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8の扉 デヴァイ 再
超名案の実行について
しおりを挟む「誰が 正しい」とか
「何が 正解」とか。
そんなものは、なんにもなくて、ただ「自分」があるだけで。
それぞれ「自分の世界」があって、そこで「生きて」いる。
私達は。
その「事実」を。
どうして忘れて しまったのだろうか。
きっと、古来「魂」を「知っていた」頃には。
そんな生き方だったと、思うのだけど。
つらつらと考え事をしながら、静かに青の廊下を歩いていた。
しかし、「超名案」を実行しようとしている私は、足取り軽く「あの場所」へ向かう途中でも、ある。
そう、その「超名案」とは。
あの後、イストリアにその内容を提案した私は、早速その任務を遂行する為に出掛ける途中である。
その、自分で自分に課した任務、とりあえずそれを実行する為には許可が必要な事も知っていた。
許可というか、私の中での「確認」だけれど。
よって、とりあえず「予定」だけは話したのだが、そのザックリ過ぎる「予定」によってイストリアが混乱したのは言うまでも、ない。
そう その「超名案」とは
「私が長の代わりを、なんとかします!」という
謎にみんなを心配させる、内容だったのである。
「いや、でも絶対いいと思うんだよね………盗まれなければ。いや、無いか。」
ブツブツと言いながら、示し合わせた様に扉の前で待っていてくれたディーに頷き、その後について行く。
そう、私が向かっているのはシンの所、あの黒い部屋だ。
そこに「行こう」と思って歩くとディーがいると知っている私は、そう意図して扉に向かい、その方法が可能である事を確認しながら「シンの所に連れて行ってもらう作戦」を実行中だ。
そのまま青のホールを過ぎ、真珠色の羽衣に集中して背後をついて行く。
背後を歩く私の出立も、あの羽衣に 片手には姫様という姿
なんとも「他人に見られてはいけない」一行ではあるが、きっとこのパターンは「見えない」筈だ。
深海へ行く時と同じ行程をなぞる事で、身を隠して移動できる筈である。
いいかな 駄目 かな
いや どうなんだろうな
自分の提案に、頷いてくれるのかどうか。
駄目と言われたら、どうするか。
黒の廊下に、差し掛かったろうか。
そんな事をぐるぐると考えながら、ピタリと止まると白い髪が目の前だ。
「あっ、ごめん。」
そのままニコリと微笑み、フッと消えたディーの背後には、既に黒い大きな扉。
また、いつの間にどうやったのか、跳んでここへ着いた様である。
「いや、ホントどうなってるんだろう………?」
とりあえず辺りを窺いながら、小さくノックをする。
目の前の大きな扉が無音で開き、手に触れたのは懐かしい感触。
しかし、不思議な感覚に浸る間も無く、私は暗い部屋の中に引き込まれていた。
「そのまま、入っていい。」
キラリと瞳を光らせ、頭上からそう言ったのは黒いシンだ。
やはり私が来る事は、解っていたのだろう。
その様子に安心して、とりあえず部屋の奥へ進む。
シンはいつもの様に、何故かカーテンの前に立ち、私は一つだけある豪奢な椅子に腰掛ける様勧められた。
え いいのかな まあ いいか
一瞬だけ躊躇して、この人に遠慮は要らぬと気付いて座る。
羽衣をフワリと肘置きに掛け、膝の上には姫様だ。
姫様は数日神域に在っただけで、大分回復してきている。
余りにも、酷かったら。
なんだか「相手」のシンに見せるのはまだ「私が無理」だっただろう。
なんとなく、だけど。
やはり「女の子」としては、ボロボロの姿は見られたくないものである。
やっぱり そう だよね?
でも。 大分回復 いや でもまだ下着じゃない?
このレースは これからまた時間が経てば
ワンピースとか 出来るかな?
いや多分 私が「思えば」出来る、ってこと だよね
改めて、姫様の服装をチェックして完成形を思い浮かべる。
「あれ?」
そう言えば、私。
姫様の服、修復したな??
すっかり忘れていたが、そもそもシャットに行った目的が「姫様の服の修復」である。
自分の駄目さ加減にクラクラしながらも、ふと思う服の変化。
あれは確か、「私好み」に手直ししていた筈だ。
うーーーん?でも?
多分 合わない こと は ない
てか そもそも 私達 「似てる」し
いやいや? 待てよ そう いえば。
くるくると頭の中を回る「カケラ」を回収し、目的を思い出し顔を上げる。
私はシンに姫様を「見せに」来た訳ではないのだ。
「あのね………」
そうして、ふと顔を上げた瞬間。
予想に反して私をじっと見つめていたその赤い瞳は、しっかりと「私を確かめて」から、視線を下げる。
少しだけ鼓動が早くなって、思わず姫様の胴体をキュッと抱いた。
そう 私が抱いている姫様を、見て。
きっと彼は私が何を言いたいのか、解ったのだろう。
いや、もう私の考える事など、全てがお見通しなのかも知らないけど。
「それはお前が好きな場所に、置くといい。これと、共に。」
薄暗い部屋にサッと白い光が差し込み、一瞬目が眩む。
シンが背後のカーテンを人一人分程、上げたのだ。
えっ
なに ?
眩しくて 見えない けど?
少しずつ、目が慣れてくると。
そう言ってシンが指していたのは、厚いカーテンの向こう側に鎮座する「シンラ」だった。
「えっ???」
思わず黒い姿を、二度見して。
まじまじと上から下まで、確認したがなんだか様子がおかしい。
えっ
シン シンラ様 シン? シンラ ??
なんか。
「シン」だった ものが ?
「シンラ」に? いや 「新しい 神」??
なんだ これ は ?? ?
「えっ、……………あの……………?その…………???」
何と言っていいか、分からなくて。
とりあえずそのまま口を噤み、じっと赤い瞳を見つめる。
もしかしなくても もしかしちゃう系の はなし???
「「変容」したのだ、我らもな。見ただろう?あの、深い海で。新しい「あれ」を。」
うん??? 「新しい あれ」?
「あれ」って 多分 姫様
いや 確か に ?
「姫様」「神」「新しい 」「人形」
「うん?」
思い出せるのは「半分姫様」、「白い鳥」と「黒い鳥」。
しかし黒い鳥は今、私の腕輪に嵌っている石である。
そう言えば。
そもそもこの子には名前しか聞いていないけれど、「何の石」なのだろうか。
みんな「キャッチフレーズ」みたいなの、あったよね??
いやしかし今はとりあえず「姫様」だ。
確かに。
「人形」と「鳥」は、出てきたけど。
「神…………?」
チラリとシンを、見る。
確かに様子が違う彼は、姿形は「変わっていない」のだけど。
「オーラ」と言うか、纏う「空気」が、違う。
「うーーん?」
でも、これ。
見ただけで、分かるものなの??
「私の神」なら、分かるんだろうけど………?
そう私が首を捻った、瞬間。
「キラリ」と金の瞳が見えた。
「あ!!!」
えっ?
シン が シンラに なった って
こと ?????????????
「えっ?「神」が、変わる?変わった、の??」
「そうだ。現に、ここの神も変わったろう?」
「………。」
え いや まあ
変わった と 言うか いない 無い と
言うか うん。
そうだと、すれば。
思い当たるのは姫様の「私の姿」、白い鳥が変化したあの「馴染んだ光」。
「あれ」が、鳥で、神で。
「姫様」でも ある ???
でも確かに。
「半分が こっちなんだ」とは 思った よね?
「???」
なんだかよく飲み込めないが、きっとそうなんだろう。
深海では、漠然としか捉えていなかったけれど。
「姫様が新しく変化して 半分は人形の中」
「もう半分は 私の中の神に変容した」
そういうこと、なのだろう。
自分の頭では飲み込めていないが、「真ん中」はスッキリ片付いたのが分かる。
ピタリとあるべき場所へ収まった「新しい光」、仕組みは分からないけれど「それでいい」と「真ん中」が言っているのが解るのだ。
くるくると また新しい光の場所が決まり
曼荼羅の バランスが整ってきたのが わかる。
なんで「ペア」「対」が、「アンカー」なのかは
気になるけれど。
教えてくれるかな…………それとも
「その時」系の、話かな………。
しかし、私のぐるぐるを他所にさっさと話を進めるシン。
どうやらこの「シンラ」も半分らしく、もう半分はこの「黒いシン」の中だと言うのだ。
「私達は分かれても「減る」という事はない。概念としては「半分」だが、それはどちらも「同じもの」だ。私はまだここに居るが、その人形の方は依るの思う様にするといい。」
「………うん?ありがとう。」
後光が差す様に、照らされている「シンラ」は 確かに
以前の程の迫力は無いが、静かに在って。
「御神体」の雰囲気を醸し出す、何とも不思議なものになっている。
ゆっくりと近づいて、細部を確認するがこちらは衣装の乱れも腐食も無く綺麗になっているのが、分かる。
ありありと蘇る記憶、「私が思い出せなかったシンラ」、黄変していたレースのこと。
なんで なんだろう
なにが どう なって 思い出した?
不思議と繋がった記憶、自分のカケラが舞うのを許し、行方を見守っていると。
「約束」
「縛り」
「古き」
「護り」 「扉」
あるべき場所へピースがピタリと嵌り、その理由が知れる。
闇の神と 姫様が「賭け」をしていたこと
私が「繰り返さなかった」ことで 姫様が勝ったこと
白い部屋でのことは 記憶に残さず 旅をすること
私の「行動」で 「神達の今後」が
変わったこと
「変わった………?」
でも、確かに。
今思えば、私は姫様を見つけ戻り、あの部屋に人形神をきちんと戻して。
「自分の世界」へ帰る予定だったのだ。
それなのに?
「えっ?」
神が 分かれて? 人形と もう一つ
私の中と シン に?
「姫様」は 「人形」と「私の鳥」に
「シンラ」は 「人形」と「シン」の中に。
いや? でも シンは
シンラの石??なんだよ ね??
そこまで考えが落ち着くと、逆にピタリと嵌るピース、「わかる」感覚。
そう 「石」も「神」
「光」 「あの石」だって そういうもの
だから 私も 「そうなりたい」と
思ったし そうしようと 「純度を上げて」
同じく「光」に 「神」に
「うん、…………なんか。頭で納得しようと思うと無理だけど、わかる。うん。」
それに、姫様達の事で言うならば。
色々な神社で祀られている同じ神様の事を思い出すと、「そうなのかも」と納得できる。
そしてきっと、姫様は
私の為に 残ってくれたのだと 解るから。
有り難くその光を受けて、また私が光ればいいという事なのだろう。
一段、また光を上げて。
どんどん純化して、行くんだ。
「あ。」
それに、そう言えば元々「うちの守り神」でもあるんだった。
成る程、納得。
まだ少し痛んだレースを眺め、青銀の瞳としっかり目を合わせた。
私 と 姫様
こうやって 「真ん中」で 繋げて。
「うん。」
そうして、腕の中の髪をサラリと撫でて。
「ありがとう」と小さく 呟いた。
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