透明の「扉」を開けて

美黎

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7の扉 グロッシュラー

赤ローブのエンリル

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どうしようかな……………。

そもそも、今ここでベイルートと話す訳にはいかない。

ちょっと諦めモードでモグモグしている私に、ベイルートは質問してきた。
流石ベイルート、という方法で。


「お前、今から質問するから「はい」ならそのまま食べてろ。「いいえ」なら、一回口を止めろ。いいな?」

「はい」だから、このままだよね?分かるかな?

そうしてベイルートは続ける。

「こいつは偶然会っただけだな?」

モグモグ。

「お前の名を聞いてきたか?」

ピタッ。

「お前はまだ名を言ってないな?」

モグモグ。
そういや名乗るのすら忘れてたよ。ヤバくない?
大丈夫かな………。まぁこの感じだと、私が怒られるのはベイルートさんに、って事だけど。

「余計な事はまだ何も言ってない、と?」

モグモグ。多分。モグモグ。


「多分、あっちはお前が名乗るまでは名乗れないのだろう。今迄はネイアにしか会わなかったからな。………セイア同士だと、身分が絶対だ。もしかしたらお前が名前を教えたくないから、喋らないと思ってるかもしれないぞ?」

えー!
それ私めっちゃ失礼じゃない?
どうしよう?急に自己紹介したら、変だよね?

私の脳内がアワアワしていると、食事が済んだのか朝がひょっこり顔を出した。
丁度、彼と私、両方が見える位置だ。
そして、徐ろに、喋った。

「美味しかったわ。」

ピタリと彼の動きが止まる。

え。何これ。どういう設定?

私も、固まっていた。

彼は興味深そうに朝を見て、口を開く。
そして、こう言った。

「これは、まじない猫ですか?」
「…………。」
「そうだって言っていいぞ。そういう事にしておけ。ついでに自分の名前も伝えればいい。」

あ、そうか。
きっと朝はそのつもりで喋ったんだ、わざと。

朝の機転に感心しながらも、私も頑張って頭を働かせる。
えー、お淑やかに、朝を紹介して、自分も紹介………出来るかな?

「はい。私の家族で「アサ」と言います。それと、すっかり申し遅れましたが私は銀のセイアで、「ヨル」と言います。また、何か分からない事があれば、教えて下さいね?」

そう言って、ニッコリ、笑っておく。

もうちょっと高飛車に喋った方がいい?
でもな……この人絶対年上だしな…。
高慢ちきなお嬢様風にすればいいのかな?出来ないけど。


そうしてやはり、私が名乗った事で彼も、自己紹介を始めた。なんだか、「やっと名乗れる」といった感じだ。やはり待っていたらしい。

「では僕も。赤のセイアでエンリルと言います。僕は三年目で、運営を学んでいます。」

そう言って、またニッコリ笑った。

うん、運営とは。何ぞや。そして色々質問しちゃまずいのかな?ベイルートさん??

多分、私が質問しない限りはエンリルがペラペラ喋り出す事は無いのだと分かる。そうでなければ、今頃もっと会話が弾んでいる筈だ。
でも、運営が何か、くらいは聞いてもいいよね?

「あの、運営とは何をするんでしょう?」

うう、言葉遣いが難しい…。丁寧なだけならいいんだけど。
なんとか言葉を捻り出している私に気付いているのかいないのか、楽しそうに教えてくれる。

「運営とはどうやって他の世界をやり繰りするか、学びます。どこからどれだけ、何を、税で納めさせるか。人口が増えすぎない、減りすぎないようにするにはどうするか。やつらが危険思想を持たないよう、ギリギリで効率良く運営出来るように研究するんです。」


一瞬、思考が停止した。

「やつら」?
税?はまだ解るにしても人口調整もしてるの?
危険思想って?

その時、シェランが言っていた事がパッと頭に浮かぶ。
「戦闘訓練もさせられる」と言っていた筈だ。
その時は意味がよく分かっていなかったが、ここまで聞くと流石に気付く。

そう、彼等は搾取されている事に気が付いた人達から、暴動を起こされる事を予想しているのだ。

え?でもそれって自分達がやっている事がどういう事なのか、自覚があるって事だよね?なんで?

…………。



笑え。

駄目だ。まだ、今は駄目。

「余計な事は言うな。笑っておけ。」

そう、そうベイルートも言っている。

…………。我慢我慢。…………でもな。
黙ってられるなら、ここまで、来てないよ。
 
グツグツと煮えていた頭の中が急にスッキリして、急激にヒヤリと冷たくなる。
そのまま冷たい笑みを浮かべて、肩にかかる髪を払った。

そう、実は私はお下げを封印していた。レナに「お下げなんて、舐められるわよ。」と言われて、基本ハーフアップにするようにしていたのだ。

払われた髪が一房、胸元に戻る。サラリと流れる髪を見ながら、ゆっくり喋る。
そう、別に冷静になった訳じゃない。
ただ、さっきより腹立たしいだけだ。

「楽しそうね?そんなに楽しいなら、是非私も運営を学んでみたいわ?人を、………そう、思う通りに動かす方法を、ね?」


そう言って、ニコリと微笑む。
明らかにエンリルの顔色が変わっているが、そんな事は気にしない。
さあ、食事は済んだ。長居は無用だ。

サッと立ち上がると、慌ててエンリルも立ち上がる。エスコートしようとしているが、放って置いて私は自分のトレーを下げようと辺りを見渡しながらカウンターに向かう。
すると白のローブの背の高い男の子が、「こちらに。」とトレーを受け取ってくれた。
何処に下げていいのか、分からなかったのでここは好意に甘える事にする。きっとこの場合は、こうするのが正解の筈だ。

「ありがとう。お願いします。」

私がそう言うと、背の高い彼は少し頭を下げる。サラリと薄灰色の髪がフードから覗いて、「いいえ。」と言うと黄色のラインの入ったローブを翻して立ち去って行った。

あの人も上級生かな?見られてたかな………。
そう思いつつもチラリと目の端に赤が映り、さっさと食堂を出る事にした。






カチリと鍵の感触を確かめると、少し落ち着いてきたのが自分でも分かる。

まずかったかな………でもさぁ…無いよね。う~ん。無いよ………ナイナイ。

とりあえず、部屋に入りベイルートに言われた通り内側から鍵をかける。

ローブを脱ぎ、扉横のフックに掛けると少し軋む音がする椅子に腰掛けた。

「あーあ。」
「まぁ、上出来じゃない?あれで済んで。」

「…………だよね?」

てっきりベイルートに怒られると思っていた私は、朝がそんな事を言ってくれると思っていなかったので、少し、調子に乗った。うん、少しね。

「頑張ったと思わない?今迄だったら、絶対、めちゃくちゃ言い返してたからね。」
「偉そうに言う事じゃ無いぞ。」
「あい。すいません。………でも…。」

ピョッコリテーブルに乗ったベイルートは私の前まで移動して、話始める。
なんだか長くなりそうだったので、私はお茶を入れる事に、した。折角糞ブレンドの新作があるのだから、試したい。
ベイルートは「お前‥」って言ってたけど。

ヤカンがカンカン言い始める中、ベイルートはなんだかややこしい話を始めた。始めに、私がこう言ってしまったくらい。

「ベイルートさん、私それ全部は覚えられませんからちゃんとその時教えて下さいよ?」




折角だから、下で貰ってきた茶器を使う事にした。私が持っていない色合いの、素敵なカップがあったのだ。
基本、ロランは私の事をこう見てるんだろうな、というデザインの私のカップは結構可愛いデザインだ。ピンクと金の飲み口に赤い花。
うん、可愛いけど。

今回出したのはブルーで纏められた、スッキリとしたデザインのものだ。その他真っ白のカップや、赤一色の物など来客用を試してみたいとも、思っている。

そのブルーのカップを温めながら「クッキーを作るには厨房が必要だけど、貸してもらえるかな?」なんてブツブツ呟いていたら「聞いてるのか?!」ってやっぱり、怒られた。
まぁ、ちょっとこんがらがってきて、現実逃避したっていうのも、ある。


「とりあえず、派閥があるのは覚えておけ。どういった括りなのかは、お前が自分で判断するといいだろう。ウイントフークの情報じゃ、お前の先入観が固まりすぎるからな。」

えー。そんななの?

「ネイアに関しては、色のバランスは良く配置されている筈だ。祈りが偏らないようにする為らしいが、本当の所はよく分からん。派閥は元々偏ってるからな。青だけ、一人しかいなかった所に気焔が補充の形で潜り込んでいる。」

ふむ。

「セイアに関しては出せる家が出してるみたいだから、もっと偏ってるかもな?さっき一通り部屋を見てきたが、銀と青が少ない位で、後はどっこいの気配。扉を開けて確認する訳じゃ無いから、多少の誤差はあるけどな。」

「とりあえず、銀から茶までは一塊の、派閥だ。例外もあるかも知れんが、そう思っておけ。で、赤は中立、というかどっちつかず。青は孤立してる。俺は何故かは知らんが。どうやら独自路線なのかもな?」
「独自路線?………ベイルートさんが分からない事が私に分かるとは思えないんですけど。」
「まぁ、派閥もあるが、勿論個人の思想もあるだろう。現に、あの赤なんか中立の割にはかなり偏ったデヴァイ思想の持ち主だろうな。………まぁ、あれが染み付いてるんだろうがな。ある意味、普通と言えるのか…。」


「染み付いてる」か………。でも、本当にそうなんだ、多分。

そう、落ち着いて考えてみると、多分私は少なからずショックだったのだ。
とても、見ていて気持ちがいい、優しげな彼の口から、楽しそうにあの話が語られた事が。
他人に過度の期待をしてはいけないと、思う。
でもこれは………。

いかん、価値観、価値観。それぞれの、価値観だ。
彼はある意味デヴァイの純粋培養。きっとこのグロッシュラーだって、彼等の天下だ。彼等が常識で、ルールでもある。
ここでは、私がイレギュラーの非常識。


改めて、壁に掛かった銀のローブに目をやる。

「成る程ね。フェアバンクスさんに、感謝。」

「やっと分かったか。お前は、爆弾だ。且つ、鉄砲玉。せいぜい気焔に迷惑かけないよう、気を付けろよ。」

うっ。確かに‥それは微妙。
私が暴走しないとも言い切れないし、そうなればきっと気焔は私を助けてしまう。
まぁ、色々まずい事が露見するよね………。はい。
気を付けます……。多分。

「挨拶についてはあれで大丈夫そうだな?気に入らん奴は無視していいかと思うが、とりあえず話がしたい奴は自己紹介しておくといい。さっきの白い奴なんか、良さそうだったな?多分、見てたぞアイツ。」
「え?まさか?」
「そう。お前が痛烈な嫌味を言ってた所。」
「やだ…………。大丈夫かな、私の印象………。」

ベイルートは鍵の房に気持ち良さそうに収まりながら、バッサリと切り捨てる。
うん、私の評価なんて、そんなもんだよね。

「そもそも銀の奴なんて、みんな嫌味に決まってる。まぁ気にするな。寧ろいい奴で通るかもしれないぞ?」

いや、いい人もいるかもしれないじゃん?

そう、私もさっきの話だけでエンリルを決めつけるわけにはいかない。
悪かったかな…………あんな態度取って。でも、謝るのも違うしな…しかも、きっと彼は私が何故不機嫌になったのか、分かっていない可能性が高いと思う。
それが、常識の所から来てるのだから。


ポットから新しいブレンドを注ぎ、香りを楽しむ。

うーん、いい香り。
もう、いいかな…………。ちょっと、疲れた。

「ベイルートさん、今日の予定は?あと何かする事あるかな?」
「うん?無いと思うぞ?夕飯を食べるくらいか?」

それならいっか。
しばらくゆっくりと新しい茶器でのお茶を楽しむ。くるくると、アキの様な色をしたお茶をカップの中で揺らす。

夕飯で会うかなぁ。
謝った方がいい?いや、それもなぁ?
うーん………。

あ。

お風呂作ろう。

そう、そういえばお風呂を作ろうと思っていたら鐘が鳴ったんだった。
うん、気分転換しよう。そうしたら、また新しい展開が閃くかもしれないし。

そうと決まれば、やっちゃおう。お風呂を作れば丁度いい時間かもしれない。晩ご飯は、何時かな?

置きっ放しだった石をキッチン棚から取り洗面室に入る。そうして一度、どんな感じのレイアウトにするのか、ゆっくりシャワー室を見ながら考える。

うーん。シャワーはそのままでもいいか……でも位置をずらしたいな?そんな事できる?ベイルートさん知ってるかな?
洗い場も出来そうだな‥仕切りが必要。
結構全体的に弄りたいけど、そんな事出来るかな?

手のひらの上の石を見る。
淡いグリーンのマスカットの様な色の石。
私の掌大なので、割と大きな石だと思う。
ふんわりとしたその雰囲気から、とても癒されそうな空間ができる事が予測出来る。

「ベイルートさん?」

ちょっと聞いてみようかとダイニングを覗いたけど、玉虫色は房の中にチラリと見えるだけ。
寝ているのかもしれない。
うーん?とりあえず、やってみるか…………。


洗面室の中央に石を置く。
そうして目を瞑り、どんな空間にしたいのか出来るだけ詳細に思い浮かべるのだ。
もし、足りなかったら協力してくれるかな?みんな。癒し空間だから、いいよね?

そうして一息ついて、思い浮かべる。
私の、癒し空間。毎日の浄化をする場所だ。
嫌な事があった時、ゆっくりしたい時、ちょっとお姫様気分になりたい時なんかも、いいよね?
キャンドルとか綺麗な石も置いて、目でも愉しみたい。
そうすると………少し棚があって。
湯船はゆったり、ちょっと段差なんかあると半身浴出来るかな………。舟形にして、シャワーは家のやつに近くて持って洗えるのがいい。
色は…白もいいけど落ち着く木も良いよね。でもおこもり感が出る岩風呂風も良いな…え~色は迷うなぁ。どうしよ。
でもさっきの条件を色々当てはめると、やっぱり白かな。うん。白い、ツルッとした石‥って出来るかな?でも石だと冷たい?床暖。出来ればお願いします。

そこまで考えて、頭の中が纏まるとギュッと力を込めて力を入れる。なんだか、染めの授業に近い。自分の思い通りに、力を込めて変えていく感じだ。

少し、フワリと風が吹いただろうか。

なんとなく、力を込め終わった気がしてスッキリする。そして、目を開けてみた。
出来てる、かな?ドキドキする。


「う、わ。」

出来てる!凄い!完璧じゃない?

そこは私の想像通りの癒し空間だった。

お風呂の事しか主に考えてなかったが、洗面台もお風呂に合わせて白いものに変わっている。
鏡もスッキリ四角の枠に嵌った見やすいものに。
お風呂との仕切りは衝立の様な物があったのが、カーテンに変わっていて半透明のビニールカーテンの様な物だ。
え?この世界にビニール無いんだけど、大丈夫かな?まぁ帰る時に処分すれば問題は無いか…。
でもやっぱりビニールは便利だよね……。

ハーシェルの家では、もらった布でカーテンを作っていた。でもやはり、濡れたままでぶら下がっているのを見るとどうしてもモヤモヤするのだ。
そのままにしておけば、乾くのは分かっているけれど。こればっかりは気になるものは仕方ない。

でもビニールだとその心配無いもんね。
やった!

カーテンを引いたり開けたり、少し試して頷き、湯船を確認する。
石?だね?
靴を脱いでみても、冷たく無い。うわ。凄くない?
湯船も暖かい訳じゃないのだけど、冷たくないのだ。どうなってるのかはさっぱり分からないけど、とりあえず結果オーライ。
まだお湯が入っていない湯船に、ちょっと入ってみる。

うんうん、ちゃんと腰掛けれる様になってるね。良い感じに足も伸ばせる。
ここに飾り棚ができたんだ。うん、何かいいもの調達しよう。石………は持ってきたやつしか無いか?ここって石あるのかな?
それは後で聞いてみるとして、バスソルトみたいなのないなかぁ?あー、ウイントフークさんのお母さんの所にないかな?化粧品扱ってるならあるかもね………。塩さえあれば何とかなりそうだけど?
ちょっと飾ってみたくなって、持ってきた物を物色しに部屋へ戻る。

「何があるかな?最低限のものしか入ってないからなぁ?」

部屋を見回してお風呂に置けそうなものがない事を確認すると、隠し箱の中を探ってみる。
なんか、入ってないかな?

すると多分、石の様なものが手に触れた。
ん?
取り出すとさっきお風呂に使った石と、多分同じ石だろう。綺麗なマスカットグリーンが爽やかな原石が出てきた。

「うわぁ。可愛い。ウイントフークさん、入れておいてくれたのかな?」

もしかしたら石が足りなくならない様、オマケしてくれたのかもしれない。
お風呂に戻り、先程の棚に石を設置する。
うん。いいね。あとはおいおい揃えていこう。
もしかしたら、あの譲渡室に何かいいものがあるかもしれない。また後で、行ってみよう。

あまり広くは無いが、洗い場も完備され中々快適なお風呂ライフが送れそうである。シャワーもちゃんとホースが付いて、体や髪が洗いやすいだろう。
最後にルシアが持たせてくれた石鹸を置くと、お風呂の中がいい香りに包まれる。
うーん。ここ、多分お花無いからなぁ。これで癒されよっと。
拭き布をいくつか棚に入れて、完成だ。
よし。
一通りお風呂の準備は整った。これで今夜はゆっくり眠れるだろう。




ダイニングへ戻ると、ベイルートはまだ房の上に居たけれど既に起きて色々考えていたようだ。

「お前、流石に長かったな?」
「え?そうですか?」
「ああ。多分もうすぐ夕飯の鐘が鳴るぞ?」
「ウソ?そんなに?」
「まぁ、それはいい。で、とりあえず夕飯の間だが。」

そう言ってベイルートはテーブルの上とくるくると回り始めた。人間だった頃を知っているので、考えながら話している事は分かるけど、やっぱり面白い。いや、可愛いんだけどね。

「出来るだけ、ネイアと一緒の方がいい。昼も観察してたんだが、とりあえずその辺で会うと一緒に食べる、って感じだったな。まぁ、派閥の関係は少しあるだろうが、大体上はみんな同じだからな…。お前は銀だし、特に誰が駄目、とかは無いだろう。」

さっきから少し疑問に思っていた事を訊いてみる。結局派閥って、何?

「それって、何の派閥なんですかね?ただ、家の間での格差とかですか?それとも宗教じゃ無いけど敬うものが違うとか?何が違うんですかね?」

ベイルートも少し考えている。ウイントフークからの情報には、あっただろうか。

「俺も結局デヴァイの人間では無いからな。そもそも、ここは奴等の出張所みたいなもんだ。あっちからの派閥なんだろうが‥家、なのか。しかし、思想的なものかもしれん。もし、家の力とかで決まるとしたら弱い者は強い者に与する事が多いだろう。しかし、青は孤立している。これは、何かあるからだろうな。青にとって、譲れないものが。」

そうか。
確かに、力の中では青は一番弱いとされている。
ん?家の色と力の色って一緒なの?
そのまま質問すると、ベイルートはこう答えた。

「元々はそうだったらしい。しかし血族婚ばかりするわけにもいかんだろう?だから大分血は混ざって、今は力はバラバラに生まれるみたいだな。一応、家は決まっているから例えば青の家でも力が強ければ黄色のラインが入ってる筈だ。」

ふぅん?なんか面白いな?
それでも力じゃなくて家の方が重視されるんだ?

シャットでは力が全てだった。それで上下は無かったけれど、身分かぁ。
ん?待って?

チラリと自分のローブを見る。
銀に、黄色のラインだ。
……………て事は?

「ベイルートさん。私、一番です?これ?」
「そうなるだろうな?さっき見てた感じだと、銀のローブは少なかったし、ラインが入ってるやつは茶と青だったからな。他にも黄色がいるかもしれんが、分からん。」
「え。ウソ。目立たない様にコッソリ色々探る予定は?あれ?どうしよ………。」


そしてまた私がワタワタし始めたと同時に、夕食の鐘が鳴ったのだった。
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