透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再々

選択肢 2

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「そもそも。私達は「選択肢を用意されること」に、慣れ過ぎているのかも知れないわね。」

「ああ、それはあるわね。選べなかったもの。ある意味どっちもどっち、とか。」
「そう、どっちがマシか、なのよね。」

 「うんうん」と頷く三人を 見ていて。

あのいつかの 青いウェーブを揺らしていた
アラルの姿が 思い出される。

「ヨルの場合は、選択肢がそもそも私達の想定外だけどね。」
「そうそう、それはある。」

三人の 私を見る 目が。
 なんだか 生暖かい のか 優しい のか
うん。

「想定外って言うか、なんか。私達とは、基礎が違うのかも。そもそも考え始めるスタートがまず違って、基本的に何でもできるから。選択肢が多いし、なんて言うのかな…答えまでが、早い?多分最短距離を知ってるから、周りを見てるともどかしいんだろうけど。」

「それはそうでしょうね。何でもできるこの子から見れば、「お金取るの?」って。私のやってる事なんて、詐欺よ。」
「レナ    。」

 それは 言い過ぎじゃ 。。

手を ブンブンと振りながら否定してみるけれど
輝く茶の瞳に「否定」の色は 見えない。

レナは 本当にそう思っているのだろう。

 でも そう それに。
あながち、それは「間違い」では ない。

 「何故」「どうして」って。

 私が思ってしまう理由の一つに 
 「その部分自分ができる」は 多分にあると思うからだ。


 「自分の できる範囲」
 「場所」「位置」「広さ」「扉の違い」
 「そもそも論」

沢山のカケラがくるくると回り、しかし私の頭の中は 混乱してはいない。

 ただ 「どう しようか」とは。

 思って いるけれども。


「違うのよ、ヨル。」

レナを嗜めながら、そう言うのはリュディアだ。

「自分ができないことを、やってもらう、それだって立派な仕事なのよ。お互いに、補い合うの。」

「確かにヨルは、自分でなんでもできるから。それは思い付かないのかも。」
「   。」

 確かに そうだ 。

私の驚く顔を見ながら、エローラが言うには こうだ。

「ヨルだって、苦手な事はあるけど。でもきっと、私達よりは全然「いろんな事ができる」から。そもそも考え始めるスタートが違うし、出してくる選択肢も違う。それできっと始めから答えはほぼ決まってて、どっちの方が効率が良いかとか、みんなに対していいか、とかそんな位じゃない?悩んでる時って。「やった方がいいこと」とか「やるべきこと」が、分かってるから。なんだろう、最適な答えが解るのかな?判ってる、のかな。だから始めは何をしてるのか、分かんないんだけど見てれば「それが正解だったんだ」って。のよ、最後には、いつも、ね。」

 流石の エローラ先生の答えに。

 あんぐりと 口を開けたままの私は 
  ぐうの音も 出なかった。


「ヨル、それは「女神」はしてはいけない顔よ。」
「確かに。あんたは、もう!ほら、シャンとして。」
「あ、そっか。こっちではヨル「女神」なんだ。ある意味あっちデヴァイでも、そうかもだけど。ねえ、それってやっぱりラピスの人はみんな知ってるの?」

「まあ、そこそこ。周知はされてるけど、最近姿が見えない、みたいだしね…?」

バシバシと レナに背中を叩かれながら
自分の位置を思い出す。


 そうなんだ
エローラの 結婚式から現れ始めたから。

時折、お店に来る人から訊かれる事もあるらしいのだ。

「ラピスには、、来てるみたいだけどね………?」

そう言いながらも笑っている 灰色の瞳が怖い。


そうして みんなの「私の扱い」に安心しながらも
 くるくると回る 「みんなからのカケラ」

 「私の 位置」
         「みんなとの 違い」

   「みんな違って みんな いい」

これまで自分がぐるぐると回してきて、整理がついてきた「すっきりとしたかたち」
それを自分の真ん中に またそっと納めて。

頬を揉んでくれる、レナの温かい手に癒される。

 そう ある意味
私に「この行為他人の頬を揉む」は できない
それは確かで ある。


「 うむ。「得意、不得意」。「補い合う」、うむ。確かに 手は二本しかないし。」

ブツブツと呟く私の頬は レナの手に潰され細まりそうで ある。


「まあ、私達がいきなりヨルには、なれないから。とりあえずは練習あるのみ、よ。とりあえずはドレスの色から。どうする、なんか良い決め方あるかな?」

リュディアの瞳が優しくて なんだかジンとくる。
しかし間髪入れずに青を差し込んでくる、レナは流石だ。

 私の 前にシュッと立ち塞がって。
ドレスの肩を直しながら 話し始めた。

「ダメダメ。ヨルの色が入っちゃうと、みんなそれに慣れるから。なんか、ずっとこの子と一緒で思ったんだけど。じゃ、分かんないのよね。自分で考えて、やってみる。それで良くても駄目でも。それが次への一歩になって、自分の為になるのよ。なんか、この頃「この子が言ってたのはこのことか!」って。気付く事が、多くてそれを。多分、もうヒントは沢山貰ってるから、私達自身が自分達に合った形で。それを実現するのよ、うん。」

「そうなのよね、いい事言うわ、流石レナ。なんか、ヨルの「うん」が移ってるけど。フフ……なんかヨルって、いつも自問自答?独り言言ってたけど、これだったんだなって。確かに最近、思うわね。」

「あー、そうね。そうかも。なんか、「間違えちゃ駄目」って、思ってるから狭まるのよね。いいのよ、怒られたって。」
「うんうん。大丈夫よ、あの子だって沢山怒られてるから。」

 なんだか また 雲行きが怪しくなってきた。

しかし とりあえず みんなが。

再び 私抜きで「これからのこと」を話しつつ、ドレスの手直しを始めて。

最終的に着せ替えマネキン状態のリュディアが時折 私に送ってくる「苦笑」が面白くて、笑う。


 ああ やっぱり。

 
   みんな 綺麗だな

          美しい な 


   優しくて   柔らかくて 。


そう それはやっぱり
  暖かい   素敵な 色 なんだ。


キラキラと 未来色のカケラが舞う 空間
 
   リュディアの ドレスからの 光

  沢山の生地     道具達   

   針山    刺繍糸   素敵な材料達

様々な道具と 込もるもの達の光
 キラキラと 舞うカケラ
そして自分達のことを 「可能性の領域」で 考えられる 彼女達の 光。


その光景を見ながら 胸一杯にあったかい空気を吸い込んで。

大きく、息も吐いてぐるり 店内も見渡した私は
「大丈夫、聴いてる」という空気を醸し出しつつ
そっとテーブルを離れ 壁際に溶け込もうと刺繍糸の棚前へ 陣取る。

 いや ちょっと 何色があるか見てみたい
 だけだけど。

そうして恒例の。

 「お宝発見」へ そっと向かったので ある。

うむ。








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