透明の「扉」を開けて

美黎

文字の大きさ
594 / 2,079
8の扉 デヴァイ

私 たち

しおりを挟む

「なんか。とりあえず。そもそも論なのは、分かった。」

「は?」
「何の話だい?」

いきなり目を覚ましそう言って、金色の腕の中でドヤ顔をしている「私に」説得力が無いのか。
それともこの「状態」が、そうさせているのか。

チラリと背後を振り返るも、きっと私を離す気の無い金色は知らぬフリを決め込んでいる。
青のローブに包まれた私は、とりあえずそのままくるりと隣の青い巻毛を見た。

「急にフワッと現れて、抱えられたのよ」と、私の視線を受けレナが言う。
きっと予測はしていただろうが、まんまと私が気を失ったので少し落ち込んでいる様子である。



目が、覚めてみると。
既に中二階でみんなに囲まれ見つめられていた私は、とりあえず開口一番そう言ってウイントフークを呆れさせていた。


しかしどうやら眠りこけている、間に。

レナに大体の話を聞いた大人達は、ある意味仕方が無いと思ってはいるのだろう。
イストリアも「貴石は向こうに行かないと解決しない」と、言っていたし。

ウイントフークとその話をした事は、無い。

でもきっとクテシフォンやベイルートの反応を見ても、私に話す話題では無いと思っている事は流石に分かる。
まだ、子供だと思われている事も、あるだろうし。

私の見ている、夢なのか、何なのか。
それも、この人は知らない筈だ。

その話を知っているのは、多分………。


チラリと再び振り返ると、心配そうな金色の瞳が見えて。
今、その質問をするのは止めにした。


きっと、

何故だか、思ったしが。

「私たち」の。

道?

運命?

いや、なんだ、ろうな………。


少し考えてみたけれど、上手い言葉は見つからなそうだ。

きっと、この子達は。
んだろう。

袖口からチラリと金色の部分が覗く、腕を見る。

そう、セフィラの腕輪だった、この子達は。
何を、どこまで知っているのか分からないけど。

あの狐千里だけは、きっとちゃんと、解ってるんだろう。
そんな気が、する。

なんでかは、分かんないけど………。



そんなぐるぐるしている私の前で、大人達は顔を見合わせ少し困っている様である。

珍しく静かにお茶を飲んでいるウイントフークが、なんだか少しおかしな感じだ。
その神妙な雰囲気に合わない可愛らしい桜色のカップをカチリと置くと、何を考えているのか表情は硬いまま、腕組みをした。


まあ、確かに。
話し辛い、内容ではあるのだろう。

とりあえず誰も口を開く様子が無いので、私は言いたい事だけ言う事にした。

そろそろ、考えが纏まりだしたのか。
ピクリと動いたウイントフークに、追い出されそうな気配がしたからだ。


「多分。まだ、誰もスタート地点に立ってすら、いないんですよ。みんな、あの子達と同じ。ロウワの、子供達と。だから、本当のことなんて誰も言わないだろうし、気付いてないだろうし?」

。まあ、最悪普通に昼間でもいいですけど、ものっ凄く美しい星空でも見て心を満たせば良いと思うんですけどね………それ一度じゃ無理だろうけど、何事も積み重ねが肝心ですよ。で、フリジアさんが言ってたみたいに選択は個々に任せて。変わりたい人は、変わればいいし変わりたくない人は。「そのまま」で、いい。」

「うん。」

一人、頷いて締める。


ホントは。
みんな。

上を向いて欲しいし、楽しんで欲しいし、心からの。

笑顔が、見たい。

誰に気兼ね無く、素直な、心からの。


でも、そう「させる」ことは、できないし。

それじゃあ、意味が無いんだろう。


「だからね…………フフフ。誰もが「美し過ぎる」としか、言えない星空を現して自然と笑顔になる作戦を遂行するしかない訳でして  」

「阿呆。とりあえず、連れてっていいぞ。ここからは、こっちの管轄だ。」

「ああ。」

何故だか本部長は金色にそう指示すると、私とレナに「シッシ」と再び手を払った。


隣の丸い瞳と目を合わせると、頷いてレナは席を立つ。
私は勿論、未だ抱えられているので金色が立ち上がっただけである。

「このまま?行く、の?」

「当たり前だ。」
「それがいいわよ。じゃあ、また、ね?」

「うん。ありがとう、ごめん?ね。」
「ううん。まあ、解ってたし。私こそ。」
「いやいや………」

私達のやり取りを横目に、スタスタと歩いて行く金色。

レナは先に扉を開け、私達が出ると「じゃ!」と急ぎ足でキラキラの木立へ消えて行った。


うん?
なんで急いでたんだろ??


しかし、その理由は振り返った私のすぐ側にあった。

そう、その金の瞳は。

爛々と、未だ燃えていたから。

とりあえずのお説教?を、覚悟したのである。
うむ。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

笑う令嬢は毒の杯を傾ける

無色
恋愛
 その笑顔は、甘い毒の味がした。  父親に虐げられ、義妹によって婚約者を奪われた令嬢は復讐のために毒を喰む。

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

処理中です...