透明の「扉」を開けて

美黎

文字の大きさ
661 / 2,079
8の扉 デヴァイ

しおりを挟む

「なんにも考えないで。とりあえず、行っておいで。」

魔女の店でそう、イストリアに言われて心が軽く、なった。

ソフィアにどこまで聞いているのか、分からないけど。
多分、私が散々ぐるぐるしているのは、バレていた筈だから。



強い、風が吹き枯れてしまった畑。
しかしきっと、それはただの強風では無くて。

何かの悪戯なのか。
天の、意思か。
それとも。

私達の、未来を挫く、なにかなのか。

その、訳も知りたいけれど多分、問題は「そこ」ではない。
問題なんて、生きてればきっとどんどん湧いてくるものなんだ。

それに。
どう、対処するのかが問題なんだ。

どう問題それを、捉えて。

どうしていくのか。
前を向くのか、後ろを向くのか、きっとそんな問題の筈なんだ。

そう思って、「星を見る」事を提案した筈だ。
そうして。


「なにに」「どう」祈るのか

「星を見せたい」こと
沢山の人に 上を向いて欲しいこと

「チカラ」はみんなが受け取ることができて
「世界」は全てを 愛しているということ

「できない」なんて
思い込みでしか ないということ

みんながみんな
それぞれの美しい「いろ」を持ち
その「いろ」で 輝いていいということ

世界は 美しいということ


この世界の人達に、知って欲しいこと、見て欲しいこと、気付いて欲しいこと。
私にできる事は、そう多くはない。

しかし「見せる」ことならば。
できるんだ。


それに。
「自分のこと」も、ある。

沢山持っている、私の「なかみ」。


「誰」が「どこまで」「私」で

「私じゃない」のか それとも。

「全部 私」なのか。

 繋がり とは  

 えにし とは 


血縁がはっきり分かる部分もあれば、そうではない部分も、多い。
何がどう、繋がっているのかは私の中の勘でしか、ないけれど。

でも多分。
それで、合っている筈だ。


血の縁

魂の縁

光の 縁


頭の中を、「繋ぐ手段」が光り、走っている。

その、どれもが正解に思えて。
しかし、「間違い」など、無いのだろう。

きっと私が「そう」「思えば」。



「…………うん。とりあえず、オッケー?」

数枚の着替えと最低限の身の回りのもの、大概はラピス向こうの家にも揃っている。

それを思い出しながら確認して、水色のトランクを閉じた。

「できたのか?」
「うん、とりあえず。ま、忘れ物があっても大丈夫でしょ………多分。」

大事なものは殆ど、身に付けるものだけだ。


チラリと腕輪と指輪に目をやって、紫の瞳に確認する。

そう、今回の同伴者はこの極彩色、一人である。

フォーレストは、目立ち過ぎるし。
金色はどうしようかと、思案する前に本部長にこう言われたのだ。

気焔あいつじゃなくて、千里こっちを連れて行け。」

と。


どうしてなのかは非常に気になったが、きっと私が言ってどうにかなる問題ではないのだろう。
それは、分かる。

だから。
寂しくなるのを避ける為に、敢えて訊いてはいなかった。

まあ、この狐には。
バレていると、思うけど。


「ねえ、ずっとそっちのままにしてね?」

「何故?多分、無理だと思うが。」
「まあそうかも知れないけどさ………一応、あるじゃん、なんか………  」

きっとまだ、私は金色と結婚する予定のままの、筈。

それなのにまた違う男の人と、帰るなんて…………。
無理無理無理無理………

ロラン、シャットにもう行ったかな………?


そんな私の思惑など、お見通しなのだろう。
しれっと人型になった千里は、トランクを手に取ると緑の扉を開けた。

「さ、じゃあ出発だ。」

「気軽だね………」
「まぁな。グズグスしている暇は、無いぞ?」

「確かに。」

あれからデヴァイへ帰って来て、方々根回しして貰ったけれど期間は一週間も、無い。

時間のズレがあるのかどうかにもよるけれど、あまり期待しないで「五日程度」という事に落ち着いたのだ。

「よし、ウダウダしてても、時間勿体無いよね!行こうか。」

そうして私達は、再び。

今度は朝の森を抜けるべく、肌寒い朝靄の中を進んで行ったのである。



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

笑う令嬢は毒の杯を傾ける

無色
恋愛
 その笑顔は、甘い毒の味がした。  父親に虐げられ、義妹によって婚約者を奪われた令嬢は復讐のために毒を喰む。

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...