透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再

新しい 光

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ブラッドを見ることで、思い出した「あの色」。

それは。

 
 「私達」には  とても  とても。

   「馴染みのある」色で。


 少しの 「好意」が  「期待」に変わり

  それが 「執着」に 変化して。

 最終的に  「搾取」に 変わり

  最期は  「枯渇」して   終わる


 もう 何度も 繰り返してきた 「」。

 
  その 強く深い 色を放つ  

        特殊な  「それ」に。



   男でも  女 でも


   「どの私」 でも。


  何度となく 絡め取られてきた 「私達」は。


 ようやっと、その「色」を解き放つことが

    できた、   その ことに。


   「今」、 やっと 


       安堵  できた のだ。




あれから、新しく増えた「私の観音」は蝶になり「なか」へ還っていった。

慶と同じく、やはり見たことのない、その姿は。

「光」なのか「神」なのか、「観音」なのかは、分からないけど。

でもその区別をすることは、あまり意味が無いんだろう。
「それ」は、どれも。

「同じ」、「」から派生した、「なにか」なのだから。

きっと、「私が感じた」それ、で。
いいんだ。


通り過ぎる額縁と鏡、チラリと映る自分の姿に頷きながら、ゆっくりと歩き。

その流れと共に、自分の「なかみ」もゆっくりと馴染ませてゆく。

確認も兼ねて歩く黒の廊下は、今日も静かな気配が落ちていて。

微細な暗色の靄が足元にあるのが分かって、足でそれを切りながら進む散歩は中々面白い。

きっと「これ」はみんなが持っている「なんとなくの閉塞感」の様な、もので。

場所によって厚みが違い、その量と濃度、私の足で少し蹴ると減るところが面白くて、そのまま歩いて、いた。

あの、謳いながら走った時の様に。

少しは、重さが減るといいと、思いながらつらつらと歩いていたのだ。


足元から視線を上げ、可愛らしい花瓶を見る。

花は勿論、生けられていないけど。
美術品の様な花器は幾つも、飾られているのだ。

それを見ることで再びフワフワと現れる私の「なかみ」、その色は中々いい感じの柔らかさである。


あの、新しく加わった、「色」。

 
 光 なのか  観音か

    蝶か  はたまた   うーーむ
 


でも、あの可愛らしい雰囲気と「初恋」の様な「色」、「素直さ」と「一途」。

忘れていた、もう「無い」と、「無くなってしまった」と、「死んだ私達」が、思っていた、ものが。

 あの、姿になった事が。

私には、酷く納得できると共に、感動しても、いた。


「 ああ 私の 真ん中 は 

      死んで いなかったんだ 」


それが、解ったからだ。


「あの色」が、示すのは。

 私にとって

 「始まり」「淡い」「恋心」「初恋」

 「人を 好きになること」「想う こと」

 「ときめき」「純粋さ」

そんな様な、ことで。

私の「真ん中」にある、大事なものの一つでも、あるのだ。


 それはきっと 『芽吹き』の ような 

 もの なの だろう。


それからあの光については「桃色の観音」的、存在だと思う事にしている。

名前を付けるか、迷ったけど。
多分、私の中の「想い」はまだまだある筈で。

それが「暗色」と同じくらい、「明色」へ転換したならば、絶対に名前を覚えられないことは分かっていたし。

とりあえず、落ち着いてから。
ゆっくり、考えようと思ったのもある。


なにしろとりあえず、変化が早いのだ。

「精査する」とは、思ったけれど「定着」もした方がいいのは分かる。

だから、とりあえず………。


なんだかんだと言い訳しつつ、自分と「なかみ」を休ませる為に。

そしてこの、「始まりのワクワク」「高揚感」を、落ち着かせる為に。

こうして、黒の廊下へ浸っている所なのである。

何故なら今、私の部屋には。

「あの色」が、常駐しているのだから。



「…………ふぅ。」


 
 ひらり   フワリ

      ヒラヒラ

               フワリ


 うん? 

  出てきた ね ??

そんな私の周りを飛ぶのは、あの新しく増えた少女の様な「観音」である。

あの時、「少女の姿」をしていたと思ったが、カタチとして現れるのなら蝶なのだろう。

その、蝶が。

目の前 を

   舞っている の  だけ ど。


「うぅん?………どうしたの?」

少し邪魔をする様に飛ぶ、彼女は何か言いたいことがあるのだろうか。

とりあえず手を伸ばしながら、ゆっくりと黒の廊下をそのまま進む。

仄暗い黒にポツリポツリと灯る青のランプ。
その遠く近くの灯りの中を舞う、紅梅色の蝶がとても可愛らしい。

「ふふ」

自分で笑った、つもりだったけど。

なんだか、「蝶から」声が、聞こえた様な、気がしなくも、ない。

「??………やっぱり、どうしたの?」


 あ れ ??

段々と周りの景色が遠くなり、自分がスッと「隣の空間」へ移動した様な感覚が、ある。

足はまだ、動いていて。

私は 廊下 を?

  歩いている の  だけ ど。


「黒い」けれど「暗くない」空間、廊下を歩いている私に、何の物音もしない「静寂の場」。


 「次元」

ポンと浮かぶは紫の瞳、その「次元」という言葉で「場所」は同じでも「位置」がズレたのが分かる。

多分。
ここは。

あの 蝶  私の  新しい 観音

  あの子の 「場」 なのだろう。


だから。

危険は無いし、安心、なんだけど…………???


何故、今「こうなった」のだろうか。

それが全く、分からないのだ。



   「 ラーダ  

            ラーダ 」


クスクスと笑う様な声、フワフワと舞う気配は最近何処かで感じた「あれ」に、似ている。


  「慶」   「ラーダ」?


確か 慶 が

  夢に出てきた  時?

 なんか  フワフワ 喋ってた感じ  した

                   よね??



「…………成る程、か。」



あの時、夢の中で。

クスクス、フワフワとした気配がしていて。
その後慶が、「ケイよ、ケイ」と私の元へやって来たんだ。

 だから。

あれはきっと、「私の中の光達」が話していた場面に違いない。

それがきっと「次元」が違う、「私の中」で。

場所や、時間の問題ではないのだろう。


「ふぅむ。」

「して?ラーダ、が名前なんだよね?それを伝えに来てくれたのかな??」

このまま「名前の大挙」が始まったらどうしようかとおかしな事に頭を悩ませながら、訊いてみる。

しかしラーダは返事はせずに「ふふ」とだけ。

微笑み、舞っているのだ。


 そう ラーダは この空間ではきちんと。

 少女の姿で 実現 して いて。


 小さな 薄く透ける 姿

   天女の様な  羽衣 が ふわり


 腰には 緻密な細工が施された  金の鈴

   艶のある絹糸  金 銀  瑠璃色

    編まれた 細い紐に  揺れる

    それ から   涼やかな 音  

             震える 空気


  優しく 微笑む  顔 

 複雑に結われた 薄灰色の 長い髪


   白  薄灰  薄い桔梗と 緑青

   美しく 重なる

       薄桃色の 柔らかな衣

 ヒラリと 下がる   長い 羽衣は

    白く発光し  小さな星屑を 降らす


 背後に 無数の  蝶の様な

   黄色い小花が  舞う その姿は。


「可愛い…………。」

綺麗、なんだけど。
でも可愛い…………。

その、一言である。


フワリ、フワリと軽やかに舞うその姿は、「天女」か「蝶」か。

なにしろやはり、「芽吹き」を表した様なその姿は。
生まれたばかりの初々しさを伴い、私から出て来たとは思えない程の色を放っている。

でも、やっぱり。

嬉しい、けれど。


なんだか恥ずかしくなってきて、頬に手を当てニヤつく顔を揉み解す。

そうしてそのまま、フワリと優雅に舞うその姿に暫し、見惚れていると。

徐々に足元がはっきりしてきて、靴の感触に気付く様になる。
白かった辺りの光が段々と輪郭を取り、暗く変化してきていて。

きっと「もう戻るよ」とラーダが合図しているのだろう。


その、光に手を上げゆっくり頷くと、瞬き一つして。

そのまましっかりと目を開け、辺りを目に映し始めたのだ。



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