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8の扉 デヴァイ
満ち溢れるもの
しおりを挟むふつふつと 自分の中から湧き上がってくる
なにか
私は何処へ行っているのだろうか
分からないけど
湧き上がる何かに押され
謳うんだ いつも。
出てくるの 自然に。
ことば おもい いのり うた
それは 色んな カタチ では
あるけれど
重要なのは
カタチ じゃない
なかみ いろ におい あたたかさ
そんな感じ
「感じる もの」
頭に言葉が 思い浮かぶ前に
感じる なにか だ。
ただ ただ 光を
光を 感じたくて
降らせたくて
自分の なか に
ある 溢れる 光
勿体ないもん 撒かなきゃ
勿体ないもん 見て もらわなきゃ
でもね
見えなくとも いい
見なくても いいんだ
ただ それは 私の 自己満足だから。
ただ 降れば いいの。
空から 燦々と。
気が付かないくらいで 丁度いいかも知れない
そのくらいで いい
返して欲しくはない
ただ 降らせたいだけ
ただ
ただ
降らせて
この 大地を 満たしたい だけ
そうして 大地が チカラを増して
その 上で 育まれる
沢山の 生命
それは 色とりどりの チカラに溢れていて
私の 目を
愉しませるだろう
それが 見たいのかも 知れない
そうね
そうか
それなら。
謳わねば ならぬだろうな?
ひっそり こっそりと
この この島の端の 隅の 旧い
ずっと ずっと ここに 在る
時間を 刻んでいるもの
時間の 記録者
空間の保持者
きっと ここの。 長老だ
だから。
私が謳えば きっと喜ぶ
そう
きっとまた ここが
始まるから。
時を告げる 謳を謳うよ
寿ぎの 謳を 謳うよ
きっと また素敵な空間になる
それを 留めてくれるのが
あの人
連れてきた あの人
描いてくれるかな いや 描くだろう
描かずに いられないだろう
だって 創造者って
そういうもの だから。
さあ 筆を持って?
さあ 私も顔を上げよう
静かに 自分の 真ん中を 感じて
全部 引っ剥がした 真ん中の 自分
真っ白な 光の 私
そう この 真ん中の舞台で。
ぱっかりと無防備に その身を晒して
謳おうじゃないか
大丈夫
あの 色も 見てる
それなら。
とびきりの いろ で。
謳うよ
「今」が 「その時」だから。
旧い神殿、灰青が掠れた礼拝堂には私とコーネルピン、離れて金色が、いる。
時折降りてくる何かの声に従って、私はいつもの様に謳う事にした。
だって、この声には。
抗えない。
きっと私の「真ん中」が言っているのだろう。
「謳え」と。
それなら。
謳うしか、ない。
他のみんなは多分、畑の方へ行った筈だ。
金色がそう、手配してくれただろう。
ここで。
私が謳って。
光が飛んでも、この人がここに居れば大丈夫だし、それを描いてくれる人も、いる。
「時が止まった 空間」を描くという趣旨からは、幾らかズレるかも知れないけど。
でもきっと、ここが気に入ったなら自分で描きに来るだろう。
芸術家なんて、そんなもんだ。
私が今日、ここで祈る事で。
グロッシュラーが、またどう、変化するのかは分からない。
余計なこと?
いや。
きっといい方向へ行く筈だ。
なんとなく、それは。わかる。
多分、もう一息の「チカラ」が足りなくて。
ここは、もう一歩を踏み出せないのだろう。
なんだかそんな感じが、したのだ。
この、大地を踏んだ時に。
ひっそりとあの子が、伝えてきたのだろうか。
あの、気持ちの良い、揺り籠の。
何の謳が、いいかな
どう しようか
でも。
こころの、ままに。
さあ、では 美しいものを見ようか。
そうして私はぐるりと、この崩れかけの礼拝堂を見渡し始めた。
高い、天井。
幾重にも重なるその様は、剥離すら美しく感じられる影を重ねている。
床に散る瓦礫は埃と塵により繋がれ、オブジェの様に色の無い床を飾る。
凹んだ座面のベンチは「在った」ものの影を色濃く残し、神聖なるこの空間に人の影を齎していて。
初めに私が休んだ、祭壇の様な凹み、ベランダ部分も既に懐かしさを醸し出している。
あの時とは全く違う、私。
少しは、成長できただろうか。
でも。
あの時、無かったものが胸の中にあるのは分かる。
それは、沢山の私の経験が齎した、沢山の色で。
何故だか今、溢れそうなそれを、ここで謳わなければならないと、私の「なかみ」が言う。
それならば。
今、ここで思う、「私の」。
「想い」を、謳おうじゃないか。
沢山の世界を見てきて、思う、こと。
美しくも暗くもある、世界から、感じたこととは。
目を瞑り、口を開き、何も考えずに、音を発した。
「 生きる ことって
なんだ ろうか
生きる ことって 難しいんだろうか
だから きっと
「愛」が 必要で
「光」も 必要で
きっと みんなに 満遍なく降れば
きっと みんなが
輝いて 生きられる
きっと「愛」って
「ぜんぶ」だから
みんなが みんなを 持つ ということ
だから
楽しく 時に 悲しくたって
みんなが 「愛」と「光」を もてば
それは きっと
悲しみすら 楽しみに変える
私たちは 何処に どうして
どう やって
辿り着くのだろうか
わからなくとも 不安 でも
でも この 暖かい 光で
照らせば
きっと 満ちる
端から ゆっくり 満ちて
きっと 満たされるよ
それが 見たいの お願い
ありがとう
ずっと
見守っていてくれて ありがとう
少しずつ 返すよ
まだ 少ないけれど
でも それを また 空から
お願い
そうして 満たすよ 全てを
「愛」と 「光」 で
全てを 」
目を、瞑っていても自分の上から光が注ぐのが分かる。
頭上が眩しくて、でも応えてくれているのが嬉しくて。
そのまま、謳っていた。
ふっと、自分の声が途切れて「終わり」なのだと知る。
まだ目を開けたくなくて、そのまま真っ直ぐ、立っていた。
あの、中央の丸い部分に。
「うん?」
熱い?
「依る!」
焦りを含んだ金色の声、彼がすぐ近くに来たのは分かったけれど私が目を開けた時には既に。
私は一人、光の柱の中だった。
あ、れ…………?
何コレ。どこ?
でも。
多分、移動してないのは、判る。
きっとあの鏡面の中に、いるに違いない。
場所を移動していないのは判るが、すっぽりと鏡の中に入ってしまった様な自分。
「色」と「質感」は違うが、例えるならばあの揺り籠の中に、近いここ。
だから不思議と、怖くはなかった。
でもな…………。
あの人、大丈夫かな…………。
でも多分。
これって、この神殿の何かだよね?
じゃあ大丈夫か…………。
ある意味自然に、在るこの存在に私がどうこうされない事は知っているだろう。
あまり心配してないといいけど。
しかし何故。
私はここに、招かれたのだろうか。
暫し、様子を伺うも何も起こる気がしない。
静かである。
これはこれで…………。
いいかも、ね………?
いやいや、どうして。
私が。
ここに、入っちゃったわけ??
それよ、問題は。
ねえ。
呼んだ?
呼んだ、よね?
教えて………。
私は自分をここへ入れたのは、この旧い神殿だと知っている。
これまで歌った時にも、祈った時にも。
応えた事のなかった、この神殿。
何故今、今日は。
応えて、くれたのだろうか。
うん…………?
青の本が「まだ」とか、なんとか言ってた…………?
この子達もそんな事、言ってた様な…………。
自分の腕輪をチラリと出して、確認するもみんなはダンマリである。
ふぅん?
なら、やっぱりこの神殿に訊くしかないよね?
「ねえ?」
なんとなく、光が下から出ている気がして、足元を見た。
ん?
光ってる、な?
私は多分、光の柱の中にいるのだけど。
その、足元にあるあの鏡面、周りの紋様の中の、一つの文字が光っているのだ。
なんだか「♢」みたいな、文字…なの、これ………?
トリル~!
あ、そうかここグロッシュラーだから訊けばいいじゃん。
イストリアさんもいるし??
うん、この文字だけなら覚えられるわ流石に。
ていうか。
返事、頂戴…………?
さて、どうしようかと思うと同時に降ってきた、音。
それは「音」なのだけど、私の頭の中で「言葉」に変換される。
何故だかそれが、直接頭の中に響いているのが、分かるのだ。
「「新しい風を吹かせ 種を芽吹かせたいならば」」
「「古きものは 一度死なねばならない」」
えっ。
「一度死ぬ」?
思考が止まる。
しかし静かな光の中では自分しか無く、すぐに戻ってきた私。
その、「意味」を考え始めた。
でもとりあえず。
これだけは、訊いておきたい。
この空間がいつ、終わるのかは判らないからだ。
「それは。一度、死ななきゃ駄目なの?絶対?」
「「 死 とは 」」
「「 死ぬ とは
如何なることか 」」
え。
また。
謎々みたく、なってきたよ…………。
何それ~。
うーーーーーーーん?
でも。
「死」の、意味が?
色々、きっと、あるって事だよね?
だから。
「私の」。
「「死」で。いいって、ことだよね?」
頭の中の光が、一際強くなって。
多分、「そう」だと、言っているのだと、思う。
それなら?
なんとか、なる??
うーーん???
しかし光は既に、徐々に弱まりこの時が終わりに近づいているのは、分かる。
もう、きっと応えは無いだろう。
「ありがとう。また、謳うね?」
薄れてゆく光の中、それだけ言うと。
ゆっくりと再び、目を閉じたのだ。
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