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8の扉 デヴァイ
私 たち
しおりを挟む「なんか。とりあえず。そもそも論なのは、分かった。」
「は?」
「何の話だい?」
いきなり目を覚ましそう言って、金色の腕の中でドヤ顔をしている「私に」説得力が無いのか。
それともこの「状態」が、そうさせているのか。
チラリと背後を振り返るも、きっと私を離す気の無い金色は知らぬフリを決め込んでいる。
青のローブに包まれた私は、とりあえずそのままくるりと隣の青い巻毛を見た。
「急にフワッと現れて、抱えられたのよ」と、私の視線を受けレナが言う。
きっと予測はしていただろうが、まんまと私が気を失ったので少し落ち込んでいる様子である。
目が、覚めてみると。
既に中二階でみんなに囲まれ見つめられていた私は、とりあえず開口一番そう言ってウイントフークを呆れさせていた。
しかしどうやら眠りこけている、間に。
レナに大体の話を聞いた大人達は、ある意味仕方が無いと思ってはいるのだろう。
イストリアも「貴石は向こうに行かないと解決しない」と、言っていたし。
ウイントフークとその話をした事は、無い。
でもきっとクテシフォンやベイルートの反応を見ても、私に話す話題では無いと思っている事は流石に分かる。
まだ、子供だと思われている事も、あるだろうし。
私の見ている、夢なのか、何なのか。
それも、この人は知らない筈だ。
その話を知っているのは、多分………。
チラリと再び振り返ると、心配そうな金色の瞳が見えて。
今、その質問をするのは止めにした。
きっと、知ってる。
何故だか、そう思ったしそれが。
「私たち」の。
道?
運命?
いや、なんだ、ろうな………。
少し考えてみたけれど、上手い言葉は見つからなそうだ。
きっと、この子達は。
知ってるんだろう。
袖口からチラリと金色の部分が覗く、腕を見る。
そう、セフィラの腕輪だった、この子達は。
何を、どこまで知っているのか分からないけど。
あの狐だけは、きっとちゃんと、解ってるんだろう。
そんな気が、する。
なんでかは、分かんないけど………。
そんなぐるぐるしている私の前で、大人達は顔を見合わせ少し困っている様である。
珍しく静かにお茶を飲んでいるウイントフークが、なんだか少しおかしな感じだ。
その神妙な雰囲気に合わない可愛らしい桜色のカップをカチリと置くと、何を考えているのか表情は硬いまま、腕組みをした。
まあ、確かに。
話し辛い、内容ではあるのだろう。
とりあえず誰も口を開く様子が無いので、私は言いたい事だけ言う事にした。
そろそろ、考えが纏まりだしたのか。
ピクリと動いたウイントフークに、追い出されそうな気配がしたからだ。
「多分。まだ、誰もスタート地点に立ってすら、いないんですよ。みんな、あの子達と同じ。ロウワの、子供達と。だから、本当のことなんて誰も言わないだろうし、気付いてないだろうし?」
「だから。まあ、最悪普通に昼間でもいいですけど、ものっ凄く美しい星空でも見て心を満たせば良いと思うんですけどね………それ一度じゃ無理だろうけど、何事も積み重ねが肝心ですよ。で、フリジアさんが言ってたみたいに選択は個々に任せて。変わりたい人は、変わればいいし変わりたくない人は。「そのまま」で、いい。」
「うん。」
一人、頷いて締める。
ホントは。
みんな。
上を向いて欲しいし、楽しんで欲しいし、心からの。
笑顔が、見たい。
誰に気兼ね無く、素直な、心からの。
でも、そう「させる」ことは、できないし。
それじゃあ、意味が無いんだろう。
「だからね…………フフフ。誰もが「美し過ぎる」としか、言えない星空を現して自然と笑顔になる作戦を遂行するしかない訳でして 」
「阿呆。とりあえず、連れてっていいぞ。ここからは、こっちの管轄だ。」
「ああ。」
何故だか本部長は金色にそう指示すると、私とレナに「シッシ」と再び手を払った。
隣の丸い瞳と目を合わせると、頷いてレナは席を立つ。
私は勿論、未だ抱えられているので金色が立ち上がっただけである。
「このまま?行く、の?」
「当たり前だ。」
「それがいいわよ。じゃあ、また、ね?」
「うん。ありがとう、ごめん?ね。」
「ううん。まあ、解ってたし。私こそ。」
「いやいや………」
私達のやり取りを横目に、スタスタと歩いて行く金色。
レナは先に扉を開け、私達が出ると「じゃ!」と急ぎ足でキラキラの木立へ消えて行った。
うん?
なんで急いでたんだろ??
しかし、その理由は振り返った私のすぐ側にあった。
そう、その金の瞳は。
爛々と、未だ燃えていたから。
とりあえずのお説教?を、覚悟したのである。
うむ。
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