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8の扉 デヴァイ
神域にて 2
しおりを挟む静かに流し込むチカラ、私の「色」が彼に染み込む事に心底安心して全身に心地良さが廻る。
「言葉」に、すると。
なんだか、弱音を、吐いちゃいそうだし。
多分、きっと彼はそれでもなんでも、受け止めてくれるのだろうけど。
熱くなる身体と「想い」、グッと力を入れて再び流し込む「私の色」。
「私が」。
嫌なんだ。
だって、できるもん。
多分。
「私が そう 決めれば」。
「次の扉で」「できる」「不可侵の私」
「全てを含んだ私」「取り込まれない 私」
「芯のある 私」「何者にも 影響されない私」
そこまで考えて。
何となくだけれど、自分が「次の扉」を「大きな黒い靄」の様なものだと、思っている事が分かる。
これまでのピースを繋ぎ合わせて出てきた私の中での、今の「こたえ」。
それは、「油断していると つけ込まれるなにか」「不安そのもの」「忍び寄る恐怖」「死の恐れ」、そんなものに、見える。
自分の中にある「その色」を確かめながら、しかし。
いつの間にか増えていた金色の分量に、驚いて身体を離した。
「ぷ ぁっ!」
離した瞬間、口から零れ落ちる星屑に驚いていると、それを見て楽しそうに笑う金髪が揺れている。
え?
ずっと??
ぐるぐる してる 間も??
どうやら私は自分でチカラを、「思い」を解って貰おうと伝えていたところ。
そのまま、ぐるぐる自分の沼に嵌り、そうして逆に。
金色を、注ぎ込まれていた様である。
いや、これ。
どちらかと言えばこの人が呆れる場面だよね…………???
まあ、楽しそうだから。
いい、か…………???
でも、実際。
どう、なんだろうか…………?
くるりと金色から暗い靄へと頭の中が反転して、自分の中の決意を浚ってみる。
それは、この前ラピスで思った「覚悟」にも、似て。
「自分にできるのか」
「できているのか」「その時 無理だったら」
そんな不安が薄らと付き纏う、何故だかすっきりとしない「宣言」の様なものでも、ある。
しかし、ピタリと揺れが止まった強い腕の力が。
私を再び沼の淵から掬い上げる。
その、自分の中の「決意」を探し、しっかりと握ろうとしている私に齎されたのは強い声。
いつだって側で私を支える、あの強い金色の焔の色が降ってきて。
私のふらつく「覚悟」を、しっかりと支えてくれるのが、分かる。
「お前が。掴み取り、形にしてゆくものなのだ。」
「え?」
私を包む、金色からそんな言葉が降って来る。
少し、意味が分からなくて考えてみるけれど。
「形にしてゆく」
確かに?
「始めから、できなくても、そう、して行けば、いいって事だよね…?」
「そうだ。「そう 在る」「そう 成る」という事は。何処からか齎されるものでもなく、誰かの助けが必要なものでも、ない。お前が、そう、「成ってゆく」ものなのだ。」
「…………うん。」
なんとなく、分かった。
その、美しい金の瞳を見つめながら考える。
多分、今私に必要なのは「特別なもの」では、なくて。
ただ、しっかりと「そこに立つ」様な、類のこと。
なんでもない、本当なら誰にでもできる様な、当たり前の、ことで。
しかし意識して「そう 在るのか」と、問うと。
一体どの位の人が「そう 在る」のか、「在る ことができる」のか、疑問に思う事でもある。
この世界では、特に。
流してしまった、灰汁の色をチラリと思い出す。
古い慣習、暗黙の了解で成り立つ狭い社会、だからこそ破られ難いもの。
自分の芯があったなら、生き難いこの世界で。
みんなが同じ色で、大きな絵の具のバケツに入ったならば、すぐに染まってしまう、環境で。
ふと思い出す、消えたセフィラの事、亡くなったハーシェルの妻の事。
この輪から抜け出そうとして、殺されてしまった人達は他にもきっといるのだろう。
抜け出せない人を責める事はできないし、抜け出せなくて当然だとも、思う。
でも。
「時代が来た」と言ったイストリア、白い魔法使いも同じ様なことを言っていたし。
光も降って、星も降って。
少しは空も見え、お日様も出て、畑が出来た。
デヴァイのトップも、多分、こちら側だし?
ふと、中途半端のままのブラッドフォードの瞳が思い出されて、しかし首を振る。
あの人が、「なんでもない」なら逆に仲良く話して、進むのだけど?
「なんでもなくない」気配を、流石の私も察している。
普段「ニブすぎる」と言われる私にしては、上出来だと思うのだ。
「うん、それは………とりあえず本部長に丸投げしとこう。うん。」
抱える腕がキュッと締まって、「了承」しているのが、解る。
うん、そうだよね…………。
特に「隠さなくて良くなった」報告の後、ブラッドの話は私達の間で行われてはいない。
大丈夫、大丈夫………。
程良い筋肉の腕を撫でながら、思考を元に戻す。
えっと?
こっちは、大丈夫だから………。
私は 自分の こと を
そう 私の 仕事は やっぱり。
本部長の 言う 通り。
一番に 暗い 空の 上で。
キラリと 光る こと
なんじゃ ない??
「終焉の墓地」と言われている、次の扉は予想通りならば埋葬地で。
暗い、闇の中。
みんなが、いる場所でも、あるんだ。
その、中で?
キラリと? 光っ ちゃう??
やっぱり それ が。
いい よね??
思い 浮かぶは結局 あの言葉
「 祈り 在れ 光 在れ 」
そう それは。
ただ 祈りで 光で 在ると言う
それ そのもの で あって。
「でも………いや、いいね。」
「やっぱりそれか。私の、やる事は。」
一人でうんうん頷いていると、背後から返事が来た。
「大丈夫だ。」
「うん。…………。」
また。
「なにが?」と、訊きたかったけれど止めておいた。
多分、本当に「大丈夫」なのだろう。
私が「暗闇でも 光る」と、決めたならば。
その、闇に侵食される事なく、きちんと、キラリと、光ったならば。
きっと、その「いけすかない なにか」ときちんと相対できるのだろう。
「うん。」
大きく息を吐いて、温かい胸に凭れた。
大丈夫 ずっと
一緒 だし。
私は 一人じゃ ないし。
勿論、ノープラン、本当に私達だけで行くのか、いつ行くのか。
具体的な「こと」は、何も決まってないのだけれど。
多分「真ん中」が決まれば、大丈夫なんだ。
千里が言っていた事がジワリと沁み込んできて、更に私を後押しする。
確かに。
きちんと真ん中が、無かったならば。
そう、容易く実現できる、内容でもないだろうから。
静かに響く水音、心地良い腕の温かさが戻って来て、自分が緊張していたのが、分かる。
ここ、私の神域を持ってしても。
やはり「覚悟」は、簡単に済ませられる様な事ではなかった、から。
「なんか…………疲れた、かも。」
「よい。…………寝ても、いいぞ?」
「うん…………最近、こんなのばっかで…………ごめん、ね?」
この上無く優しい色で、覗き込む瞳。
その時、焔の中浮かんだ色に私の「なかみ」がブワリと燃え上がるのは、分かったのだけど。
勿論、残念な私のぐるぐるは。
そのまま、プツリと途切れ、その後の記憶は。
残っていなかったので、ある。
うむ。
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