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一章 純愛…ルート
騎士様に奪われたい 後編
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聞き取り調査終了して三日後。
騎士様が再び来訪しまさかの婚約の打診があった。
なんの事か全く理解できなかった。
何故僕なのか、なぜ今なのか。
騎士様は結婚に興味のない人という噂だったのに。
それよりも僕にとって一番はイノーマン様の存在だった。
もし騎士様の婚約者になったら次は何されるか…。
断らないと…。
「イノーマン エバロックの事は気にするな。」
「ぁっ」
騎士様から出た名前に硬直した。
だって…僕は相手の名前を言わなかったのに…誰にされたのか騎士様は気付いていたんだ…。
婚約を申し込まれた事など頭から消えていた。
「君には迷惑を…私に責任を取らせてくれ。」
「…そんなっ」
責任て…あっ、だから婚約…。
責任の取り方の一つとして婚約するのは貴族としてはよく有ること。
だけど惹かれている相手と義務で婚約なんて辛すぎる。
僕には…無理だった。
「僕の事は気にしないでください、騎士様は侯爵だと聞きました。騎士様と僕ては釣り合いが取れません。男爵家の僕か騎士様に不用意に近付いたのが原因ですので、この怪我も僕の責任です。」
「近付いたのは私だ、一度目も二度目も声をかけたのは私からだった。この怪我も私が関係している、責任を取るのは当然だ。」
騎士様の騎士道精神は素晴らしいものだが、頑固にも見えてきた。
「…騎士様は好きでもない相手と結婚して幸せになれますか?」
「ケイテットには誰か思い人がいるのか?」
驚いた。
僕の名前知ってたんだ。
「………」
「その男のために私との婚約は嫌か?」
「思い人…騎士様は僕で良いんですか?」
思い人はいる、目の前に…でも言えない。
「興味を持てたのはケイテットだけだ。」
ケイテット…って誰だっけ?
「…ん…ぼく?」
「あぁ。」
「私と逢う時はいつも目が潤んでいるな。」
「え?」
「その目が忘れられない、私でもっと潤ませたい。」
状況が把握できないまま騎士様の顔が近付いてくる。
片手で後頭部を優しく包まれそちらに気を取られていると、唇が重なった。
何が起きているの?
騎士様とキスしてるの?
婚約を申し込まれ、返事もまだなのに僕達はキスしているの?
離れようにも騎士様に拘束されている。
抵抗するために騎士様の胸を押し退けていた手もいつの間にか制服を握りしめていた。
「ぁっんっんっふっんふっんんっんっんあっふぁっん」
始めてのキスはとても激しく初心者の僕には刺激的だった。
騎士様が離れても唇へ意識が持っていかれてしまう。
「私と婚約すれば、いつでもしてやる。」
いつでも?
もう一度気持ちいいのしてほしい。
返事よりも唇を薄く開き騎士様を求めてしまう。
「ケイテット、私と婚約するよな?」
「…はぃ」
「他の男には渡さない、覚悟しておけ。」
騎士様は僕の返事を待たずに先程以上の気持ちいいキスをくれた。
僕はキスだけで翻弄され幸福に満たされる。
学園に復帰する頃には騎士様と僕の婚約は貴族達に発表されていた。
学園復帰に不安を感じていれば、騎士様からイノーマンは学園を退学にされたと。
そして、イノーマンの命令とはいえ僕に暴力を振った二人も泣きながら学園を去った。
イノーマン家は侯爵家を敵に回したと貴族に知れ渡り、時間を掛けて衰退していくだろうと。
「僕はそんなこと望んでいませんよ。」
「イノーマンはケイテット以外にも多くの者を傷つけていた、立場を利用し金で揉み消す。私も我慢の限界だった時にあんな事が起きた。私の大切な人を傷つけたことは奴にも責任をとってもらわなければ私の気がすまない。」
「…そう…なんですね。」
何か言おうとしたが、騎士様から「私の大切な人」という言葉を聞いてしまい忘れてしまった。
「大切な人」って僕の事…なんだよね?
「ケイテットは何も気にする必要はない、安心して学園に戻れる。」
「はぃ」
陶酔する頭で何となくで会話をしていた。
そして、僕は騎士様の言葉を信じ再び学園に通った。
結婚しない騎士様として有名で、尚且つ侯爵家のルーエンティ様。
そんな相手と婚約してしまい僕への視線が凄いもので、更にイノーマンの件でも僕は注目されていた。
貴族の中でも地位の低い男爵家は蔑まれる事が多い中、男爵家の僕が侯爵家と婚約したとなれば影口を叩かれても仕方がないのだが、僕に何かしようとする者はいなかった。
イノーマン様が退学になったのは、僕が…侯爵家が動いたからだと噂され、僕に暴力を振るった二人も学園から姿を消した…。
これらの事実が噂で広まり視線を感じることはあっても何かしらの被害はなかった。
ちょっと学園での居心地は良くないが、帰ると屋敷にはルーエンティ様が来てくれる。
毎日ではないが週に一度は必ず会いに来る。
多い時には三日に一度は会っていた。
学生と違って忙しいはずなのに来てくれるのが嬉しくて、その都度ルーエンティ様と甘い時間が流れる。
いつの間にか騎士様からルーエンティ様呼びになるほど親しくなっていた。
ルーエンティ様はそちら方面に一切興味がないと噂され、僕もそうなんだろうと思い込んでいたが偽りだった。
何故なら…。
「あっんっだっだめでっす…あっんんやぁん」
キスから始まる行為はいつの間にか唇以外のところにも触れていた。
結婚し初夜を迎えるまではというのが一般的であるが、絶対ではないので婚約者同士の合意があれば許される。
だけど、始めての事ばかりで僕は結婚するまではと先伸ばしにしていた。
態と焦らしているのではなく、僕の心の準備が必要だったので「結婚までは…」と伝えた。
「大丈夫だ、安心しろ。結婚まではするつもりない、それまでは我慢する。」
ルーエンティ様も僕の考えを考慮してくれ、しないことを約束してくれた。
が、僕の身体を刺激するのをやめない。
結婚までは…と言い出したのは僕なので不満をいえる立場ではないが、もう身体の方がその続きを求めて苦しくなっていた。
いっそのこと、このまま僕を奪ってほしい。
騎士様が再び来訪しまさかの婚約の打診があった。
なんの事か全く理解できなかった。
何故僕なのか、なぜ今なのか。
騎士様は結婚に興味のない人という噂だったのに。
それよりも僕にとって一番はイノーマン様の存在だった。
もし騎士様の婚約者になったら次は何されるか…。
断らないと…。
「イノーマン エバロックの事は気にするな。」
「ぁっ」
騎士様から出た名前に硬直した。
だって…僕は相手の名前を言わなかったのに…誰にされたのか騎士様は気付いていたんだ…。
婚約を申し込まれた事など頭から消えていた。
「君には迷惑を…私に責任を取らせてくれ。」
「…そんなっ」
責任て…あっ、だから婚約…。
責任の取り方の一つとして婚約するのは貴族としてはよく有ること。
だけど惹かれている相手と義務で婚約なんて辛すぎる。
僕には…無理だった。
「僕の事は気にしないでください、騎士様は侯爵だと聞きました。騎士様と僕ては釣り合いが取れません。男爵家の僕か騎士様に不用意に近付いたのが原因ですので、この怪我も僕の責任です。」
「近付いたのは私だ、一度目も二度目も声をかけたのは私からだった。この怪我も私が関係している、責任を取るのは当然だ。」
騎士様の騎士道精神は素晴らしいものだが、頑固にも見えてきた。
「…騎士様は好きでもない相手と結婚して幸せになれますか?」
「ケイテットには誰か思い人がいるのか?」
驚いた。
僕の名前知ってたんだ。
「………」
「その男のために私との婚約は嫌か?」
「思い人…騎士様は僕で良いんですか?」
思い人はいる、目の前に…でも言えない。
「興味を持てたのはケイテットだけだ。」
ケイテット…って誰だっけ?
「…ん…ぼく?」
「あぁ。」
「私と逢う時はいつも目が潤んでいるな。」
「え?」
「その目が忘れられない、私でもっと潤ませたい。」
状況が把握できないまま騎士様の顔が近付いてくる。
片手で後頭部を優しく包まれそちらに気を取られていると、唇が重なった。
何が起きているの?
騎士様とキスしてるの?
婚約を申し込まれ、返事もまだなのに僕達はキスしているの?
離れようにも騎士様に拘束されている。
抵抗するために騎士様の胸を押し退けていた手もいつの間にか制服を握りしめていた。
「ぁっんっんっふっんふっんんっんっんあっふぁっん」
始めてのキスはとても激しく初心者の僕には刺激的だった。
騎士様が離れても唇へ意識が持っていかれてしまう。
「私と婚約すれば、いつでもしてやる。」
いつでも?
もう一度気持ちいいのしてほしい。
返事よりも唇を薄く開き騎士様を求めてしまう。
「ケイテット、私と婚約するよな?」
「…はぃ」
「他の男には渡さない、覚悟しておけ。」
騎士様は僕の返事を待たずに先程以上の気持ちいいキスをくれた。
僕はキスだけで翻弄され幸福に満たされる。
学園に復帰する頃には騎士様と僕の婚約は貴族達に発表されていた。
学園復帰に不安を感じていれば、騎士様からイノーマンは学園を退学にされたと。
そして、イノーマンの命令とはいえ僕に暴力を振った二人も泣きながら学園を去った。
イノーマン家は侯爵家を敵に回したと貴族に知れ渡り、時間を掛けて衰退していくだろうと。
「僕はそんなこと望んでいませんよ。」
「イノーマンはケイテット以外にも多くの者を傷つけていた、立場を利用し金で揉み消す。私も我慢の限界だった時にあんな事が起きた。私の大切な人を傷つけたことは奴にも責任をとってもらわなければ私の気がすまない。」
「…そう…なんですね。」
何か言おうとしたが、騎士様から「私の大切な人」という言葉を聞いてしまい忘れてしまった。
「大切な人」って僕の事…なんだよね?
「ケイテットは何も気にする必要はない、安心して学園に戻れる。」
「はぃ」
陶酔する頭で何となくで会話をしていた。
そして、僕は騎士様の言葉を信じ再び学園に通った。
結婚しない騎士様として有名で、尚且つ侯爵家のルーエンティ様。
そんな相手と婚約してしまい僕への視線が凄いもので、更にイノーマンの件でも僕は注目されていた。
貴族の中でも地位の低い男爵家は蔑まれる事が多い中、男爵家の僕が侯爵家と婚約したとなれば影口を叩かれても仕方がないのだが、僕に何かしようとする者はいなかった。
イノーマン様が退学になったのは、僕が…侯爵家が動いたからだと噂され、僕に暴力を振るった二人も学園から姿を消した…。
これらの事実が噂で広まり視線を感じることはあっても何かしらの被害はなかった。
ちょっと学園での居心地は良くないが、帰ると屋敷にはルーエンティ様が来てくれる。
毎日ではないが週に一度は必ず会いに来る。
多い時には三日に一度は会っていた。
学生と違って忙しいはずなのに来てくれるのが嬉しくて、その都度ルーエンティ様と甘い時間が流れる。
いつの間にか騎士様からルーエンティ様呼びになるほど親しくなっていた。
ルーエンティ様はそちら方面に一切興味がないと噂され、僕もそうなんだろうと思い込んでいたが偽りだった。
何故なら…。
「あっんっだっだめでっす…あっんんやぁん」
キスから始まる行為はいつの間にか唇以外のところにも触れていた。
結婚し初夜を迎えるまではというのが一般的であるが、絶対ではないので婚約者同士の合意があれば許される。
だけど、始めての事ばかりで僕は結婚するまではと先伸ばしにしていた。
態と焦らしているのではなく、僕の心の準備が必要だったので「結婚までは…」と伝えた。
「大丈夫だ、安心しろ。結婚まではするつもりない、それまでは我慢する。」
ルーエンティ様も僕の考えを考慮してくれ、しないことを約束してくれた。
が、僕の身体を刺激するのをやめない。
結婚までは…と言い出したのは僕なので不満をいえる立場ではないが、もう身体の方がその続きを求めて苦しくなっていた。
いっそのこと、このまま僕を奪ってほしい。
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