透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再々

子供達と 造船所 2

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さーて。  いっちょ

   やったる か 。 ?


次の日の、朝。

ぐるぐると腕を回しながら、勢い込んで灰色の道を歩いていた私はとりあえずの攻略方法として「自分の場合」を 考えていた。

しかし、この間 朝と確認したばかりだ。

 私は そもそも「スタート地点が違う」

それは、ある。

でも。

って。大人よりは、全然私に近い もんな??」

自分で口に出して、少し首を捻ったが
実際それは事実だろう。

 そう 柔軟性が なんたって 違うし
 素直さ 好奇心
 ワクワクの量  
 なにしろあの エネルギーの 瑞々しさ。


「うん。間違い ない。」


しかし ずっと観察していてふと気になったポイントがある。

 微妙な ズレ  違和感
 「なに」とも言えないけれど
 造船所全体に 漂う 「なんか 違う」感。


それがなんなのかと、思ったけれど。

「あー、でも。 あれ かな ?」


     "色の ズレ"

なんと言っていいのか 分からないけれど
全体的に「船の色と子供達の色がズレている」のだ。

 だから 多分 もっと
 船と 子供達それぞれの 場所 色 調子を
 合わせれば  ?


「うん。 多分、そうかも。」

なんだか全体が上手くまわる筈だ。


灰色の道 曖昧な空  フワリと流れる大きな雲
 時折見える 青。

 青と 白  白と 灰色

   灰色と 青  それぞれの濃淡 バランス
   それはどれもが 「自然で」美しい ものである。


「自然の美しさ」
「そう あること」
「どれでも 合うけれど より しっくりくるもの」、それと共に「船のカケラ」と「子供達のカケラ」を舞わせながら
どの色をどう、組み合わせれば「心地良いか」カケラ達の動きと相性を 見る。

 微細な振動 揺れの リズム
    調子に合わせて より組み合わせは
  どれだ ?


 ふむふむ  ほう?
  なるほど   そうね 。

そうしてなんとなくの「全体図」を作成すると。

それが消えない様に、真っ直ぐ 大きな灰色の倉庫を見て進んで行った。



とりあえずはシュレジエンと相談して、「私が思う適材適所」に配置換えをしてみる事にした。

 「作業の効率化」それもあるけれど
 そもそも人には向き不向きも ある。

基本的には「なんでもできる」のスタンスに立っているが、そこまで到達するには「自分を上手く使える様になる」それが大切だ。

だから。
先ずは「得意」を伸ばして、そこから自信を付けてスタートだ。
 そう「なんでもできる」をベースにして、新しい事をやる為に、まずそれ状況を創るのである。


昨日の様子では どの子も以前よりは楽しそうに作業をしていたが、やはり少しのズレはある。

その 中で
 沢山の現場を経験させたい子
 同じ場所で得意を伸ばし 責任感を持たせ
  ある程度任せて伸ばしたい子
 ある程度何でもできて 全体のバランスを取れる子。

その「適材適所」と、将来性を相談して 新しい配置で作業に取り組んでもらう。

何事も始めは大変だけれど、軌道に乗せてしまえば。
「全体が上手くまわる」、それがわかるからだ。



大体の指示と相談を終え
 そうして眺める 船の上
新しい作業の様子を、少し離れて見守る。

みんなにはきちんと「どうして変えるのか」、それを説明してもらっている。
シュレジエンに。

私があまりしゃしゃり出でも、後で困るといけないから。
 でもシュレジエンには「今更」って 言われたけど。

しかし、シュレジエンはやはり懐が深くて。
私の思いも直ぐに分かってくれたし、ナザレとデービスにも的確に伝えてくれたのだろう。

 みんなの動きを見ていると それが わかる。

「まあ、なにより あの人。もんな。」


 楽しそうに 新しい仕事をする子
 慣れない事におっかなびっくりの子
 年長者に教わりながら頑張る子
 下の子に張り切って教える子
 責任を持たされ少し力んでいる子。

色んな子がいるけれど、概ねみんな移動に拒否感は無い様だ。

でも「逆らう」という概念が 無いからかもだけど。

しかし、得意を伸ばしていって、自信が付いて自分の意見を言える様になって、彼らの世界が広がれば それは変わるだろう。

 なにしろ それはすぐじゃ ないんだ。

 私達には 移行期間が 必要だ。

しかし現場の「ちぐはぐ感」が確実に薄れた事を肌で感じている私は、自分の「細か過ぎるセンサー」に確認を取りつつも くるりと視点を翻して。


 「さて この小さな宇宙達を 最大限拡大

  するには どう するのがベストか」

それを考え始めて いたんだ。



「 ふーむ?」 

先ず 私が「自分が どうやっているか」を 考えると。

「ふむ? なんか、無限になんでもできる、空間で。自由自在に広く、チカラを操れるって 感じかな ??」


まず、「制限」は無ければ無いほど、いい。

 「ここでこうして綺麗に遊んでください」
 そんな 遊び場で。

 「決められた」範囲 道具 材料
 「使い方の決まっている」遊具で。

 遊んで 何が楽しいのだろうか
  なにか 新しいものが 生まれるのだろうか。


  縛られている 閉ざされている
 それは環境なのか 状況なのか
  人か 物か 方向性なのかは わからないけど。


 なにしろ 自由で 伸び伸びと 
  自分を 解放できる 場

それに「大きく描ける キャンバス」
   「材料となる 美しいもの」

それは 「もの」ではなくともいいし
 「見て」とか「触れて」とか
 なにしろ自分の知覚できる 「美しい なにか」

そこから派生する 私の創り出したい「美しいもの」。


「ふーむ ?」

そう、もしかしたら目的問題なのかも、知れない。

「成る程?あの子達にはこれまでそんな事、無かったもんね?」

そもそも、「欲しいものを作る」その経験が 無ければ
以前の様に「願ってはいけない」「欲しがらない」「望んでも無駄」、そこから更新しきれていなければ。

 なるほど 確かに?

 は あったかも 知れない。


なにしろ その「拡大していない子達」は。「年齢」「読み書きのできるできない」「性別」、その諸々どれも 所謂「統計」にしてしまえば
ほぼほぼ全く「偏りがない」、その状況だったのだ。

 「 拡大できない」
 凡そ その「原因」となるはっきりとした理由は
 見つからないのだ。

だが、もしそれが理由であれば 納得がいく。


「うーん。 でも、個人個人の なんだ、価値観?固定観念?所謂中身の問題だから、余計に難しいかも。」


でも。

私が思うに
     「まじないは ことば」だ。

 いや 「ことば」というか 「その人独自の表現」なのか。


子供達を見ていて ふと思ったこと
 それぞれの性格 語彙 年齢
 好きなもの 嫌いなもの
 上手な部分 下手な部分
それぞれ色々あるけれど 所謂「言葉が上手い」子は、少ない。

環境は勿論、あるだろう。
閉鎖空間、虐げられた環境 その中で口の立つ子がみんなを守ってきたのは、わかる。

 でも あの子  ルガなんかは。

まじないも上手くて手先も器用で、自分で工夫してモノを作るのが好きな、なんだか私と似たタイプ
そして 口下手だ。

 だからこその 精巧な仕上がり
 まじないの細やかさ
そう
「仕上がりを見れば性格がわかる」それを体現しているんだ。


「 そうだよね 。」

そう 上手い下手じゃなく
   優劣でなく

「まじない」は 「表現」であり「ことば」だ。

 「その人を表す 手段」の様な もの

 「それで なかみが 伝わる」もの。


 どんな 色 なのか
 どんな 表現 なのか
 どんな 強さや 弱さで
 どこに 気をつけていて
 どこに拘っていて

 なにを 一番に 訴えているのか 。


  それは 自然と滲み出る「在り方」にも 近い。



「 だよ ね。」

そう言って 一息吐いた その時。

ふと 「キラリ」
   天窓から降って来た 光達からのカケラ


 "だから 私は「光を降らせる」ことが自然"

そう 思った
そう した
それでみんなが そう感じ
そう 私が振る舞い
そう なってゆく
そう 創られてゆく こと。


だからみんなが みんな それぞれのを 見つけて。

自分の「手段」を見つけて 「自分のことば手段で 話す表現する


 「なに」って 決まってないんだ。

 それ手段は 人によって 違うのだから。


「ふーむ。 なるほど 成る程。」


  そういうこと か。


それを「どう やるか」だけれど、今日がその第一歩であるし
何よりも まず。

「立ち位置」からだ。


そう それが きちんと 
 できないこと なんて 無いし
 きっと 諦めずに 続けていれば
 やり方 角度 視点を変えて

 後は 「本人」の やる気さえ あれば
 事は成る んだ。


「 そうなんだよね 。」

「諦めずにやること」、それは意外と難しい。

励まし過ぎても、駄目だし 
手をかけ過ぎても かけな過ぎても
なにしろバランスが大切だ。


物見台から 改めて下を離れて 見て。
 ぐるり 造船所全体を目に映しながら 私が
 できること やること そう したいこと。

「でも。 それは いつでも決まって るんだ。」

1番に言えること それは勿論

 「私が というスタンスであること」
 「そこに立っていること」

まず、「場の軸」としてそこにあり 後はみんなに材料のヒントを与え、見守ること

 「無限の可能性の場」を 私がこと
 そこに 「創り出す」こと 。


きっと、相性なんかはあるんだろうけど
基本的にはこれでいい筈なんだ。

必要なのは「フラットで ある 場」
そこから始まる錬金術

 「その子が どういう状態で 存在しているか」と
 「その場所のエネルギーが どうであるか」
その 組み合わせなんだ、 きっと。


「えっ 待って。これぞ、私のやりたかった「創造」じゃ ない ??? ?」


でも 確かにそうなんだ。

 子供達は 無限の可能性 みんな宇宙を
 それぞれに持っているし。

 それを「信頼」し 「場を提供」して
 安全に「遊ばせて」
 「ありのままの いろ」を 「反応」させて
 楽しむ 。


  それは 「私の見たい せかい」そのものじゃ
  ない のか。



「 ふーーーーーーーーーーむ。」

思わぬ想像の展開に、自分で唸る。

「えっ。でも これ。正解、だよね。」

なにしろルールなんて ない
私の正解で いいのだから
それ即ち。

「なにしろ、やるべし。」

そうと 決まれば。

「 よし!」


とりあえず、落ち着いた頃を見計らって 下へ降りる事にした。

なんでか このまま去るよりも。

 "一度 触れ合って"

そんな声が 聴こえてきたからだ。

「 それなら。うん。」

きっとそれは さっき光を カケラを降ろしてくれたみんなからのメッセージだろう。
 なにしろそれならば。

子供達と遊びたいとは、私だって 思っているのだ。


そうして どうやら自分の光から「許可」の出た私は くるくると自分の出立を確認しながら階段を降りて。

 いそいそと 子供達の所へ向かったので ある。







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