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8の扉 デヴァイ
全ては
しおりを挟む「ちょっと、待ってね?」
一応、断りを入れ扉の隣の壁に、凭れる。
待て待て待て、ちょっと?
今日は、私のブレーンはいないんですけど??
玉虫色を恋しく思いながらも、とりあえずは扉の言葉を反芻する。
「人間は動物」「知っているのに知らない」
「何故見つからないのか」
そんな感じ、だった?
全然、分かる気がしない。
でも、今。
私のできる限りで、真剣に答えなければいけないのは、解る。
そもそも?
「人間は動物」が、分かんないけど??
うん、人間は、動物………うん。
そう、なんだけど。
意図が?
分からない。
とりあえず横に置いておこう。
「知っているのに知らない」
そんな感じだったよね?
あ、「知らないと思っている」だったかな?
それはなんとなく、分かる気がする。
これまでずっと、思っていたこと。
私が、何故か。
「知っている」ことが あること。
なんとなくだけど。
「こうすればいい」とか「あっちだ」とか、選ぶでもなく、選んでいる時があること。
でも、「当然こっち」と私が思う所で迷う人も沢山見てきた。
「なんで分からないんだろう?」と。
思う事は、どの、世界でも沢山あったのだ。
なんとなくだけど、それは「気付いているか、いないか」じゃないかと思っている。
その、時々、場面や事柄でも違うんだけど。
色々な事を、「気にして」「気付いて」それを「使っているか」みたいな。
「経験を蓄積して応用する」みたいな。
それが、もしかしたら「知らない」んじゃなくて。
「忘れている」のだと、したら?
辻褄が合う。
自分の中の、情報に上手くアクセスできない、みたいな感じなのかな………??
言葉には、上手くできないけれど知っているその感覚。
それを確認してとりあえずは、次だ。
なんだっけ………ああ、「何故見つからないのか」だ。
えっ。
無いの??あるの??見つからないの??
でも、この子がそう言うって事は。
前の二人は「見付けられなかった」という事なのだろうか。
えーー。
それ、教えてくれるかな………。
でもとりあえず、私の答えを出してからだよね…。
でもさ?
「見付からない」って、ことは。
「隠れてる」か「隠されてる」って事だよね?
確かに「無い」とも、言ってないんだ。
うーーーーん。
いや、とりあえず多分。
単純に。
考えた方が、いい。
特に、私は。
自分の事をよく分かっているつもりの私は、難しい事が向いていない事も、勿論知っているし。
いつだって。
素直で、単純な。
自分の 「想い」が。
私の中の「正解」だって、知っているから。
それなら…………。
「時が 来た」
「ああ、そうね………。」
「フッ」と、降って来たその声は。
きっと私の「真ん中」の声だろう。
この頃思う、沢山のこと、やるせない思いと共に、舞い出る私の蝶。
なんとなく出てきた、答えだけど。
でも多分、だから。
合ってると、思う。
「その時が、来ないと。見付からないって事だよね?「解る様になったら」って事なのかな………。確かに、「知っているけど忘れて」しまって。もがいて、足掻いて。きっとその「最中」には、思い出せなくて、気付かなくて。そんな事は、みんなにあって。」
「でも。「動物」が、分からない………なんだろうか………。」
そう、深い意味は無いのかもしれない。
ただの「事実」として。
言った?
いや、でも私が引っ掛かったんだ。
多分、何か、意図がある。
多分、半分だけだけど。
この、私の「答え」に返事はくれる筈だ。
そう思って、扉の言葉を待っていた。
「心、肉体、魂。肉体に宿るからこその、葛藤、変化。」
「変わりゆくもの、それは外側だけなのか。」
「変化すること、とは。進化とは。人間は。何がしたいのだろうな。」
静かな白い部屋に響いた、重い声。
「答え」ではない、その返事に。
何も言えず、ただ、その静けさに浸ってしまった。
だって。
その、「答え」は。
あの時、シンが言ったこと、金色が時折言う、「人ではないもの特有」の。
「答え」だったからだ。
静寂の中、視界の端には上下する白いフワフワ、あの鮮やかな色は未だ、見えない。
考えるでもなく、ただ、感じているのか、それとも沁み込ませて、いるのだろうか。
止まったままの思考、でもこの空気を壊したくはなく、目を閉じる。
この、静かな空間で、今更新たな答えを貰おうとは思わない。
多分、それは「自分で考えろ」ということなんだ。
それか。
今、言われたことを含め考えて。
きっと、「その時」が来れば。
「ある」のか、「ない」のか、「どんなカタチなのか」、「どの様にして齎されるのか」は。
自ずと解るのだろう。
多分、そっちかな………。
静かな白い空間の中、目を瞑っていても私の中は、白い。
しかし徐々に「帰ってきている」気はして。
辺りの気配を窺うと、なんとなく遠くで人々が本の整理をしているのが感じ取れる。
そうして自分の気配が拡がっていることに気付き、目を開けるとパッと白い部屋に戻った。
「………ねぇ、 」
問い掛けようとして、口を閉じる。
何故だか最後まで、言い切る前に。
この扉が「その質問」に対して、答えないだろう事が分かったからだ。
まあ、根掘り葉掘り訊くのも、違うか………。
しかし。
分からなかった、その「動物」について考えようとした時、パッと浮かんだのは別の事だ。
「 全てが 記されていると言われている 」
ん?
でも??
「過去」「現在」「未来」全てについて。
書いてあると言われている、とフリジアは言っていた。
しかし私がこの頃、感じていること、あの森で。
キラリと光った、あの紫の瞳が示すこととは。
「 時は 跳べる」 「 瞬間 」
あれれ??
「 未来も 」? 書いて、あるの??
でも、時間が繋がってなくて、跳べるならば。
それって。
「変わる」んじゃ、ない??
私が思うこの頃の感覚は、「時間が線ではない」という事だ。
どちらかと、言えば。
「点」に、近い。
なんとなくあの扉を思い出して、「線があった」事を、思うけれど。
あれは、何だったのだろうか。
しかし自分が「置いてきた楔」、時折見る「夢」、この前フリジアの部屋で開けた「箱の想い」。
身体は「跳べない」と、思っていたけれど。
まじないだからなのか、あの白い祈りの場からグロッシュラーへも跳んだ。
だから。
未来は「点在」していて、その何処へ向かうのか、それを決めるのが「生」なのかと。
自分で、「点と点を繋ぐ」こと。
それが、「生きること」じゃないのかと、そう思ったのだ。
「そう考えると過去にも戻れるし?私達が「繋がっていると思ってる」だけで。「本当のこと」は、誰にも分からない、よね???」
返事が来るでもない、禁書室。
しかしこの世界の、誰もが賛同してくれなそうな、内容の独り言にはピッタリだ。
でも。
誰が賛同してくれなくても。
「私の こたえ」で いい筈なんだ。
だって。
結局、私は私の視点でしか物事は観られないし他人の頭の中なんて、見えない。
「ん?」
でもさ、それって。
結局、「全てが書いてあっても」。
「自分」のことしか、分からないんじゃ、ない???
「だって結局、「私から見たその人」に、なっちゃう訳だからして、そもそも人の事なんてよく分からないしもしその人の事好きだったらめっちゃいい未来しか見えないとかありそうだよね??………て、言うか結局。」
「ある」と、しても。
「自分の中」じゃ、ない??
少なくとも、「私は」。
その案を、採用しよう、うん。
だって本に未来を決められるなんて、嫌だし。
私が私の、最高の、未来を自分で。
選べば、いいんだ。
「えっ。解、決……………?」
「ま、そういう事だろうな。」
「えっ。聴いてたの?」
「あれだけ大きな声で考えてたら、聴こえるだろう。」
えっ。
そういう、問題?!??
「ちょっとさ、プライバシーとか、デリカシーとかさ、色々あるじゃん、なんか 」
「はいはい、そろそろ帰るのか?まだ何か見たいのか?」
「えっ。………うん?いや、無い、かな………?」
なんだか誤魔化された感は、あるけれど。
この中に、どのくらい居たのかもう時間の感覚は全く無くなっていた。
多分、そう長いことではないと、思うけど。
「ほらな。」
「あっ」
瞬間、時刻を知らせる音が、鳴って。
ニヤリとした狐に「プイ」とそっぽを向いて、起き上がったフワフワにギュッと抱きついた。
「あらあら、それでは昼食に帰りましょうか」
「……………うん。」
なんだか優しい瞳が居た堪れない。
そう、私のお腹の音で。
フォーレストを起こしてしまったから。
「うぅっ、キマらないな………。」
「キマった事なんて、あるのか?」
「五月蝿いなぁ、一応…………あるよ、多分。」
そうして、ブツクサと言いながら白い扉を一撫でしてお礼を言う。
黙って開けてくれた、その扉に一つ頷くと。
置いていかれない様に、鮮やかな尻尾を追いかけて行った。
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