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8の扉 デヴァイ
休息
しおりを挟むえっ
ああ
そう か。
それでも いいんだ
もう 会えない 会わない けれど
私達は。
しっかりと 愛し合えて
しっかりと 繋がり お互いを 知り
そうしてまた。
これからは 離れた方がいい と。
解ったんだ。
だから。
「私は 愛することが できる」
その 想いだけを 持って 進もう
そうか
それでも いいんだ
良かった そうなんだ
お互いが 納得して キッパリと 終わる
そんな「愛」も。
あって いいんだ。
だって 「愛」に。
ルールなんて 無いんだから。
そうか
良かった
できた
それでいいんだ
愛せた
しっかり 愛することが できた
時間の 長い 短い じゃ ないんだ
そう か
こんな 風に
終わる 愛があっても
いいんだ
そう いいんだよ
「愛することが できた」んだから。
それだけ で。
素晴らしいの だから。
髪を梳く、馴染んだ感触。
ゆっくりと背中まで滑るそれは、あの、温かいあれだと、思うのだけど。
心地の良い感覚、揺ら揺らとゆれる夢心地の、中。
私
私 は 愛
愛 を? 知って ?
「…………うん?」
金色…………愛、いや、好きだけど………?
愛…………?して?いやいやいやいや、待ってちょ、……………うぅん???
少しずつ戻ってくる感覚、自分が夢を見ていたのだと、まず気が付いた。
そして。
それと共に、涙が流れている、ことも。
えっ?
泣い て うん?
夢が ゆめ で
???
悲しかった ?
いいや
あれ は。
いい 「別れ」 だった 筈だ
しかし。
徐々に現実に引き戻される、頭に感じる温かな、あれ。
この、私の髪を梳く、慣れた手つきは、やはり。
…………えっ?
あれ?
いつの間に?
来てたっけ?
てか、私、あの後どうしたんだっけ…………??
確か魔女部屋で。
朝と、「愛」とか「勇気」とか「怖れ」とか。
なんだかややこしい事を話していて、考え込んだ………ああ、その後お腹が空いて食堂行ったんだわ………。
それで、お昼ご飯食べて?
ぐるぐるするのに飽きて、ちょっと書斎で歴史について訊いたらウイントフークさんのお小言になったんだわ………。
ああ、そう、ね。
で、寝たんだっけ??
ぐるぐると昨日の出来事を反芻しつつ、今は朝なのかと少し、顔を出そうと動く。
私はいつもの様に。
金色の懐の中に、すっぽりと包まれていたからだ。
「うん?」
あ、あれ??
しかし、動こうとしても何故だかガッチリと私を捕らえたこの腕から、抜け出せそうな気配は無い。
え?
なんで??
そのまま少し、様子を伺う。
だってこの人は寝ている訳じゃ、ないだろうし。
私の髪を梳いているのだから、何かを考えているのだと、思うのだけど。
一体、何を考えてこうもガッチリ私を捕らえているのだろうか。
「…………解せない。」
ポツリと呟いたその声に、腕がピクリと反応した。
「どう、したの?何かあった?」
そのまま問い掛けてみる。
しかし暫くの沈黙の後、返ってきたのは意外な返事であった。
「その色は、知らぬ色だ。」
「?その色??」
どの、色?
何の話??
しかし自分の中を探し始めた私は、すぐにその「違う色」に、行き当たった。
そう、それは。
今し方見ていた、夢の。
その、「別の私」と「別の相手」の、色だったからだ。
…………え
ちょ えっ。
え えぇーーー ????
ちょ 待って
ナニソレ
ヤキモチって、事??
ちょ やめ
だ 駄目じゃない??
反則…………
「えっ、えっ、えぇーーーーー」
「何が、「えー」だ。」
その瞬間、私の頭の中にはイストリアやソフィアの言っていた、「あの事」がブワーーーーッと、巻き上がって。
燃え上がる炎の様に、自分の「なかみ」が熱く、赤くなるのが分かって、とにかく逃げ込んだのだ。
いや、その逃げ込んだ場所が。
元凶の、懐の中なのだけど。
いやいやいやいやいやいやいや
ちょ ちょちょちょ ちょちょ?
ま まま 待って?
どう しよう か????
…………でも、待って?
ふと、冷静になる。
この頃見ている、沢山の、夢。
今日は「愛」が出てきて、とてもいい夢だったけれど。
時には「死ぬしかない」様な夢の日もあるし、意味の分からない「不安」だけの夢、なんとなく青く「新しい光」がある様な、夢。
沢山の夢を見る中で、その「明るい夢」と「暗い夢」の確率は半々程度だ。
しかしどうしたって、「暗い夢」の方が私に重くのしかかる事は、確かで。
どれこれも、本当に自分が経験した事なのか、ただ、夢に見ているだけなのか。
それは、分からないのだけど。
「…………ふぅ。」
兎に角、この頃疲れていたのは確かな様だ。
毎日会える訳ではない今の環境、私が「合わさって」からは前より様子を見に来てくれる様にはなった。
けれども。
やはり。
「…………うーーーーーーん。」
でも。
我が儘、言えないしな………。
彼には彼の、役目もあるだろう。
青の家で、何をどうしているのかは、知らないけれど。
モゾモゾと腕を緩ませ、顔を出す。
今日も静かに燃える金色の瞳は、やはり想像以上に美しくて。
一瞬で引き込まれるその色に、とりあえず何も考えずに飛び込む事に、した。
そう、私にはきっと。
癒しの時間が、必要だ。
この頃ぐるぐる、考えていること。
解決策が見えない沢山のこと、何れ「解る」と分かっては、いても。
やはり、気にならないことはないし。
これからある、祭祀のこと、揺れのこと、ブラッドフォー…………
「あっ。」
えっ。
バレた?
バレたよね、これ?
いやいやいや??
まず、く、ない????
あの時の禁書室、私達の他にはベイルートしかいなかったけれど。
だって、心の中には。
いつだって。
これが、あるから………ね…………???
暫くそのまま、顔を埋めていたけれど、反応は無い。
もしかして?
もしか、しなくても??
…………いやいやいやいや、絶対、気付いてるよ。
気付いてるから、…………?なんだろ?
ふと、今どんな顔をしているのか気になる。
怒っているのか。
悲しい顔か。
それとも。
さっきの様な、不貞腐れた、顔…………???
チラリと過ぎる、「その不貞腐れた顔が可愛い」という、思い。
いや。
でも。
あれは、危険だ。
私の本能は、そう告げているけれど。
「依る。」
あっ。
有無を言わせぬ声で、私の名を呼ぶ金色。
ゆっくりと持ち上がる顔、自分が今どんな顔をしているのか。
分からぬまま、混乱しながら金色の瞳の範囲に入る。
うっ。
無理…………
辛うじて目を、瞑ることができた。
「……………っ」
ブワリと侵ってくるチカラ、その勢いと共に熱い焔が紛れ込んで、私の身体の中を廻る。
うっ。
ちょ
ちょっと え? な に
いつもより熱いそれ、何故だか分からぬまま全身を舐め尽くされた様な気分になって、グッタリと横たわる。
いや、さっきからずっと。
抱えられて、横にはなっているのだけど。
なに この 新しい 技??
ちょ っと 力が 入らない んだけ ど??
身体はグッタリとしているが、頭の中だけは忙しく働いて金色の動きを追う目。
いや、寧ろ、目も。
閉じたい気分なのだけれど、これ以上何をされるのかと気になってそれどころじゃあ、ないのだ。
ちょ き 気焔、さん??
何するつもり??
えっ?
な に
スルスルと下へ滑る手に抗うこともできない私は、目だけでその金色の瞳の動きを追っていて。
太腿を過ぎた辺りでチラリと私を見る、その「色」で。
色んなことを「試されて」いたのだと、判ったのだ。
そう、その金の瞳は鋭く私の「色」の変化を確認した後。
すぐに、悪戯な色に変わったからだ。
「ちょ!!」
少しだけ喋れたが恥ずかしいが勝って、再び懐に逃げ込む。
いや、逃げてるうちに、入らないかもしれないけど。
でも。
まだ。
…………いや、いやいや、嫌じゃない、嫌じゃないんだけど…?
でも。
いや、そういう問題…………いやいやいやいや…………
「大丈夫だ。まだ。」
えっ。
なに が????????????????
果てしなく「???」が付くけれども、それを訊く勇気は、私には無い。
「それそのもの」
「本質で あれば」
「ちがう もの」
「人間では ないのだぞ」
「きっと彼ならば 君の為になんとかする」
色々な言葉がぐるぐると、私の中を回っている。
「希望」 「勇気」 「可能性」
「………確かに。私にも、必要、だわ………。」
「大丈夫そう、だな?」
「えっ?あっ 」
ポツリと呟いた私の顔を「クイ」と上げ、再び注ぎ込まれる金色のチカラ。
えっ これ
あの そのーーーー
また ピッカピカに なる やつ…………
いや。
でも。
仕方が無いのだろう。
それに。
この頃のモヤモヤできっと減っていたであろう「この色」、チャージできるのならば。
それに越した事は、ないし。
なにより私が、癒やされるのだ。
それは。
何をするにも、一番の優先事項でも、ある。
そうそう、「あの人」も、まずは私から満ちねばって。
言ってたし………?
チラリと目を開け、確認するが天井はいつもの星図で星が出ていない。
そうして朝なのか、夜なのかも分からぬベッドで。
たっぷりとチカラを注ぎ込まれた私はピッカピカになる事を諦め、「フォーレストが喜ぶな」なんて考えながら。
開き直って、暫しの休息をゆったりと味わうことにしたので、ある。
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