透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ

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「お前は。どうしろ、とか言っていたか?」

で、あれと。言ってました。」

「「敵」と、言うのは?」

「私が「変わらない人」と、対立するなら………でも、フリジアさん自身が「敵」と言った訳じゃありません。そうか、「変わらない者を悪とするなら、対立するだろう」的な事言ってました。」

「関与すると?」

「いや、って。言ってましたね…だから揉めちゃいけないんだと思うんですけど、そうするとどうしても…うーーん?」


結局、同じ疑問に詰まり出した私を置いて、いつもの様に部屋をぐるぐる回り出したウイントフーク。

こうなれば。
もう、暫く放っておいた方がいいだろう。

私も実際、どうしていいのか分からないのだ。

ウイントフークのぐるぐるを止めてまで、聞きたい事など無い。
とりあえず、今は。

目の前にある問題を、どうするか考えた方が、いい。


「うーん。でも。あっ、またでもって言っちゃった。でもさ……いや、もういいや。」

「何言ってるのよ、一人で。まぁいつもだけど。」

そのツッコミはスルーして、そのまま朝に愚痴る私。

「でもさ。苦肉の策な、訳じゃん?私だって嫌だよ。でもな…………ちょっと想像しただけで、なのに。あの人、どうしてるんだろ??」

「え?気焔のこと?」

「え?なんで分かったの?」

「あんたがそんなキラキラしたもの出すのなんて、アレ絡みの時に決まってるからね。「苦肉の策」って事は。婚約の、こと?」

「うん、まあ。」

「何か言われたの?」

「ううん。ただ、「本当であれ」って。だから、って。偽り、じゃない?最大の嘘って私的にはアレなんだよね…………。」

「ふぅん?」

なんだか含みのある朝だが、今の私にそこまで頭は回らない。

でもさ?なんでも。
直球で行け、って事だよね………?


「ちょっと。今、投げたでしょう。………まあでも、あんたは。あんまり考えない方が、結果万事上手く行くのは分かるわぁ。こっちは大変だけどね。」

「うーーーん。やっぱり?」

「そうよ。ごねごね考えると余計な事に、なる。をするのは、あっちの。役目でしょう?やっぱりここに来てレシフェがいい調整役だったのが分かるわね。私が仕事しなきゃいけないもの。」

「フフッ、そうかも。よろしくね?朝。」

「はいはい、あまり………そうね、「やり過ぎるな?でも縮こまるな」ってところかしら。」

「うん。でも具体的にどうすればいいのか、全然分かんないんだよね………。ウイントフークさん、何か言うかな?」

「あまり期待しない方がいいわ。私の予想だと「お前は好きにしていい。いつも通りだ」とか言うわよ、きっと。」

「似てる!!ウケるんだけど!」


「おい。」

「ウヒャっ!」

いきなり背後で声がして、飛び上がった。

「朝の言った通りだ。お前は今迄通り。好きに、やれ。こっちの変更しかしなくていいんだ。そもそもお前が動くかは。元々そう予測できるものでは無いからな。確かに、俺達は気付かぬうちにお前を縛っていたかもしれん。これからは、含めて、好きにしろ。」

「えっ。それって…………。」

頷いた、ウイントフーク。
ぐるりと周って私の正面に座り、続きを話し始める。

「表立って婚約破棄はしない。現状このままだが、好きな様に動いていいって事だ。破棄する方が面倒だからな。それに考えてみれば、あれは勝手に広まるだけで俺達銀の間だけの、話だ。」

「多分、これ迄に。記録に残っちゃいないだけかもしれないが銀の婚約が破棄された事はない。だがな。」

えっ。
悪い顔してる!

「お前が来て。これまで通りだと、考えていた俺が悪かった。もう、好きにしろ。後始末はこちらでやる。好きなだけ、暴れて来い。」

「えっ。」

私、暴れ馬とかじゃ、ないんですけど???


でも。

正面のキラリと光る茶の瞳は完全に悪戯色に染まり、生き生きと輝いている。
なんだか楽しそうなそれを見て、思わず私の顔も緩んでしまった。

やれやれ顔の朝も「これで一件落着ね」なんて、言っているし。


「なに、これ。」

「俺が知りたいわ。」

「私も。」


「「まあ、依る(ヨル)だから。」」

「結局、それ?!」

いつものソファーで顔を突き合わせている私達。
緩んだ空気に三人、顔を見合わせて笑うと。

ヒラヒラと舞い出る蝶、ウイントフークは氷の溶けた飲み物を飲み始め、私も再びクッキーを摘まむ。


いつもの本の山の間を、観察する様に舞う蝶達。その一段鮮やかに変化した色を眺めながら、ゆったりとソファーに凭れて。

軽くなった心に、ホッと息を吐いたのである。





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