透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再

継承、再生 繋ぐ こと

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「て言うか、紡ぎ直しこれって。結局、仕立て直して最後に、着るものに、なるってことだよね………?服になるのかな?」

「てか、「何の服」なんだろう…………。」

清らかな流れ、サラサラと感じる頬への優しい動き。

今日も静かな白い空気、ピンと張った自分の「なにか」が満ちる、私の神域で。

いつもの様にスッポリと嵌まりながら、この頃の取り留めの無い疑問を一人、つらつらと、呟いていた。



最近「違和感」を探す事にハマった私は、以前よりもより詳細に違和感それを把握すべく、観察の日々を過ごしていた。


何気無い動きの中、一挙手一投足の中の、「荒さ」を見つけ出し、修正していく様な、こと。

指先から溢れた星屑から、小さなスピリットが生まれ。
それをまた、繊細な指の動きで空へ舞い上げ、優しく青のホールへ放ち飛ばすこと。

ブレンドされたお茶の葉の、種類を予測する事や食事の作り手が誰なのか、盛り付けは誰がやったのかを当てること。

この青い区画の中で、壁や調度品の作り手の共通点を、見つけること。

魔女部屋の織物の中の、歪な部分を見つけ出し、解き、再び織り直していく様な、こと。

そう、同じ大きさである筈の小さなビーズの、中から。
カタチの揃わないものを見つけ、取り出す様な、ことも。


 「私を 精査する」とは。

 そんな様な  こと でも ある。


しかし、私は 細かい作業は嫌いじゃない。

日々、出てくる「異色」、それは何かの「出来事」から導き出される事もあれば、青のホールで気持ち良くスピリット達と戯れている時に、「ハッ」と気付く事だってある。

なにしろ「見つけた時」が、チャンスなのだ。

その「小さな細かい」「差異」は。

一度見失うと、小さ過ぎて思い出せないか、見つけ出すのが困難なのである。


そんな作業を、日常で続ける中。

「何故 衣なのか」

それが気になっていた私は一人、ウンウンと唸っていた。

そう、元々服は好きだ。
古着やアンティークレースも好きだし、私の世界で古着屋巡りだってした事がある。

しかし、シャット授業でも思ったけれど。

「服」は劣化する。
それは「物」であれば自然な事だし、仕方が無いのも解る。

しかし、ここまで詳細を詰め紡ぎ上げるものが、「衣」だという事実。
それは「劣化する」という事ではないのか。
私が成長して。
合わなくなる事だって、考えられる。

元々アンティークは好きなのだから、例えば「石」や「鉄」、「金銀細工」の様なものだって。
いい筈なのだ。
劣化も布程は少ないだろうし、長い年月保つ事も出来よう。

「好きなもの」という括りで、決まったならばそうである方がしっくりくる。


だから。

「何故 衣なのか」、その問題に。

一旦つまづいた私は一人、小川に流されている所なのである。
うむ。


「うーーーん。でも。服が、駄目な訳じゃないのよ。好きだし?創るのも、きっと楽しい。」

「でも、なんで…………その「衣」なんだ、ろうか…………。」

でも。

また。 意味なんて、無いのかも知れない。

うーん それは  ある。

 でも。

 「なにか」が 引っかかる んだ

 そう  「なにか」。


こんな 時は。

 そう   そうなの。  きっと

  「原因」  「鍵」が  ある 筈 よ



つらつらと考え流す、私の「要らないなかみ」、お陰で段々と「外側」が取れてきて。

なんだか「なかみ」が見えそうで、ある。


 なんだ  なにが  気に なる

  「衣」 「変化」 「更新」

 「合わせて 新しく」 「勿体無い」

   「作り方」 「手間」「技術」

 「常に 新しい もの」

 「継承」

 「文化」


くるり、くるりと翻る、様々な色、光や星屑、舞う蝶達。

私の「なか」で繰り広げられる沢山の「色の足し算 引き算」の、様なこと。

それから導き出される、キラリと光った「こたえ」は。

 
「あ。」

一瞬、チラリと見えた「こたえ」に、戸惑いもう一度掴み直す。


え? ???


      なの  ????


 でも。

 「」なんだ。


 私は 私を。  信じるって 決めたし

 私の道 だから。

 私が 決めて  いい し。


 「大それたこと」とか。

 「そんな筈はない」とか。

言ってたら、何も始まらないんだ。


何度も繰り返す問いを胸に仕舞い、大きく息を吐いて真ん中を「白」に戻す。

私の真ん中の、場の色だ。


そうして導き出された、「こたえ」は。


「……………えっ。「式年遷宮」、ってことだ………。」


 思い 浮かぶは 緑の中の 社

  広い空間に 静かに しかし堂々と 鎮座する
   木の 社

 しかし とてもシンプルな それは

     それそのものの 本質を

 表している様にも  思えるんだ


これまでずっとずっと、疑問だったその「作り直す」ということ。

「勿体無い」という思いが、つい先に立つけれど。

「技術の継承」「新しい 」「再生」

その説明を聞くと、納得できるのだけど「どうしてなんだろう」という疑問は。
拭いきれて、いなかった。

「木の文化」だから、それもある。

でも。

多分。

いや きっと。


「ああ、「もの」じゃなくて。「ひと」とか「技術」とか「残らないものを残す」って、事なんだ………。」


  「かたち」ではなく 「なかみ」


私がずっと、思ってきた「見えないもの」と同じ様な、こと。

きっと、あの「儀式こと」には。

が、含まれているに違いない。


それに。

今、私がやっている「要らないものを 流す」こと。

「古いものを」「新しく」、それは「洗い清める」の究極の様な、ことで。
やはり「神の社」を「作り直す」ということは、そういった意味も含まれているに違いない。


 「日はまた昇り 沈む」「日々 生まれ変わる」

 「再生」 「日の 神」

くるくると巡る、私の「なかみ」。

それを廻らせておきながら、思考を「式年遷宮」へくるりと戻す。


これまでの私は、新しく作り直すのならば「なかみ」が消えてしまう様な気がしていた。

「もの」の、価値が薄れる様な。

古ければ古い程価値がある、という価値観。
「それ」もあるとは思うけれど、今だから解る様に、なったこと。

きっと私達のあの文化は「もの」に重きを置く文化ではなくて。


 「それそのもの」「本質」

   「存在」 「実存」 「源」

 「見えないもの」 「想い」「在り方」

   「降り注ぐ 光」 「感謝」 「伝える」

  「繋ぐこと」 「繋げる こと」


全てそれ」が存在するという大きな前提があって、「それそのもの」に価値を置く、大切にする、文化なんだ。


「技術の継承」だという事は、説明されていたし、知っていた。
でも。

その「使えるものを壊してまた造る」事に対する、「私の納得」には弱かったんだ。
それだけ、だと。


くるり、くるりと翻っていた色が、ピタリとグラデーションの緑に添い、綺麗に嵌まって美しく調う。

 「 連綿と受け継がれる 死と再生 」

自分の「なか」での、「ある 場所」、「斎場」の様な「場」が調ったのを感じて気持ち良く息を吸った。


「成る程ね………なんか。……………感動、だな。」


それはきっと「想いを繋ぐ」ことと、同じ様なことで。

それが、解れば。


「成る程、成る程。」

私が、何故劣化していく「もの」の「衣」を創るのか。

その、自分の中の「ルーツ」は何処なのか。

数々の時を経てきた「自分」、沢山の「知っているけどやっていないこと」。

「それぞれの私」が、その時その時で拾い集めていただろう、沢山の小さな「カケラピース」。

それは私の「なか」に既に染み込んでいて、そこから導き出された「結果」が、こうして形となり今、現れるのだろう。

「私の道」と、して。


「死と再生」「創り直すこと」「衣」

「私」は。

一体「なに」で。

「何処から来て」「何処へゆくのか」。

「始まりの私」は、見つけ「繋げる私」も、見つけた。

そして「終わりの私」は、私なのだ。

でも、きっと。

このまま、真っ直ぐ自分の道を、進めば。
終わりそれ」が、見えることもから。


「それじゃ、やります、か。」

そうして納得がいった私は、心置きなくゾボゾボと余計なものを流して行く。

「あーーー、なんかスッキリしたからめっちゃ流れるな………。」


ホロホロ、ほろほろと溢れ、流れてゆく灰汁、それには中々の美しい色も含まれているけれど。

きっと「今の私」には、必要の無い色なのだろう。


「さーーて。結構、進んできたと、思うんだけど……………。」

ピタリと、言葉を止める。

そう、私は気が付いて、いた。


いや、本当は。

知っていた のだ。


 まだ 顔を出さない  特大の 「いろ」

   私の 「真ん中」「奥の奥」に。


   寝そべる    。


 だって 「それ」は。

 私の「なか」では 一番 大きな。


 とびきりの 美しく 巨大な、

   「究極の私」だった から。


 ある程度、周りが スッキリしてから。

 目を 向けようと  していたのである。


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