1 / 2,079
いつか
しおりを挟む臙脂色の密な絨毯、豪奢な硝子の青い灯り。
濃茶の重厚な腰壁、地紋が美しい紺色の壁紙。
ふかふかの絨毯を小さな足音がパタパタと走る。
精巧な彫刻が施された、厚い大きな木の扉。
大きな木が描かれたその重い扉を開け、「そこ」に行くのは、久しぶりだ。
軽く息を吸い、思いきって扉を押す。
古い蝶番が少し軋んだ音をたて、開いた隙間から青い光が漏れた。もう一息、扉を押すとそこから小さな足音が滑り込む。
それを確認して、中に入った。
相変わらず豪奢な造りの、祈りの場。
清浄な空気の中、高い天窓から差し込む光が天使の梯子の様に見える。
「わぁ。凄いね!あ、あれだ!!こっちこっち!」
「ちょっと待って?焦らなくても人形は逃げないよ。」
「これ?おばあちゃんが言ってたのって。とっても、素敵…………。」
「そうだね。大切な、神様だからお祈りしておきなさい?」
「はぁい。でも、凄く綺麗ね?こっちの男の子が白、赤…金色で、こっちの女の子は白、青…銀色?かな。キラキラしてるし、なんだか幸せそうだね?」
「そうね。やっと、会えたからね…。」
長い、長い旅を経てようやく一緒になった二人。
今日も青い光が差し込む聖堂の最奥にひっそりと並んでいる美しい、人形。
以前は闇に包まれていたこの聖堂も、あの子のお陰でこうして光が差し込むようになった。
今も、元気でやっているだろうか?
たまには会いに来ると言ったまま、もう私はおばあちゃんになったよ。
まぁ、私はあの子がどこかの世界で元気でやっているなら、それだけで、いいんだけどね。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます
天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。
王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。
影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。
私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる