透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ

供給

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何故だか涙が出て。

暫く、止まらなかった。


でも。

仕方が無いのだとも、解る。

だって。

ずっと。


 ずっと  どのくらい

  どれ   どれ程の


    長く    短い  

          短くも  長く も


     あったで あろう  時の 流れの 中


 
      計り知れない    長い 間



私は。

  「ひとり」だったのだろうか。


この人を。

  見つけられなかったの だろうか。




「…………?」

涙が流れる、ぐしゃぐしゃの顔のまま、顔を上げた。

心配そうに覗き込む金の瞳は、落ち着いた色で私を包んで、いる。


…………でも。

この人、人間ひとじゃ、ないんだけど??

なん で?

 前  まえ は  ?


   ひと だった ??



多分。

 会ったこと は  ある と?

 思うん  だ けど  ??


馴染んだ感覚、私に「みんな」が沁み込んでいるからなのか。

「わかる」、「知っている」感覚、多分会うのはが初めてではない、思い。

「…………。」

無言で見つめる私に、なにか気が付いたのだろうか。

少し細まった金の瞳は、キラリとその焔を煌めかせると。
何故だか、見えない様に私を胸の中へ包み込んだ。


…………怪しい。

そう、思わないでもなかったけれど。

でも。

まだ。

「わかった」ばかりで混乱している私に、それ以上の情報を受け取る用意はできていない。

それが分かるのだろう。

そのままぐっと力が増した腕の中に、暫く沈み込んでゆく事に、したのであった。






ジワリ、ジワリと沁み込む金色。

それに大分癒されて、少しは頭が働く様になってきた。


えっ でも?

結局?

「私達」は?


廊下での様子を反芻して、やはり頭の中にあった複雑な「想い」が星屑に変換された事を確認する。

あれは、私のぐるぐるだけど。

反射的に感じた「恐怖」、それから導き出される過去の「想い」、「知っている」感覚。

やはり。

私は何度も「それ」を繰り返して。

癒されたときも、あっても。

そうで無かったときも、沢山あったのだろう。


それ で

  結局?


 私  私 は

 確か  「自分を犠牲にするのを止める」って。

 思って ?


 「自分を大切にすること」「まず 自分を満たすこと」

 それ で  それだけで 「いい」って


 「みんな」が 言ってくれて?


それを  して て

でも  ぐるぐるは どうしても してて

その ?

 ぐるぐるが? 今度 は  星屑 

 星屑   に   ?



「変化………変換?変わった  」

確かに。

「変わった」ん、だけど?


自分の中にある、なんとなく感じる「溜まって 減ってゆく自分」。

確かに。

色んなものを、「溜める」だけ、では。

自分が渇くし、擦り減って。
それで 何度も。

終わっ て  でも   今


ギュッと、腕にまた力が入った。

うん
ありがとう

ありがとう   わかるよ


 そう だよね  ありがとう

良かった




止まっていた涙が、再び流れて。

流れるに任せたまま、少し落ち着いてまた、戻る。


そう、「今は」。

大丈夫、だから。


それに? 


そう、私は丁度考えていた筈だ。

「そうすれば」良かったんだ。

でも。は。


   分からなかった んだ


そう、私達は。

チカラを、貰えること。

空から、宇宙から、自然から、水から土から、動植物、なんでも、この「世界にある存在」からなら、「込もっているもの」からなら、なんでも。

きっと。

 「チカラ」を 貰えるんだ

  知って いれば。


「繋がった」今ならば、が解る。


でも。

沢山の「わたし」は、をまだ知らなくて。


「ふーーーーーー  」

大きく、息を吐く。

溜まっている何かを吐き出す様に、ゆっくりと、長く、全部、吐き出して。

再び頭から意識して、ボロボロと自分の中にあるものを、剥がしてゆく。


金色を補充した所為か、勢いよく流れ出した星屑は「ドバッ」と一気に、部屋の床を埋め尽くした。

「喜ばしいこと 」

いつの間にか、最初から居たのか。

フォーレストが隅で、星屑と遊んでいるのが見える。

その大きな緑の瞳と、目が合って。

「あ。」

なんとなく、パッと思い浮かんだ「あの空間」、幻想的な木立はきっと長がいる、あそこだ。

「えっ?」

でも?
私、まだ行って…………。


そこまで思い浮かんで、ハッとし自分の中を探る。

多分。
ディディエライトじゃ、なかろうか。

チラリと顔を上げると、緑の瞳は肯定の色を、浮かべている。

うん?
フォーレスト?が??

…………あり得るな。

確か。

あの子は。
「私」の友達じゃ、ないけど「知ってる」気がしたんだ、そう言えば。

「…………成る程?」

もしかして。

私の知らぬ間に、会いに行ったのだろうか。


なんか…………素敵、だけど。
いいの?それって?
え?
そもそも、どうやって???

フォーレストはスピリットかも知れないけど、私は生身だけど???


よく、分からないけど。

でも、なんだろう。


緑の瞳は頷いて、また星屑と遊び始めたし。

金色の腕は、再びギュッと、強くなったから。


…………うーーーーーん。

でも。
とりあえず。

「そういうこと」なら?

きっと、「供給」できてる、ってことだよね………?


チラリと覗き込む、金の瞳。

その色は複雑な「いろ」を含んで、ただ真っ直ぐに私を見つめている。

でも?

そうだよね…………。

えっ?
うん?
ディディエライトは、「私の中」。

長は あっち?

うん?生きてる、よね??

どゆこと??「違う」の?
まあ  確かに

  全部 が  私じゃ ないのかも?

          だけ ど???


とりあえず、よく分からないこの問題には蓋をする事にした。

だって、多分。

また、真っ直ぐに進んで、いれば。

ちゃんと、自分の声を聞いてそのまま、進めば。


「そのうち…………分かる、かぁ。でも。…………なんか、コワッ。」

その私の言葉を聞いて、少し緩んだ金色の焔。

心配、してるんだ。

まあ、心配、だよね…………。


チラリと指輪に目をやって、光る乳白色を確認した。

が、見つかってから。

沢山の事が私の中で「わかって」、この人が。

「私」と  「どう」「どんな」

 「関係」


あ。

ヤバ 


思い出して顔を抑えてみたけれど、時、既に遅し。

真っ赤になった私の「なかみ」に、構わず侵入してくる金色の、チカラ。


 ち

ちょ  っ  と

 まって   


 え


その時。

初めて、「恥ずかしい」より「気持ちがいい」が、勝って。

身体から力が抜け、彼の腕の中にそのまま、身を任せた。


グッと侵ってくるチカラは衰える事を知らず、そのまま私の全身を埋め尽くし、更に大きな焔でぐるりと取り囲み全身を這い回って、いる。

しかしその全身を燃やし尽くす様な焔が。

とてつもなく、気持ち良くて、心地良くて。


これまでの「想い」や残っていた「澱」の様なものを一掃してくれるその焔を、拒む事などできずに、ただ。

そのまま、身を委ねていた。


「 ん」

うひょっ

 変な声 出た

ん?

気が付くと。

視界に見えるは魔女部屋の重厚感のある天井、チラリと見える金髪。

えっ?
どういう状況???

多分、移動して………ソファー?ここ?

起き上がろうと身体を動かすと、チラリと見えている金髪の吐息が首にかかって、いる。

えっ?

瞬間、「ゾワリ」と背筋が震え、嫌じゃないけれど「知らない」感覚、しかし私のなかみは「もっと」とも、言っていて。

「えっ、えっ、ちょ、ちょっと?!?」

混乱している私に、向けられる深い金の瞳は。

「分かってる」と、いう風に溜息を吐いて体を起こし私を抱え直した。


ん?

え?

なん  か  大丈夫、だった???


「大丈夫だ。………。」



また 「」??????????


なに が???



ぐるぐるする私の頭、しかし私の「なかみ」は「もっと」と欲しているのも、分かる。

分かるん、だけど。


ちょ っと まだ

 私の  こころの じゅん び が

 ええ  まあ  うん

 なんて          いう か?????



慰めの、様に。

ポンポンとされる、背中に少しだけ抱く、罪悪感。

の。その時、で良い。」

静かにそう話す、金色の声はそれが真意だと、伝えてくれるけれど。


うん。
はい。
まあ。

なんだろ…………
うん。

頑張る、のも変だし。
努力します?も、もっと変。

本当は。

「私も」って、言いたいけど。


「いや、でも、ちょっと待って?まだ流石にそれは早いわ………ちゃんと「愛」が、解ってからじゃ、ない???」

「もう、黙れ。」

「 むぐ」

もう、いっぱいいっぱいなのにっ!


そうして再び、金色に口を塞がれた私は。

チラリと部屋の端で星屑に埋もれる緑の羊を見ながら、そっと目を閉じたのであった。

うむ。






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