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7の扉 グロッシュラー
ネイアと石
しおりを挟む「で、後はここ神殿ですけど。」
その、ラガシュの声でハッとする。
お兄さんの事でぐるぐるしていた私は、少し頭を振ってまた青いフードにかかる青のサラサラヘアを眺めていた。
「ここは石があるからある意味簡単でした。みんなに、「凄かったですね?」と言うだけで判りますから。」
???
意味が良く分からない。
「説明しろ。」
気焔も、やはり解っていない様だ。
私だけ、話を聞いてなかったという訳ではなくて良かった。
「ネイアの、力の「色」が皆同じな事を不思議に思った事は、ありませんか?」
うん?
説明しろって言ったのに、質問から始まっちゃったけど?
そんな私の疑問顔にお構いなしに、ラガシュは私に尋ねてきた。
「ヨルは、どう思いますか?」
「え………。以前、少しウェストファリアさんとその話になったんですけど。多分、長くここにいる、から……………?」
最初の頃、ネイアのまじないの色は黄色が多いと………何で聞いたんだっけ?
石の、話だったっけ?
ウェストファリアとは、まじないの色と石の話をよくしていたので、いつ、どんな話の流れでそうなったのか、覚えていない。
しかし、ラガシュは多分ネイアにとっては致命的であろう秘密をサラリと口にした。
そう、今日の食堂のメニューくらいの、口調で。
「表向きは、そんな感じだと思いますが。実際はですね、私達ネイアの石で出来てるんですよ。あの、礼拝堂のまじない石は。「普通に」出来るには、大き過ぎると思いませんでしたか?」
ちょっと、思考が追いつかないんだけど?
考えている事が、そのまま口から出る。
多分、ラガシュの態度からここがまた彼の空間になっている事が判るからだ。
「ネイア、の石………って、自分のまじない石って事?守り石の??」
「そうですね。まぁ、人質みたいなものですよ。たまに例外もいますけど、それがウェストファリアと僕です。あ、あとはミストラスもか。」
「何で例外?」
「ウェストファリアは少し違いますけど、僕なんかはこの「目」の所為でまじないが馴染まないらしいです。いろも、違い過ぎる。ミストラスは銀の家だからかも知れませんが、それは分かりませんね。」
………確かに、ラガシュは「特殊な目」と言っていた。
ウェストファリアはまじないの色が見れるし、特殊な能力を持っている人はまじないの色が違う事が多いのだろうか。
「一応、ここに来た時試されたんでよ?でも、出来なかった。「合わなかった」んです。あの、石に。」
私が来てからも少しずつ変化していた、黄色の大きな、石。
あれが。
人の、守り石を集めて作ったものだったなんて。
「えっ?!じゃあ、あの爆けた石は?どうなったんですか?」
意図してやってないとは言え、私はあの、みんなの石を破壊した。どこまでどう、なったのかは知らないが爆けて飛び散った筈だ。
「まあ、大事ないですよ。代わりの石はレシフェがどうやったんだか、用意してくれましたし。」
「ただ、ですね。」
言葉を止め一度、私の目を正面から見つめるラガシュ。
「その、代わりの石に力を込めたのが、あの子だった、という事ですね。石は、交換できるのは知っていますか。」
「はい。」
「とりあえず、あの石とネイア達は別に心臓と身体、という迄の関係じゃあありません。でも、胃袋、程度の関係では、ある。その空腹が彼女のまじないで満たされているんですよ。今は。」
?
そうすると、どうなるんだろう?
助けを求めて後ろを振り返る。
苦い、顔をしている気焔。
本物の石からしてみれば、何か思う所はあるのだろうか。
「最悪だな。」
「まぁ、そうとも言いますけど。」
二人の言っている意味が、イマイチ落ちてこない私は一人考えていた。
でも、あの子が悪い子じゃなきゃ、別に問題ないって事だよね?
違うのかな?
「ねぇ?」
「なんだ。」
「でも別に、今の所急に乗っ取られるとか、何か不都合な事が起こるわけじゃないんだよね?」
あら。
二人はまた、私のことをおかしなものを見る目で見ている。
「あなたには危機感、というものが無いんですかね?ネイアが殆ど、敵になるかもしれないんですよ?」
「何故?戦争でも、するの?」
「そういうことでは、無いですけど…………。」
「じゃあ、特段問題じゃなくない?まぁ、ネイアは人質みたいでちょっと可哀想だけど…。何か方法があればいいんだよね?うーん?」
勝手に石をあげて、そっちを守り石にする、とか出来ないのかな?
でも今迄やる人がいないって事は、不可能だって事?でも流通がなくて手に入らないなら、奪われたら終わりなのか…………?
「いつも、ああなんですか。」
「まあ、そうだな。あまりあいつの考えてる事は気にせず、こっちの事は進めた方がいい。アレは自由にさせておくのが一番いい。」
私が一人ぐるぐるしている間に、何やら気焔とラガシュは失礼な事を言っていたらしい。
何となく、二人が話しているのは解っていたが私はどうやってネイアを解放するかを考えるのに没頭していた。
「ヨル。」
肩をたたかれて、図書室のいつもの気配を感じる。
ラガシュの空間が解かれたのだろう、人の動きが感じられるのはお昼が近づいているからか。
私のお腹は少なくともそう言っている。
「じゃあまた、何か分かったら。」
「はい。ヨル、分からない所は聞きに来てくださいよ?」
「はぁい。」
一瞬、頭が戻ってなくて「何のこと?」と思ったけれど、きっと新説の研究と歴史の事だろう。
祭祀が終わったらやる予定だった、研究。
私はだいぶ遅れている筈だ。
またぐるぐるし始めた私の背を押して、気焔は図書室からいつの間にか移動していた。
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