透明の「扉」を開けて

美黎

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9の扉 グレースクアッド

狭間の黒

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「澄み切った 黒」 まあまあ?

  「極みの 黒」 は アホっぽいかな

 「妖し気な  」いや、無いな。

うーーーーーん

   「生粋の 黒」駄目

 「無敵 」いや なんか 違う

    「特別な 」いや これもなんかな

   「不可侵 」それはいいけど なんか ?

 「高潔の 黒」 結構 良くない??

いや でもな………

 なんか もっと  こう ?

 ぐっと くる  「美しい」けど

 「魅力的」なんだけど  


「近寄り難い」とか 「見てるだけならいい」みたいな。


「そんな、こう、スパッと分かり易い言葉なんて?無かったっけ???」


そんなアホなことを言い出した、私を仕方の無い目で見ている金色。

私はと、言えば。

「闇をも取り込む大作戦」を、決行すべく。

しかし何故だか「闇を取り込んだ後の私」の名称を決める事から始めていた。


そもそも、私の「変容した姿」が「問題」だと言った極彩色は既に向こうへ戻ってしまった。

しかし、きっと。

「その姿」が、問題ならば、また「暗色」が多くなる私が「上手い変容」を遂げればいいのではないか。

そう思って「完成形」を想像しようとしていたのである。


「えーー、多分、「そうなる」と思うよね??」

「まぁな。しかし………」

なにやら私を見つめたまま、考え始めた金色、私はぐるぐると闇の周りを回っている。

「金と黒」の周りを周りながら「虎か」、なんてふざけた事を考えていると、久しぶりに闇が。
を、発した。


 「 「狭間はざま」の  もの

  はざま の  黒 は    

      どう  だ   」


「えっ?「狭間の黒」?」

なんか、カッコいい、けど??

「どういう意味??」

金の瞳と、闇を交互に見ながら問い掛ける。

しかし金色は「その意味」が、解るのか少し苦い表情だ。

深い青緑の中、揺れる焔の瞳が美しく揺れる。
しかし、それは少しの心配と動揺も。
含んで、いるけれど。


「えっ、なに?教えて??だってそれ、って、事だよね??」

言い淀む金色、しかし闇がもう、そう言ったのだ。

多分、私が取り込めば。
「そうなる」可能性が、高い。


 「 しかた が   ない さ


  もう   これまで 通り   に は


    いかぬ ことは  承知 だろう  に」

 え?

 これまで通り?
 じゃ、なくなる??

 うん?全然、意味が 分かんないけど??


とりあえず、大人しく金の瞳を見ながら待っていた。

多分、「そうなる」ならば。

教えない訳には、いかないだろうから。


そういや心配性だからな…………
 いや それ 私の所為  かも ??


最近はウイントフークに話したり、少しは緩みが見られる金色だけれど。

しかしきっと、私の為に。
ずっとずっと、「私の秘密」を隠してきた彼。

姫様が、「なか」にいることも。

私が最後。
「どうなる」のかも、もしかしたら知っているのだろう。

 
 「姫様を 回収したら」
 「全ての石が 集まったら」


きっと、知ってる筈なんだ。

だって、彼も。

腕輪この中の、一人なのだから。


でも、ある意味「最後」を知っているとすれば、この事どうなるかなんて、大した事ではない筈だ。

しかし、そういう問題でもないのだろう。

とりあえず、教えてくれるだろう事は知っていたから。

彼の心が決まるまで、じっと闇を見つめ、待っていた。

 狭間の 黒 って どんなだろうな?

 そう 思いながら。





そういや  「姫様」は 「まだ」だけど

 「石」は?

 ここにも ある よね?

 うーーーん  それも 「まだ」なのか  な


意外と、金色の躊躇いは長かった。

しかし、辺りは幻想的な深海だし。

何故だか徐々に増えてきた魚、再びの海月は色は違うがやはり美しく舞っているし。

桃色も、仲間が増えて楽しそうに水の揺らぎに身を任せている。


そんな、色の少ない桃源郷の再来を楽しみつつも、私の頭の中はつらつらと違う方向へ走っていた。


 てか

  「まだ」って  ことは

 ここに  「また来る」って  ことだよ ね?

  それ って  ???

 どういう 扱い? に なるんだろうか

 それに。「不老不死」が。

 「無い」な ????


「………どうしよっか、なぁ………。」

そんな、やる気の無い呟きをポロリと漏らすと同時に。

決心した様な、金色の声が聞こえてきた。


「依る。」

あれ。

あんまり、良い話じゃなさそうね………。

言い淀む時点で、そうだとは思っていたけど。
その、色と声に、私もぐっと覚悟を決める。

「うん、なぁに?」

努めて明るく出した、声。

その声に少し緩んだ金色はしかし、思いもよらぬ事を、言い始めたのだ。


「お前は、「戻れるけれど、戻れない」のだ。」

「へ……… ?」

おかしな顔をしているであろう、私の反応を見つつ、続きを口にする。

「きっと千里は「その話」をしに、先へ帰った筈だ。」

「お前の、「その姿」も、まずいが。問題はでは、ない。」


うん?  気焔 さん?

 全然  分かんない  けど

   なんか。 

  全体的 に 「寂しそう」なのは わかる。


青い、海月がフワリ、フワリと私達の間を。
青い光のヴェールで遮る様に、糸を流し横切ってゆく。


そのヴェールを避け、近づいてきた金色は、そのまま私を懐に収め静かに話を続けていた。

私は。

その、内容を。

殆ど 聞いて いるのか

       いない のか


 自分でも  わからなかった けど。


 とりあえず 「今まで通り」が 

    「無理」な  こと は。


  自分でも  よく 知る ことと

       なったので    ある。







「お前は「一番暗いお前」を回収しただろう?きっと。「問題」に対して、これまで通りに対処はできないし、対処する必要がない事も知った筈だ。「見ているだけしかできない」事も。のだ。」

「それになにしろ「存在の次元」が、違う。向こうはお前を利用しようとはしないだろうが、「すがる」可能性がある。だから、姿は見せない方がいい。」

「いや、ウイントフークやイストリアには会えるだろう。何人か、会える者も、いる筈だ。………誰にも会えぬ訳では、ない。」

「ウイントフークならば………なにか、考えるとは思うが。人間ひとの事は、難しいからな。」

「依る?」

「大丈夫だ。付き合いの長い者は大概会えるだろうよ。」

「まあ、「その姿」を見れば。………人間とは。どう、なのだろうな………。」

最後は彼も、疑問系になる、その話。


静かに話す、その声に癒されながらしかし、内容は半分入ってきたか、きてないか。

でも。
暖かい腕の中、慣れたカタチと匂いに少しずつ私の中が動き始め、その言葉を「受け入れる」様に流れているのが分かる。


段々と闇の言っていた意味と、金色の言葉が噛み合ってきて、私の「なか」の流れが変わる。

思考の流れがぐっと、向きを変え。

これまでとは違う、「新しい方向」へ向けゆっくりと流れ始めたのだ。


そうしてわかる、納得せざるを得ない、その内容。

しかし、心の整理がつくまでは。

 仕方無い、よね…………。


少し流れていた、涙を拭う。
そうして大きく深呼吸して、身体の中の空気を入れ替えた。


 「仕方が無い」

そう思える様になるのもなんだか、早い気がする。


そう  正に で。

   やはり 私は。

   変わった変容したの だと。


  自分でも、思わざるを、得なかったのだ。


これまでならば、一頻り、メソメソグズグズと、泣いていた自分。

しかし。

その言葉と闇の内容が「カチリ」と合うと、「そうだよね」と自然に思える自分が、いたのだ。



え  でも これ私

 念願の? 「大人になった」って  こと で

 いい  よくない   いや?

 いい  よね??

 大分。

別に  「冷たい」とか  そんなんじゃ
なくて。


 多分。  逆に「その方がいい」って。


  私も 思えるんだ。  んだ。



そう、「究極の私」を、取り込むことで変容した私は。

「これまで通り」が、できない事を痛い程、いた。


  きちんと 「絶望」した 私 が。

  しっかりと 「諦めた」私 が。


極め切った、を持って、「普通」に生活できる訳が、なかったんだ。



 だって みんな  みんな
 
    「やりたい」から 「やってる」だけで

 そこに 「いい」も「悪い」も 無くて

 ただ  そこには。

 「経験」と  「知りたい」「知る権利」

   「好奇心」「満たす」「学ぶ」

 そんな 「やらなければ 気付かない」ことが

 沢山 あって。


 それは 「越えなければならない山」であり

  「越えなければ 進めない山」でも あって。


  私が「手を出す 領分」では。

        無いのだ。

        決して。



痛い程、「わかる」その内容に、闇と金色を交互に見る。

多分、私の瞳は静かに揺れているのだろう。
心配そうにこちらを見る金の瞳が、「やはり 美しいな」と、思えて。

「今」、「そう思える」「感じられる」、余裕が。

更に私の「変容を受け入れる」ことを、加速させる。


だから。

確かに。

 「狭間の 」とは。

言い得て妙、なのだろう。


少し、可笑しくなってそんな自分に笑った、時。

ふと緩んだその、隙間にヒラリと降りて来た場面。


 うん? 待てよ??

 どっかで 聞いたな?「狭間の 存在」?

 何処で  だっけ??

黒の  廊下 だっ た  か



「…………あーーーーー。本部長、だわ…………。」


しかし。

に、行き着き、「ピタリ」と嵌った私の鍵は。

その瞬間、カチリと回った。


  そう 多分  んだ


何故だか「今」降ってきたその鍵、それと共に頭の中で「そうだ」と言う声は。

きっと慶の声では、ないだろうか。


黒の廊下、銀のローブと水色髪。
あの時は。

ベイルートさんも、いたっけな?
それで、確か。

礼拝か何かに、行く、途中だった、よね…………。


「えっ、てか?あの人??人間????」

本部長の存在を怪しんでいる私を見て、それを怪しんでいる金色の瞳。
その少し可愛らしい疑問の色を目に映しつつも、私の頭はくるくると回路を繋げ始めて、いた。


多分、

きっと、絶対、本部長は「新しい私」に対する「こたえ」を持っているし。

なんなら、持っていなくとも「思い付く」し。


       私は。 絶対。  

      なんだ 。


けど、安心して、ホッと息を吐く。

急に表情の変わった私を訝し気に見ていた金色、しかし私が笑ったからか。

くるりと色が、変化して優しい瞳が「さあ どうする」と、闇と私を交互に見ている。

それならば。

「やること」は、決まっている。


「じゃあ、やろうか。お待たせ!」

そう、能天気に、いつも通り、言って。

手を叩き、ピョンと跳ねて闇へとスキップして行った。
二、三歩、だけど。

うん、勢い、大事。


そうしてやっと、「闇を取り込む大作戦」に着手したのである。






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