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22の扉 生成の場
新しい「くくり」のかたち
しおりを挟む実際 きっと
「私の魂」は これまでの形を失ったけれど。
それは「悲しみの喪失」ではなくて「拡大の喜び」で
「くくり」という境界の自由度が増した視界は 新たな角度を 得
確かに「これまでわからなかったこと」がわかる様になったし
「目と眼の使い方」も 上手くなった気がする。
「………ほう、まさか、理解できる様になったのか?」
「 ちょっとですけどね。 実際具体的にはわかんないですけど。 でも、この液体の成分が保持で、こっちのやつが排水、そのバランスを適当にする事で畑の管理がしやすいのは解りますし 幾つか自分で管理して観れれば配分もわかるし。 後は植物達の顔を見て目分量ですよ。 そう、私が苦手なのは数字だけってことです。うん」
「…まあ、お前の場合はその「目分量」が的確だからな。それが使えない奴の為に、こうして基準値と表、薬を作る訳だがしかし。」
「 そう、最近お日様も結構出てるし、いらなくなる日も近くないですか?」
「………イストリアもずっと言っているが。確かに自然に任せる事は、必要なんだろうな。」
「 はい」
いつもであれば「なんだかよくわからない数字」を見て
「うひゃあ」と慄いてしまう私も
広い視界を手に入れたから。
こうして 本部長ときちんと話もできるし、自分の意見も 前より的確に伝えられていると思う。
少し前に感じた、「本を読んだ時の感覚の違い」
その時も思ったけれど
大概の「苦手なこと」は
自分がそれに対して「抱いている壁」が原因であり
実際「それと私の間」に壁は一切ない。
今だって こうしてきちんと平たく視れば
「彼が何をしたいのか」、
そこへ視点を当てていれば容易く目的までの過程が読み解けるし
結局すべてはそうやって 読むことができる。
「 だから、なんだろう もっと色々やって、試して みて。世界と仲良くなって、扱い方を学ぶってことなんですよね。」
「それができればな。俺は機械は解るが。生きている相手は、やはり中々難しいものがある。」
「 うん、 ですよね。」
人間は勿論、自然も。
「生きて」「動いている」からこそ、読むのが難しくもあるし
だからこそ面白くもあるのだけど
それだってやはりどちらも「相手」であり やって学ぶしかない。
「 うん」
そうやって切り替えて、手元のサンプルを手に取ると
もう一方の手で くるくるとペンを 回して。
スペースの景色も切り替え、「いつもの感覚」に 自分を戻す。
まあ なにしろ
「なんでも あり」の「どんとこい」で。
なににも 区別を付けず、
やってくのが 吉ってこと 。
そう、今回 「得た新しい視界」は
裏側のことばで言えば「私の魂の拡大」
若しくは「くくりの柔軟さ」で
これまでは「視えないと思っていたところ」も
ヴェールが上がって 視やすいから。
彼方此方と的確なところへ 視線を延ばして
「その真相を 掴むことができるということ」だ。
その「具体的な数値」は 視えなくとも。
それは こうしてこちら側の協力者に頼めばいいし
私が「一人じゃない」意味は "そこにも ある"。
「で?畑はいいが、他にも。何か、気になる所があるから来たんじゃないのか。」
「 う~ん 」
そう です ね?
そして
以前は私の顔色など 読めなかった本部長も
大分「私達」というくくりに馴染んだ様で
こうして予見を口にしてくれる様になった。
あ でも これ
「せかい」なのか
そうね
私が 変化している からか。
そんな「別高度からの視点」も合わさり、ついニヤリとして頷くと
「なんだ」という顔をした彼は「奥にいる」と言い残し くるりと小部屋へ篭ってしまった。
「 ふふ」
して。
そんな なんか「顔に出てた?」 かな
ていうか
「悩み」? は まあ ないとして
でもまあ 「何か気になること」が
いろで 出てたって ことなんだろうな 。
「 ふむ。 」
くるくるとそう結論付いたカケラ達は
早速「この頃のいろ」、それを舞わして。
私に 「どれが その色」「なにが 気になる」と 囁いているけれど
特に大きく気になる景色は 全体の中に無く、
その代わりに
「ぜんぶのなかにある やってきたこと」が
目立っているのが わかる。
ああ でも
そういうこと なのか 。
その「全体図」を 観ていると。
確かに「すべての中にある シミ」
「汚れ」
「汚い部分」は 目立って観えて、
今は「その部分も理解できる」し
「私はあまり気にならない」けれど
角度を変えて視れば。
「それ」が 世界に齎しているいろも
同時に視えてくるんだ。
ぜんぶ
すべて
己 自分
「ある」
「ところ」
「くくり」
「しっくりくる わたしのいろのなかみ」
その 「なか」で。
確かに「清と濁」は あり、
それは勿論「他のくくり」もそうだけれど
「やってきたこと」
「積んできた光」
「その 色」
「ありとあらゆる 色」
「それが形に成っている景色」が 今
殊更に拡大していることに 気付く。
そう
今
私が視ている全体図は「裏側の景色」だけど
本部長と 話すことで。
「その裏側の景色」が「現実的にどう展開しているのか」
「聞くこと」により具体的に観えてきて、より 一層拡大されているのだ。
「 ふむ 」
しかしそれは「わかっていたこと」
「やってきたことの結果」であり
「それ自体」が「なに」ということではない。
だけど
「それが齎す感覚」が なんなのだろうと思って。
奥の小部屋から漏れる気配を確かめながら
すっと 自分の奥へ 入って行った。
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