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一章 純愛…ルート
誤解
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部屋の前には人がいた。
約束してないのにどうして?
沈んでいたのに、嬉しくって走って駆け寄った。
「ライアン様……うわぁっ。」
訓練は途中で終わったとは言え、魔力量の少ない僕にはかなりの消耗だったらしくライアン様の手前で足がもつれて転びそうになってしまった。
「おいっ…気を付けろ。」
「ありがとうござ…い…ま…す……。」
ライアン様の反射神経の良さに助けられ床に転倒する前に受け止めてくれた。
ライアン様が僕を待っていたことや受け止めてくれた事、全てが嬉しくて御礼を言うもライアン様の顔が怖かった。
あれ?
鍵の登録してるから部屋で待ってくれたら良かったのに、どうして外に居たの?
「…部屋入るぞ?」
「ぅん。」
僕の部屋だけど入るのが怖かった。
ライアンが先に入りベッドの前まで歩いていく。
僕はライアン様の後を追いかけるしか出来なかった。
「今まで誰といた?」
「えっ…ギノフォード先生と…。」
機嫌が悪いの?
「何処で?」
「訓練場。」
なんだか、取り調べされてるみたい。
「…何してた?」
もしかして何か疑われてる?
「…訓練…魔法の。」
嘘じゃないのにしどろもどろになってくる。
「それだけか?」
「…ぅん、嘘じゃないよ…信じて。」
信じて欲しくて「信じて」と言ったのに、嘘を吐いている気分になってくる。
本当の事なのに。
「何で黙ってた?」
「ぇっ黙って…。」
確かに言わなかったけど…。
態とじゃなくて…。
「後ろめたいこととかあるんじゃないのか?」
「ないよっ。」
完全に疑われていた。
「本当かっ。」
「本当、信じて。」
また、信じてって言っちゃった。
「なら、脱げ。」
「えっ」
脱げ?
脱ぐことと疑いが晴れることは関係ないんじゃ…?
「裸になって、ベッドに上がれ。」
「……は…ぃ」
今のライアン様に逆らえず、僕は脱ぐことにした。
部屋の温度は一定で寒くないはずなのに空気の冷たさを感じる。
震える手でボタンを外し脱いでいき、その姿をライアン様は凍りついた表情で視線を向けてくる。
脱ぐことが恥ずかしというより、ライアン様からの視線が恐怖だった。
裸になりベッドの中央に上がり身体を隠すように座った。
ライアン様は枕カバーを外し破いていく。
優しいライアン様の破壊行為が僕の恐怖を煽っていく。
次の行動が読めず不安が募るばかりだった。
「仰向けに寝て……手、上げろ。」
犯罪者が捕まる時に言われる言葉を言われる日がくるなんて。
素直に従い片方ずつ手首をしばられベッドに繋げられた。
両手を縛られ更に目も覆われ、ライアン様がベッドに乗り上げた箇所が沈むのを身体で感じた。
「昨日、ギノフォード先生に抱き抱えられたって本当か?」
「ぇっ?あっ。」
もしかして、それで怒ってるの?
「本当なのかよっ。」
声だけでも感情が分かる。
苛立ちと怒りだった。
「ぼ、僕が、魔力切れで倒れちゃって運んでくれたみたいで…。」
「部屋で誘ったのか?」
「へぇっ?誘っ…?」
ライアン様の質問がよく分からない。
どうして僕が先生を?
「やったのか?」
「………。」
あまりの質問に言葉を失った。
「ギノフォード先生とやったのかよ?」
「…して…ない…本当に何もないから。魔法の…魔法の訓練だけだよ、信じて。」
そんなことしてない。
ライアン様以外としたくない。
僕は必死に頭を振った。
「なら…フラれたのか?」
「フラレた?」
「泣いたよな?目が赤かった。」
「泣い…違うの、そういう涙じゃないから。」
確かに泣いた…でもフラれたとかじゃない。
僕に魔法の才能がないことを知っての涙でそんなんじゃない。
「なら、なんで泣くんだよ?やったのかよ?お前エッチするとよく泣くよな?先生ともしてきたんじゃないのかよ?」
どうしてそんなに疑うの?
僕本当にライアン様としかしてないのよ?
僕ってそんなに信じられないの?
「なっ…し、してないっ…先生は…そんなことしないっ。」
声が震える。
「庇うのかよ?先生は俺と違って優しいから泣くような事はしないって?」
「違うよ、本当に先生とは魔法の訓練だけで何も…お願い信じて…。」
どう言ったら信じてくれるの?
僕には分かんないよ。
嘘…吐いてないのに…。
「………クッソッ……」
「ラ、ライアンさまっぁっん゛ん゛」
抱きしめられた…強めに。
「…昼休み…お前がギノフォード先生とイチャついてたって聞いた…。」
「えっ?僕、してない。」
昼休みにギノフォード先生と話したけど、イチャついてなんかない。
「涙目でシャルが迫ってたって…したい時に声をかけろとか話してるのを聞いたって奴が居て…。」
「あっそれは、訓練の話でエッチとかじゃ…。」
「鍛錬場も探したんだ…。」
「…場所はあまり使われてない第三鍛錬場で、あんまり人に知られたくなかったから…。」
「……わりぃ……信じてない訳じゃない……不安なんだ。」
「不安?」
ライアン様が僕の事で不安になってくれるの?
「あぁ。」
「僕の事、探してくれたの?」
「…あぁ。」
どうしよう…嬉しいって思ってる。
「…嬉しいっ。」
「ああ゛?」
「僕だけがライアン様の事、好きなんだと思ってた。」
「…俺がどれだけ思ってるか…。」
「どれ…くらい?」
初めて好きって言ってくれるかな?
約束してないのにどうして?
沈んでいたのに、嬉しくって走って駆け寄った。
「ライアン様……うわぁっ。」
訓練は途中で終わったとは言え、魔力量の少ない僕にはかなりの消耗だったらしくライアン様の手前で足がもつれて転びそうになってしまった。
「おいっ…気を付けろ。」
「ありがとうござ…い…ま…す……。」
ライアン様の反射神経の良さに助けられ床に転倒する前に受け止めてくれた。
ライアン様が僕を待っていたことや受け止めてくれた事、全てが嬉しくて御礼を言うもライアン様の顔が怖かった。
あれ?
鍵の登録してるから部屋で待ってくれたら良かったのに、どうして外に居たの?
「…部屋入るぞ?」
「ぅん。」
僕の部屋だけど入るのが怖かった。
ライアンが先に入りベッドの前まで歩いていく。
僕はライアン様の後を追いかけるしか出来なかった。
「今まで誰といた?」
「えっ…ギノフォード先生と…。」
機嫌が悪いの?
「何処で?」
「訓練場。」
なんだか、取り調べされてるみたい。
「…何してた?」
もしかして何か疑われてる?
「…訓練…魔法の。」
嘘じゃないのにしどろもどろになってくる。
「それだけか?」
「…ぅん、嘘じゃないよ…信じて。」
信じて欲しくて「信じて」と言ったのに、嘘を吐いている気分になってくる。
本当の事なのに。
「何で黙ってた?」
「ぇっ黙って…。」
確かに言わなかったけど…。
態とじゃなくて…。
「後ろめたいこととかあるんじゃないのか?」
「ないよっ。」
完全に疑われていた。
「本当かっ。」
「本当、信じて。」
また、信じてって言っちゃった。
「なら、脱げ。」
「えっ」
脱げ?
脱ぐことと疑いが晴れることは関係ないんじゃ…?
「裸になって、ベッドに上がれ。」
「……は…ぃ」
今のライアン様に逆らえず、僕は脱ぐことにした。
部屋の温度は一定で寒くないはずなのに空気の冷たさを感じる。
震える手でボタンを外し脱いでいき、その姿をライアン様は凍りついた表情で視線を向けてくる。
脱ぐことが恥ずかしというより、ライアン様からの視線が恐怖だった。
裸になりベッドの中央に上がり身体を隠すように座った。
ライアン様は枕カバーを外し破いていく。
優しいライアン様の破壊行為が僕の恐怖を煽っていく。
次の行動が読めず不安が募るばかりだった。
「仰向けに寝て……手、上げろ。」
犯罪者が捕まる時に言われる言葉を言われる日がくるなんて。
素直に従い片方ずつ手首をしばられベッドに繋げられた。
両手を縛られ更に目も覆われ、ライアン様がベッドに乗り上げた箇所が沈むのを身体で感じた。
「昨日、ギノフォード先生に抱き抱えられたって本当か?」
「ぇっ?あっ。」
もしかして、それで怒ってるの?
「本当なのかよっ。」
声だけでも感情が分かる。
苛立ちと怒りだった。
「ぼ、僕が、魔力切れで倒れちゃって運んでくれたみたいで…。」
「部屋で誘ったのか?」
「へぇっ?誘っ…?」
ライアン様の質問がよく分からない。
どうして僕が先生を?
「やったのか?」
「………。」
あまりの質問に言葉を失った。
「ギノフォード先生とやったのかよ?」
「…して…ない…本当に何もないから。魔法の…魔法の訓練だけだよ、信じて。」
そんなことしてない。
ライアン様以外としたくない。
僕は必死に頭を振った。
「なら…フラれたのか?」
「フラレた?」
「泣いたよな?目が赤かった。」
「泣い…違うの、そういう涙じゃないから。」
確かに泣いた…でもフラれたとかじゃない。
僕に魔法の才能がないことを知っての涙でそんなんじゃない。
「なら、なんで泣くんだよ?やったのかよ?お前エッチするとよく泣くよな?先生ともしてきたんじゃないのかよ?」
どうしてそんなに疑うの?
僕本当にライアン様としかしてないのよ?
僕ってそんなに信じられないの?
「なっ…し、してないっ…先生は…そんなことしないっ。」
声が震える。
「庇うのかよ?先生は俺と違って優しいから泣くような事はしないって?」
「違うよ、本当に先生とは魔法の訓練だけで何も…お願い信じて…。」
どう言ったら信じてくれるの?
僕には分かんないよ。
嘘…吐いてないのに…。
「………クッソッ……」
「ラ、ライアンさまっぁっん゛ん゛」
抱きしめられた…強めに。
「…昼休み…お前がギノフォード先生とイチャついてたって聞いた…。」
「えっ?僕、してない。」
昼休みにギノフォード先生と話したけど、イチャついてなんかない。
「涙目でシャルが迫ってたって…したい時に声をかけろとか話してるのを聞いたって奴が居て…。」
「あっそれは、訓練の話でエッチとかじゃ…。」
「鍛錬場も探したんだ…。」
「…場所はあまり使われてない第三鍛錬場で、あんまり人に知られたくなかったから…。」
「……わりぃ……信じてない訳じゃない……不安なんだ。」
「不安?」
ライアン様が僕の事で不安になってくれるの?
「あぁ。」
「僕の事、探してくれたの?」
「…あぁ。」
どうしよう…嬉しいって思ってる。
「…嬉しいっ。」
「ああ゛?」
「僕だけがライアン様の事、好きなんだと思ってた。」
「…俺がどれだけ思ってるか…。」
「どれ…くらい?」
初めて好きって言ってくれるかな?
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