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8の扉 デヴァイ
躊躇
しおりを挟む「 自らを 拡げ
鍵を 探せ
大気に 存在に 溶け込み
自由に 舞い 飛んで
魂の カケラを 拾い集めよ
鍵が 全て 揃えば
それは 起こる 」
……………。
頭の中に、「響く」のか「在った」のか。
半分目が覚めた状態で、「それ」に気付いたけれど。
なんだか難しそうな、「それ」は一体、何なのだろうか。
うーーーん?
目覚めたく、ない。
なんか、難しそう、だし??
いや、でもな…………
あの 時の鉱山で ?
私の 色々を 解放
集める? 解き放ったら 散る?よね??
うん????
動き出すのを渋っていたが、段々とピースが揃い働き始めた、ぐるぐる。
しかし、それは。
はっきりはしてきたが、面倒そうな、あの。
「次の扉」の内容である。
「ん?いや、でも待って?そんな難しいこと、言ってないな?いつも通り………溶け込んで…?え?海なんだよね??そもそもそれが分かんないんだけど。」
「…………まあ、それは置いといて………溶け込んで、探せば?いいって、ことだよね??」
私の独り言が煩かったのだろう。
足元がモゾモゾと動き始めて、少しくすぐったい。
ピロリと上げた布団の奥には、光る紫の瞳が。
キラリと、覗いている。
うん。
なんか。
とりあえず、パタリと布団を下ろすと見なかった事にしておいた。
あの色は。
「含みが、ある。………危険よ、うん。」
まあ、多分。
「でもさ、結局「海」ならば「空気」よりは拡げた時の感覚が分かりやすそう、ではあるな??」
もう、「水の中で息ができるのか問題」は脇に置いておこう。
多分これは、行けば分かる系の問題である。
とりあえず、今それを悩んでも仕方無いのだ。
「ふむ。なら、とりあえずは、いっか??」
スルリとベッドから降り、着替えを選びにクローゼットへ向かう。
軽いものが「ポン」と絨毯に降り立った気配に、チラリと視線を送っておいた。
案の定、無言でキロリと瞳を回した狐はそのまま、猫用扉から出て行った。
「なんっか、なぁ………。」
首を捻りつつ、緑の扉を押す。
うん。
一つ頷くと、あの紫の事は忘れて身支度をする事にした。
それが正解の筈だ。
うむ。
そうして「おはよう」と青の鏡に声を掛けると、着替えを置いて腕まくりを始めたのだ。
セージに火を点け、暫しその煙の流れる白を、見る。
何も無い、空間、後方の深い茶に映える白く、とてつもなく柔らかい、その煙は。
「そこにあるけど 見えない」空気の存在を、知らせる様に多彩なカーブを描き、茶のキャンバスに線を描く。
そこに、一差し、手を揺らし入れ。
空間に干渉し、その線を変化させると。
「うん。」
やはり。
見えないけれど、「在る」ものにも、
干渉できる、と思うのだ。
全ては 繋がっている
みっちりと 詰まった なにか
この、私の目の前にも。
今はまだ、見えないけれど「なにか」になる筈のもの。
スピリットの素になる様な、「なにか」は在るのだろう。
そう思えると、大分楽しい。
そうして一息吐くと、頭を切り替え口を開いた。
「ねえ、それでだけど。」
「なんだ。」
解ってるくせに………。
チロリと嫌味な視線を投げたが、こちらを見てもいない紫の瞳。
隣のフワフワに手を置いて、再び小さく溜息を吐く。
とりあえず朝食後、私が会議を開いているのはいつもの魔女部屋である。
何故、今ここで、会議なのかと言うと。
そう、「長のところへ行く問題」をとりあえず話したかったからだ。
そもそも、彼処へは「行かなきゃ!」となってから、行くつもりだった私。
それならば、ある意味心の準備は、要らないし。
行く方法だって、考えなくてもいい。
多分「その時」になれば、自ずと分かると知っていたからである。
しかし。
そう、改めて「行く予定」となると、やや問題が生じるのである。
「ねえ、でもさ。実際私的にはフォーレストがいれば、行けると思ってるんだけど。合ってる、よね?」
隣の緑の瞳は、四つとも頷いているが狐はダンマリのままである。
なんで。
ここまで来たら?
教えてくれても、良くない???
プリプリし出した私の隣に、フワリとやってきたのは朝だ。
「まあまあ。とりあえず、千里がこうだって事は「言えない」のか「言わない」のか、分かんないけど。危険は無いんでしょ。それに、合ってるんじゃない?」
「だよね………。」
右手に白いフワフワ、左手には灰色のフワフワ。
両手にフワフワを味わいながら、視線を紫から青い窓へスルリと流した。
とりあえず、青でも見れば。
いい案が、思い浮かぶだろうか。
「あんたが気に、なってるのは。行き方じゃなくて、気焔の事、でしょう?反対されたの?」
「うっ。」
流石、朝は私の真ん中を鋭く突いてくる。
胸を抑えてぐるぐるしている私を見て、溜息を吐かれた。
「そうじゃ、ないんだけど………。ただ、私がなんか、なんだろ、うん………。」
「千里と行けば?じゃなきゃ、フォーレストと二人。別に一緒に行かなきゃいけない訳でもないでしょうに。」
「うん、まあ、そう、だね??」
実際問題。
どう、なんだろうか。
あの時、結局。
あの人がああ言ってから、充分金色は注ぎ込まれたけれど。
結局、なにも。
言葉としては、言われていない。
どう、すべきかとか。
どう、したいとか。
だから多分、私のしたい様にすれば、いいんだろうけど。
「…………迷っては、いない…んだよなぁ………。」
「なら、いいじゃない。とりあえずパッと行って、帰って来て。また、次の扉へ行くんでしょう?」
「うん…………。」
深く沈み込んだバーガンディーに刻まれた、細かな皺を指で辿る。
目の端に映る極彩色の毛並み、深茶の文机との落ち着いた組み合わせ。
時折キラリと光って。
私に多色を知らせる尻尾の、微かな動きを感じながらも自分の中での「気になる色」を確かめる。
なにが?
でも、多分。
「心配」は、無いんだ。
私は「二人」を連れて、「二人」に逢いに行く。
そうして次へ、渡って行く。
それは決まっているから、きっと「不都合」は起こらない。
それも、わかる。
「なんだ、ろうな…………ホントに。」
「行って 帰ってくる だけ」
チラリと緑の瞳を見た。
「大丈夫」、上の子も、下の子も。
そんな色を、映しているけれど。
「………まどろっこしいな。」
ポツリと呟かれた不吉な言葉、その、一言を耳にした瞬間。
「えっ?」
視界がパッと真っ暗になり、私が唯一感じられるものが。
右手のフワフワ、のみになったのである。
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