を数えながら、温かで明るい部屋の空気を すうっと胸の奥まで吸い込んだ。
「 いい、香り。 やっぱりこの時間まで、やってるんだ?」
「まあね。最近はお陰間様で忙しいから。でも、前からたまに夜はやってたのよ。ホラ、夜の方がいい人もいるから。」
「 成る程? そうだろうね。 まあ、無理せずやって下さい。」
「とりあえず一山は越えたから、大丈夫。一応、癒しの店が増える予定はあるし。…実現するといいなぁ。私はラピスへ通えないもの。」
「 ん? 何その話。 詳しく。」
「あのね 」
私の為に用意された「おやすみ前の一休み茶」と
これまた夜に「背徳感があるお菓子」。
その最強の組み合わせで
久しぶりのお茶会が ひっそりと始まる。
「 ウフフ」
「なによ、聞いてる?」
「 うん、聞いてる聞いてる。 それで?」
そして
「この状況」が面白くなってきた私の視点は。
自ずとぐっと 高くまで上がり
別の私が
今、ここに「ある種の特別感」を観ているのが わかる。
「ある夜の灰色の島」
「ポツンと閉店後に灯りが燈る店」
「ひっそりと夜のお茶会を楽しむ二人」
その景色を観ていると
「非日常感からの高揚」と「そこから繋がる"無限の空間"」が さっきの「記憶」を思い出させて。
「この 同じ状況」は「その為に創られたのだとわかり」、
いろんなピースがパチパチと 嵌り始めている。
ふむ ?
そう ね。
確かに
「日常」からの「非日常」に感じていた「高揚感」
それって「普段は見えない せかいのいろ」で
でも「そこに厳然とあるもの」
「時々 チラリと垣間見えるもの」
成る程 それが、
「特別な感じ」がするし
でも「ワクワク」
「できる」「無限」「拡大」
そんな感じで「とても気持ちいい」やつ
でも?
「冷める」のよね
「普段」に戻ると。
うん 。
でもなぁやっぱり、
結局 それもこれも
「自分が冷ましていただけ」で。
ホントは「いつだって無限」だし
「私は常にそこに在って」
「それに気付いていないだけ」
「忘れているだけ」
「まだ 憶い出したくないだけ」
いや、
「回収が終わってないから」「憶い出せない」のか。
「はっきり視えない」「わからない」、とも
言える。
レナの可愛い声で
まだ「別の癒しの店の話」は続いている。
そんな中でもくるくるとスペースは
「世界とせかいの関係性」を展開していて
「これまでのからくり」を 紐解くと共に
主に「せかいの構図」を観せようとしているのが わかる。
「 そうか。 なるほどね。 」
だから
大人しく「スペースの展開」に従いながら
「もう一枚」とクッキーに手を伸ばした自分を笑いつつ、
その「背徳色」と「せかい」を 眺めて。
ここから観える、「なにが」これまでと違うんだろうって
広く 観ていたんだ。
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