透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再々

曇りなき 眼

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大きな窓から差し込む 元気の良い光
 これまでよりも活発になった気がする 太陽
 それを受け虹をより光らせる スフィア達。

長机にある道具達は、以前より生き生きとして
私に語りかけてきているし
なんなら石達は明度が上がっていると 思う。

その、嬉しい変化に「やっぱりか」と思いつつも
「なにがやっぱりなのか」、それがはっきりとしない私は一匹の猫を前に。

腕組みをしていつもの様に唸って いた。


「ねえ、朝。どう思う?」

「どう、って。ねぇ。」

「て 言うか私。わかってる様で、まだ解ってなかったって 事だよね 。?」

「まあ、そうかもね。」

勢いよくバーガンディーから乗り出し問い掛けた私に対して、朝の態度は 冷たい。

「あんたが女神なんて、やり始めて。大分分かってきたのかと思ってたけど、まさかまだ全然だったとは。流石よね、恐れ入ったわ。」

「 えっ」

「結局、さあ?色々な物事は並行して依存し合い、それと同時に拮抗して矛盾し合ってるのよ。それが全ての事に当てはまるんだけど、あんたの場合は自分に対しての認識かしらね。」

 それ は 。
 どういうこと ですか ね ???


朝食を終えた私達は二人、久しぶりの魔女部屋へゆったりと腰を落ち着け しかし。
早くも絡まり始めた朝の糸に、ウンウンと唸っていた。

 いや 勿論唸ってるのは 私だけだけど。


自分でも、「なにが」気になっているのか釈然とせぬままやってきた魔女部屋、いつもの落ち着くバーガンディーの上。

なんとなくだけど。
朝が食堂で言っていたセリフ、「女の子だから」辺りに、ヒントがある様な 気はする。

それに、今一度立ち位置を確認する為 客観的に見た自分が知りたかったのだ。

 新しく 齎された
 「私の立ち位置」 わかっている様で
 落ちていなかった その段階の違いのこと。


それにはイストリアも適任だろうが、なんとなく私の視線は灰色の毛並みに向けられていて。

その視線を察した朝は、なんだか無言で青の廊下をついて来てくれた。

きっと、私の様子からして。

 なにが 聞きたいのか

大体察しが付いたのだと 思う。

そう それは「私の世界」とも 関係のある話で。

あの時 朝の口ぶりから感じた「時代背景」と「固定観念」、こちらの世界にも共通する「差別意識」の話。

それを纏めて相談できるのは、やはり朝だ。
私の世界には所謂「身分制度」は無いけれど、連綿と蔓延る固定観念は未だ強く、私達を縛る枠には なっているからだ。


「なんか、その「見た目と中身」の話なんだけど。ん? て言うか、それ赤ちゃんの時光ってたって。言ってたのとも、関係あるのかな?」

「うーん。それとはまあ、同じなのか違うのか。私にはよく分かんないけどね。でも、あんたが聞きたい事は大体分かるわ。いやね、年の功かしら。」

「フフッ、え?で、朝は。私が何を聞きたいのか、どう思ってるの?ちょっと話してみてよ。」

実際、私もまだ 自分の中が整理し切れていない。

 回り続ける カケラ

   私の立ち位置

  女神     小学生と 中学生
 
     場所   位置の違い  

 それは勿論、わかってただったのだけど。

きっと、朝の話を聞くと それが幾らか見え易くなる筈なんだ。
きっと私のカケラと反応して ヒントになるだろうから。


「うーん。なんて言うか。それって多分、そもそも。昔から「女子供は軽く見られる」からだと思うのよね。」

「 ほう? それで?」

ドンピシャな角度から話が始まり、思わず砕けていた姿勢を直す。

それはきっと私の知りたい事、それに近い色であり
早速自分の中のカケラ達が反応しようと
くるくると速度を上げ始めたのが わかる。


「なんか、やっぱり。「できない事が 普通」で「そう扱われる」と、「そうなる」「そう思い込む」じゃない?特に、子供の頃なんてそうよ。子供だから~できない、とか男の子だから、女の子だから、とか。まだ素直だから「ああ、そうなんだ」って思うじゃない?そういう教育の刷り込みもあるし、だけど逆に自分だけが特別だと、思い込むと。それはそれで違った方向に走り出して、暴走する。」

「うん。」

「本当は特別なんだけど、その「特別」の意味が違っちゃってるのよね、きっと。そもそも「中身」の違いだって、教えられていない。年齢とか男女で区別されて、同じものを与えられ、その中で順位を付けて秀でている者に管理をさせ畑を耕させる。あ、この畑って言うのは所謂「人間達の社会」的な話ね。」

「朝、難しい事言うね ?」

なんだか私よりも頭が良さそうな、猫が 一匹
目の前にいるんですけど ??

 まあ うちの猫だから いいか
  うん。

謎の理由で自分を納得させ、とりあえず続きを促す様 頷く。
 
「古い時代よりみんなが職業を選べるとか、ある程度自由だとか。良くなったとは思うけど、逆に巧妙な支配体制が出来てるのは、分かるわ。だってみんな、ベルトコンベアに乗った「人間」という人形だもの。「そういうもの」って、決まりきった形の刷り込み。だから自分と他の立ち位置の違いとか、距離、それが分からなくなって自分の真ん中とズレる。外側と中身が違うからね。それを同じだと思い込もうとして、おかしくなる。だから結局、みんな自分の事が解ってないのよ。仕方が無い事だけどね。」

視点」の話が恐ろしく的を得ていて。
いつの間にか私の身体は、やや緊張して話を聞いて いた。


「だから、幾らかマシな方だけど、あんたもで。その立ち位置と認識のズレが、歪を生むの。「女の子で、14歳で、なんやかんや」、あるじゃない?「普通の中学生」みたいな。まあ、それはそれで楽しさもあるんだろうけど。でも、スタートからズレるからそれで沢山の不思議が潰れるの。なんだか、昔はもっと色んな事が緩かったんだけどねぇ。」

「えっ、 て言うか うん。」

珍しく複雑な説明を始めた朝を前に、私の頭がこんがらがってきた。
しかし、中身のカケラ達は 次々に朝の言葉と反応し始めていて。


  「不思議」  
           「可能性」

    「個々の色」

       「枠のない 世界」「時代」

 「変化」     「時の流れ」

  行きつ  戻りつ 揺れ動く

   まだ流動的な フワフワとした カケラ達。
   

この カケラ達が、纏まって齎すものにワクワクしながらも
首がもげそうなくらい、頷きながら 続きを聞く。

「とりあえず、依るはずっと真摯に自分の本当を追いかけてるから。なにしろ細かいから時間はかかるんだけど、集中してる分、早い。何かに気付いたら、「え?なんでだろう」とか、「なんか違う」とかいちいちやってるじゃない?それをみんな面倒くさがってやらないのよ。ほら、前に言ったじゃない?「みんな、本当の事なんて知りたくないんだ」って。それと同じよ。現実を見る、それは自分の姿形、やってきた事、それをつぶさに見るって事だもの。それは放っておけばおくほど積み重なっているものだし、重くも濃くもなる。それを見るのは自分が傷付かない様に自分を守ってきた輩には辛いわよね。だから自分から目を逸らして、周りのせいにする。結局、あんたが生贄になる話だって元を正せばそういう事よ。」

「 あ、うん なるほど。  確かに 。」

伏せられた青い瞳 小さな溜息。

ずっとこの旅で、私を見ていてくれた朝の言葉は、思いの外 重い。


「でも、結局は。」

そう、きっぱりと言葉を切り
私をじっと正面に見据えた 青。

「本当に強い者は誰も虐げないし、本当に知っている者はのよ、本能で。「私達はみんな同じ」だって、ね。だからそもそも自分が他と違う自覚が無いし、みんなが出来ると思ってるし、他人を信頼できる。それが何処からか、ボタンの掛け違いが始まって、利用され始めた。私は性善説、それはあると思うけどね。あんたを見てると余計、そう思うけど。でも、それだけじゃないのは黎を連れ帰って来た時点で分かってるだろうし、その辺りの謎を解きたいんでしょう?」

 うっ まぁ はい
   そうです。

「まあ、依るが示したい事って。結局ずっとじゃない。「みんな同じ光」、確かにそれは、そうなのよ。ただ、位置と場所、段階の違いで、見えるものが違うから。目に見える物しか信じなくなってしまった、今の人間には辛いのかもね。」

なんだか、その切な気な声に。

  再び私の中のカケラが ゆっくりと

  くるくる キラキラ  回り始めたんだ 。





    
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