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8の扉 デヴァイ 再々
「本当のこと」の拡大
しおりを挟む「いや、あの時私が「見つけたと思う」って言った「本当」は。 多分、まだ「本当」のうちの一部で、ホントはぜんぶ。 う~ん なんか、もっと「私の本当」は広い? 大きい?みたい。いや、「拡大してきた」のか。」
「成る程、今ひとつ解らないな。」
「なんとなくは、解る。」
「まあそれは、いつもの事かも。」
「そうね。」
「ああ。」
「それで場所は結局、グロッシュラーな訳?」
「多分神殿が一番良いだろう。」
えっ
ちょっと 皆さん ??
訊いておいて それ ?? ?
美しく魔法陣が描かれた 灰色の部屋
薄暗い奥には懐かしの道化師が鎮座する
シャットの移動部屋。
遅れて登場した私は、みんなの話を邪魔しない様に そっと隅っこを陣取ったつもりだったのだけど。
でも
みんなが私に「気付かない様にしてくれている」のは わかって
それがなんだか、温かく 面白くて。
「ヨル。」
一人、怪しく微笑んでいると 案の定手招きと共に中央へ呼ばれる。
そうして「最近どうだ?」というベオグラードの質問に 正直に、答えたのだ。
答えた、筈 なんだけど ???
しかし、普通に頷いているエローラ以外のみんなも なんとなくだが私の言いたい事が解ったのは わかる。
ま それなら いいか 。
そもそも今回も私は積極的に参加する立場には ない。
それでも声を掛けてくれた事が有り難くて、ニコニコウロウロと部屋を確認する。
「今なら読めるかな。」
そう調子に乗って確認した魔法陣の文字は やはり読めなく
少し残念に思いながらも「乗っただけで発動しないか」、確認しながらくるくるとその上を回る。
ふむ。
なるほど なんか 「いかにも」な かたち
これはきっと「魔法のかたち」を しているだけで。
「本体」は 「石自体」で
この「しるし」は便宜上ある が近いのかな?
「まあ、「目印」では あるんだろうけど。」
フェアバンクスの屋敷の奥にあったものとは少し違う気がして、今度確かめてみようと心のメモ帳に そっと書き留めておく。
道化師と 魔法陣
それ以外は特に見るもののないこの部屋で、何故会議が行われているのかは謎だが あまり銀の家がウロウロしない方がいいのかも知れない。
そう思い至って とりあえずぐるり、部屋の面子を改めて 眺めていた。
久しぶりの カラカラと並んだ髪色
ベオグラードのサラリとした薄灰
リュディアの艶のある紺髪
シェランの茶は また少し明度が増した気もするし
イスファのフワリとした灰色
レナの美しい青
シャルムの落ち着いた茶色
エローラは相変わらず灰色のポニーテールで。
最近は大人っぽく下ろしている時が多かったから
懐かしくて新鮮だ。
みんなは久しぶりだから 「いつも通りのエローラ」なんだろうけど。
なんだかこの面子が集まると、金色がいない事が不思議に思えるが
今の彼がここに嵌まるのかと思うと、なんだかそれも違和感が ある。
? なんでだろう な ? ??
「 ぁ」
つい、漏れた口を慌てて塞いで。
「どうした?」と言う目で見ているみんなに「大丈夫」の手を振り、きっとピンク色に染まっているであろう顔を パタパタと冷ます。
そう そうだった
いや 姿は変えられる?んだろうけど
「変化した」んだ 彼も。
確かに思えば。
髪は伸びているし
いや、普通の人間は髪は伸びるものだが
少し色も違うし
日焼けが薄くなった程度だけど
いや 違う。
ぐるぐると言い訳していた、自分の頬にパチリと手を当てて。
これ 私が 見せたくないだけじゃん。
そう自分が思っている事を 認識した私は
「まだ 残っている独占欲」と
「どうして変化したのか きっと見ればわかる」の 間に挟まれて。
「 ぅぐぐ 」
おかしな声を漏らしながら 少し離れてみんなの様子を見守る事に した。
今日 集まっているのは 勿論
「リュディアとシャルムの結婚式」、その段取り 計画を立てる為だ。
既に始まっている みんなの話を遠巻きに
外側から聴きながら。
思う 「これからの私達」
回り始める カケラ
「せかい」 「行き先」
「自分の 道」
「沢山の 色」
「元気よく 回る光」
そのそれぞれのカケラは私の「いろ」が みんなを見て。
反応して出てきた、沢山のバリエーションの色と形 スピードがあるカケラだ。
「どう 生きたいか」
「どこまで 行きたいのか」
「楽に」「大胆に」「のんびりと」「急いで」
「いつから」「どうやって」。
結局それを選択するのは 個人で
他人がそれを決める事はできないし
やったとしても途中、やはり道は逸れる。
若しくは 嫌々やるとなれば これからは衰退を辿るのだ。
子供達と接していても いつも思うけれど。
私ができること
それは「カケラを溢す」事でしかなくて
「選択する」のは彼等だ。
だが それでいいんだ。
やはり私は。
ずっとずっと 「こうして欲しい」と、思っていたし
「そうしなければ」とも感じていたし
それが「正しくて」「善い」と。
驕っていたのだ。
口を挟まずにじっと、話を聴きながら 自分の「なかみ」の動きをじっと見つめて。
ある意味「みんなの助け」を借りながら
自分の澱を下ろしてゆく 作業
それもまた「作業」ではなくて ある意味「儀式」で
自分の状況を客観的に観察しながら ハラハラと澱を落として ゆく。
その 「自分の中の 神殿」が 浄められてゆく様が
美しくて。
ただ そのまま静かに みんなに感謝を送って いた。
キラキラ
キラキラと
みんなの笑顔から溢れ出る 小さな星屑
静かな部屋の ともすれば「暗い」印象の
ピエロの横で。
その流れてくる「若々しい星屑」が眩しくて そうしてそれが私の「感謝のカケラ」と反応し
隣のピエロを彩り始めたから、また楽しくなって遊ぶ。
そう
地味なのよ てか エローラに言わせれば
「無理」な配色
反対色が絶妙に組み合わされたその色と色の間に、反応した光のカケラを差し込んでいって。
「 イケる。」
うん。
そう一人で納得しながらも、始まりに拡大してあった「私の本当」が目に入って
それについての違う色のカケラが また自分の中から導き出され、部屋の中は中々の装飾具合になって きた。
「なんか。 クリスマスのカフェみたいだな?」
まあ、クリスマスにカフェに行った事はないんだけど。
そんな事をつらつらと考えつつも、見覚えのある色が、フワリと目の前を横切る。
あ
あれは 確か。
そう 私達 二人が始めに設定した
「本当のこと」の 色
あの時「それ」は。
そう 「この世界の 本当」の意味だった筈だ。
ラピスの仕組み、扉間の行き来、デヴァイでの差別意識
私達全体が 「自由ではないこと」「搾取されている 誰か」「搾取している 誰か」。
そもそも「世界」は どうして
「虐げる 側」と「虐げられる 側」という
「構図」になっていて
そして結局「大元」は 何処なのか
「悪いのは誰なのか」。
そんな疑問から始まった 私達の「本当のこと」探し
それに元々私は ティレニアで。
「何の為に 生まれて 何の為に生きて
産んで 死ぬのか」
それをディディエライトに訊かれて。
「 あ。」
うん? そうだ 確かあの時。
私は「私は私の為に」みたいな事を言ったけれど。
それはやっぱり そうで
「私の正解」はそこで、結局 今
「その続き」をずっと追って いるんだ。
「 てか。 私の欲しかったもの って 結局「自分のぜんぶ」、「全形」、「真実」?だからまるっとぜんぶなんだけど、結局それが えっ。 」
せかい
って。
こと?
「 ????てか、やっぱり そうなりますか ね ??」
チラリと シャットのあの部屋で。
「あの瞳をした金色」と「世界をお望みか?」と言っていた あの声が自分の中を過る。
「 ふふ」
そうなんだ あの時は まだ「世界征服か」
そんな感じで受け取っていた その言葉
でも 今思えば。
あの人は 「そういう意味で」言っていなかったのだろう。
そう
ここまで来て 気付いた「自分の本当に 欲しいもの」
でも それは「欲しいもの」じゃ なくて。
正確に言えば「知りたいこと」だ。
そう 「求めている」けれど「欲しい」とは違って
「そうである」から 「そうなる」もの
どちらかと言えば「戻ろうとしている」もの。
「 ああ、それで。 還る場所、ね。」
それもまた折に触れて、この旅に出てくる 自分のキーワード
でも結局 連れてきたみんなは「それぞれの場所」か「私の中」に 還って。
それも また「同じ」で
「まるっとぜんぶが 自分」だから
「そうなる」「そうである」という事なんだ。
「私の ほんとう」
「本当のこと」
「すべては ひとつ」
「拡大する かたち」
「拡がって ゆくこと」
「追い続ければ」。
「そうなる」ということ。
「えっ ややこし。 フフ」
そうして 。
こうやって一人ぐるぐるをしていても ブツブツ言っていても
楽しそうに相談を進めているみんなは 時折それぞれが私の様子を確認し 暖かい笑顔を送ってくれている。
うん なんか。
お腹いっぱい
ありが とう 。
そうして、「私達の相乗効果」が渦巻く 移動部屋の 中
明るく華やかな声を 聴きながら
余計に舞い始めた カケラ達をぐるりと眺めて。
「 よし。」
大きく息を吐いて 立ち上がると
くるくるとピエロの周りを 回り始めたので ある。
うむ。
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