透明の「扉」を開けて

美黎

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7の扉 グロッシュラー

姫様の一日

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朝、部屋に帰ったら、事件が起きてたの。


あの日は、依るが女子達でお茶だと言って一日いなかった。
気焔はその間に方々用事を済ませて、仕事をしてたみたい。

私は私で地階に行ったり、イストリアに頼まれた情報収集をしたりしてたわ。
でも、私が話せる事は結構みんな知ってるからベイルート程、上手くいく訳じゃない。

まぁでもそれなりに、やってたのよ。

その、部屋に帰るまでは、ね。






「え?どういう事?何したの?まさか…?」

「何もしとらん!」

少し怒った様子の気焔と、その前で悠然と微笑む依るの姿をした、あの人。


そう、ベッドに悠々と座っているのは紛れもなく姫様だった。

なぜすぐ分かるのかと言うと、姫様は瞳が銀色なのだ。
銀に、少し青が入っている。髪も、ほぼ白っぽい、銀。

そして何より、表情が違う。

こう言っちゃなんだけど、依るが表情出来たなら。
気焔は、困るでしょうね。

そんな、色気というか色香のある、顔なのだ。

全然違うから、色が同じでも顔ですぐ分かるけどね。
でも、他の人にはどうか知らないけど。


「で?何でこうなのかは兎も角、どうする訳?」

気焔に振ってはみたけど、気焔だって困っているに違いない。
苦虫を噛み潰した様な表情に変化している金の石は腕組みをしたまま、何も言わない。

考えあぐねて、チラリと姫様を見たけれどなんだか愉しそうだ。
多分、気焔の反応が面白いみたい。
この二人って、どういう関係なんだろ……………?
具体的に、訊いたことないけど。

ま、それは今はいい。

何しろ、依るのお腹が盛大に、鳴った。


「どう、する…?」

「駄目だ。」

「まぁね…………。」

確かにこの状態で食堂へ行く訳にも、いかない。

なんか虫みたいにみんな寄ってきそうだし…。

そもそもこの子はいつからこの状態な訳?
夜は?寝て、起きたらなってたのかしら??
でも姫様のまま一緒には寝なそうだしね…………?

どうなんだろうな………?


そんな事を考えつつ、依るの避難場所を検討する。

でも、私が思い当たる場所は、二つあった。
依るを隠せる、このグロッシュラーでの場所。

それは、貴石かイストリアの所。
木を隠すには、森の中だしイストリアの場所も安全な筈だ。

ま、訊かなくても答えは分かってるけどね…。
でも、訊いちゃうけど?


「で?どうする?どっちに…………。」

「湖へ連れて行く。」

「はいはい、分かってますよ。一応訊いただけじゃない。」

ちょっと悪戯のつもりで訊いたら、姫様がちょっと興味がありそうに動いたから怒ってるわぁ。
危ない危ない。

チラリと視線を送ると、本気で貴石へ行く気は無いのだろう、少し悪戯っぽい顔をして、私を見た姫様。
意外と話が通じそうよ…………。

まぁ何しろ早いとこ送ってった方がいい事だけは、確かだけどね。


そうして気焔は、おかしな顔をしたまま金色の焔を出して姫様を包んだ。

「朝どの?行くぞ。」
「え?あたしも??」

そうして姫様に抱えられて、私も湖へ行く事になった。

流石に一人じゃ、置いとけないわよね。

なんかそれは、確かよ。うん。











そうして出会って早々、依るの秘密をバラす事になったイストリアは至って普通の対応だった。

流石、ウイントフークの母親。

何となくだけど、予想していたというか、知っていたと言うか、そんな感じの対応だった。
明らかに違う、依るを見てもただ楽しそうにニコニコしていたのだ。


「じゃあこっちは任せておいて。この前預かった枝でも植えておくよ。」

「ああ、すまんが頼む。」

気焔は依るがいつ戻るか分からないから、色々手配をしなければいけない。
私達を送ると、すぐに戻って行った。



今日は朝だからか明るい空色の湖の空間。

桟橋の上に佇み空色を受ける姫様は、とても綺麗だ。
全部が、水色になって溶け込んで行っちゃいそう…。

やっぱり依るの時とは、雰囲気が違うわね………。


姫様は興味深そうにぐるりと空間を見渡している。
あの人には、どう、見えるんでしょうね?


イストリアはそんな姫様をニコニコしながら見ていて、一頻り景色を堪能したかという頃声を掛けた。

「さぁ、ではお弁当でも持って畑に行こうか。」

え。

何それ楽しそう。

そうして私達はイストリアの案内で何処にあるのかと不思議だった畑に、行く事になったのだ。








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