透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ

純度

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「確かに。「どれだけ真っ直ぐ、進めるか」は重要だろうな。」

そう言って小部屋へ入って来たのは、尻尾を揺らした極彩色と金色だ。


えっ?
なんで?気焔も??

しかし、そのチラリと飛ばした視線で理由が知れる。

この子達だ。
確かにさっき、光ったから。

それで、か………。


なにやら本部長と狐は話し始め、石とガラスについてややこしい話をしている様である。

勿論、そんな話を聞く気のない私は手狭になったこの小部屋を抜け出しついでに、金色の袖を引っ張って行った。


「話、あった?大丈夫?」

今更な質問を投げかけつつも、小部屋の方を目で示す。

しかし予想通り、腕輪を確認した金色は大丈夫という色を映して私の事を眺め始めた。


えっ。
何これ。

屋根の上あの時の、続き………???

チラチラと小部屋へ視線を飛ばしつつも、その金の瞳に戻ってしまう、視線。

少し心配そうな色を映していたそれだったが、私の様子を確認すると安心した様にフッと、色が緩んだ。


ぐっ。
やめて ここ では  

 いかんのだよ  その 目  は  


流石にここで注がれようものなら、気まずいを通り越して私が融けるかも、知れない。

「ふ ぅ」

大きく息を吐いた私の事を、ぐっと側に引き寄せ安心する様に温もりを伝えてくる金色。

その、仕草で。

ここではこれ以上、何もされない事を安堵しながら「いや待て待て」と、自分にツッコミを入れて、いた。



「………難しいだろうが………まあ、いいクスリにはなるかもな。」

「だろう?常識が覆るだろうが。しかし、それも面白いかと、思うな。」

ん?

珍しいな、この二人がこんな雰囲気なのは。

悪巧み風で小部屋から出てきた二人は、人型になっている千里と本部長。
人型になった千里と並ぶと、なんだか部屋が狭く感じる。

あの部屋に居なくて良かった………。

一人そんな事を考えていると、怪し気な空気が漂うのが、分かる。

「えっ?何ですか。」

金色に抱き寄せられている風の自分が急に恥ずかしくなってきて、頬を抑えたけれど。

どうやら、二人の言いたい事は全く違う事らしかった。

なんか逆に恥ずかしいな………。


「で、本当にガラスを降らせたら面白いんじゃないか、と。」

「えっ?!?やってもいいんですか????」

立ちあがろうとした肩を、ぐっと金色の腕に取り押さえられる。

ん?なんかデジャヴ………。

そうして、なんだか禁書室での再会を思い出し、一人笑っていると。

目の前で、男達の相談が始まったのだ。




「触れれば消える様に加工できないのか?」
「まあ、やれば出来るだろうな。」

「依るが降らせた事に?」
「いやそれは向こうアラルでもいいだろうよ。こいつヨルにとっては、そこは重要じゃないのだろう?」
「うむ。」

「で?その時はどうだったんだ?」

「多分、ヨークともう一人でから、大丈夫だと思うが。」
「そうなる、か………。」

「夜だからこそ、美しいだろうな。」
「確かに。」

「イストリアには 」
「もしカケラが残ったらどうする?」
「実物があったと、しても。あくまで奴等が「石」に執着するならば、問題あるまいよ。」

「成る程、だから前提が覆る、のか。」

「そうだ。しかしまた別の角度からの問題は発生するだろうが、なにしろ「力」が再認識されそれぞれの色が出れば。また、変わってくるだろうよ。」

「それなんだが。デヴァイここは、同じ色が多いとあの男が。」

「ああ、ウェストファリアだろう?それだが。…………多分。」

ん?

本部長の言葉が途切れ、急に部屋がシンとする。

半分だけ耳を傾けながら、テーブルの上の本を手に取り捲っていた私は。
何気無く顔を上げたのだけど、やはりみんなはこちらを見ていた。

「えっ。」

何の話、してたっけ?
私??

、思う?」

「まあ………だろうな?」
「可能なのか?」

「………かな………しかし。沢山の色を持つ………成る程、だから。ふむ。」

「それはあるだろうな。それに、「純度」が高い。」
「ああ。」

えっ。

だから。

なに???


頷き合う男達、なにやら怪し気な会話はいい話なのか、恐ろしい話なのか。

でも?
「沢山の色を持つ」?

それって。

素敵、じゃん…………。


「混じり気の無い、純粋な色達がそれぞれに「反応」するから。だろうな。」

千里お前が言うなら、そうなんだろう。よし、とりあえずその線で進めよう。」
グロッシュラー向こうはいいが、デヴァイこちらはどうする?」

「ああ、多分アリス辺りが手伝うだろう。これは明らかな突破口になるだろうからな。何せ、全員の。」


結局、三人はそのまま祭祀についての相談を詰め始めて。

私の疑問は、一旦お預けになったのである。





「ねえ。結局、なにが、どう、なったの??なんで「いい」ことになったの??」

程良く沈み込むベッド、私を抱える金色の、腕。


暫くして、暗黙の了解の様に私を書斎から連れ出し、ウエッジウッドブルーの部屋に連れて来た金色は。

そのまま膝の間に私を入れ、いつもの体勢にて髪を、梳くのみである。


返事は返ってこないが、これは言うつもりが無いのか、考えているのか。

その答えを待ちながらもウトウトと眠くなる自分の頭と、フワフワとする思考。
二つがくるくると攻防戦を繰り広げている間に、やって来たのは答えではなく、質問だった。


「純度が、高いとは。どういう事だと、思う?」

「……………え。」

相変わらず間抜けな声が出るのは、勘弁して欲しい。
私の頭の中は、ホワホワとした金色に支配されそうになっているのだから。

答えを急ぐでもない、その雰囲気にまたホワホワとしてくるが、頑張って自分の中から答えを探す。

でも、多分。
この金色に包まれていたならば、答えを出すのはぐるぐると回る「頭」ではなく、きっと私の「真ん中」だろう。

そのまま、思った、ことを。

取り留めもなく、洩らしてゆく。


「えっと………「純度」が、高い。「純度」………って。なんか、美しいよね。澄み渡る………澄んでいる?うーん、水っぽいけど…なんか。それよりももっと、空気とか、「それそのものが含む なにか」みたいな感じするよね………」

「筋が通ってるって言うか。な、だけじゃなくて。強い?強くて、美しいみたいな。………なんかカッコいいな。」

「成る程、それも、いいな。」

訊いた割には、答えがない様な、金色の返事。

くるりと背後に向き直って、その瞳の色を探る。

その、とんでもなく美しい、純度の高い、焔の色をだ。


「そう、こんな感じ…………。」

キラキラと、揺らめく焔の中舞う白金、今日は橙と紅が多くいつもより「燃える」要素が、多い。


なんだ、ろうな。

この、燃えてる感じは…………また、綺麗になっちゃうの?
止めてよ、私より。

 もっと もっと 美しくなるのは。


 この、とんでもなく美しい 金色に。

 追いつける 様

 追い越せる 様 

 私だって。

きっと、燃えて、余計なものを落とし、また更に純度を上げて。


   美しく、なりたいんだ。



「ああ、だね。純度の、って。」

目の前の金色が近づいてきて、「そうだ」という返事を読み取ると同時に流れ込むその、色。

その色もまた、強く美しい新たな色を、含んで。

 うっ

 何コレ  また  あ
 この色 も  いい

 狡  ちょ 私も  私だって  ?


  でき る   もん


しかし、その美しい流れに逆らい流し込もうとしても、抗えない心地良さと勢いに為す術が、無い。

えーーーーー
また  ?

でも。
次 は  負けない もん ね


「勝負であったか。」

「あ」

パッと離された顔、私の好きな悪戯顔になっている彼は、またその抗えない表情で追い討ちをかけてくる。

「くっ!」

悔しい…………!!


逃げ込むベッドの中、しかしすぐに背後から捕らえられまた流し込まれる金色。


これ また ピッカピカコース じゃん………


そんな私の頭の中などお見通しなのか。

緩く髪を梳き、更なる心地良さに落とし込む確信犯は、そのまま私を離す事は無かったのである。













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