138 / 414
二章 ハーレムルート
本当の僕は…
しおりを挟む
怖くて顔をあげることが出来なかった。
膝の上で拳を強く握り瞳が潤んでも、溢れることがないよう堪えた。
「僕は…シャルマン…じゃ…ありません。」
「「「「………」」」」
「ごめんなさい………。」
「どう言うことですか?」
皆を代表するようにギノフォード先生が当然の質問をして来た。
「…僕は…死ぬはずだったんです…。」
「「「「………」」」」
「僕は…事故…に巻き込まれて死んだんです…だけど目覚めたらシャルマン フィンコックという人の身体で目覚めました…。」
「…それは…夢などではなく?」
「違うと思います…。」
ギノフォード先生の問いには顔を伏せたが、フレデリック様に視線を移した。
「フレデリック様…溺れた時の話をしてくれましたよね?」
「ん?あっあぁ」
フレデリック様は何故今、自分の溺れた話をされたのか理解できない表情だった。
「あれが僕です…。」
「…ん?えっ?…ん?」
「僕が居たのは、この国とは違って魔法等はありませんでした。獣人という種族もいません。その代わりに科学が発展した国です。大きな建物や馬の要らない馬車等が有ります。あの国の大半の人は黒髪黒目でした、今の僕みたいに。あの日、僕は学校…学園の帰りに車…馬車に跳ねられました。僕以外にも沢山の人が跳ねられて地面に叩き付けられました。一人で死んでいくのかな?と思った時、僕の国では珍しい茶色い瞳の緑色の髪の男の子が手を繋いでくれました。その子が居てくれたおかげで僕は寂しくなかった…怖かったけど、一人ではありませんでした。ずっと死ぬ瞬間に見た妄想だと思ってました。だけど僕…覚えてました、あの子の手の甲に三つ並んだ黒子があったのを。フレデリック様、あの時手を繋いでくれてありがとうございました。」
「…ぃやっ…」
僕の荒唐無稽な話を理解できない様子だった。
それはフレデリック様だけでなく、他の皆も。
「そう言えば、子供の頃溺れた時夢見たって言ってたな…。」
エドバルド様もフレデリック様が溺れたのを知っていたようだった。
エドバルド様とフレデリック様は子供の頃から仲が良かったんだ…良いな。
「…あの子供が…貴方だったんですか?」
「はい…子供って言いますが、あの時僕は十五歳でしたからねっ。」
「え?」
そこは驚くところじゃないんですけど。
「僕が居たあの国は童顔の人が多くて、身長もこの国の人達の平均より十五から二十センチは小さいんですっ。」
世界に比べて日本人は童顔小柄だし、この国の人達は皆大人っぽくて身長も高い人が大半で日本人とは真逆な感じですもんね。
「それは前世ではないんですか?」
「前世…僕が死ぬ時、フレデリック様とお会いしてますよ?」
「…う~ん」
ギノフォード先生を困らせてしまった。
「フィンコックにはいつなったんだ?」
「あっ…ぇっと…ラ…ライアン様とペアになった辺りからです。」
「俺と…」
詳しくは言えなかった。
エッチの最中にフィンコックになりました、なんて…。
「もしかして、ヤってる時か?」
「ひゃっ…ぁっ…ぇっと…その……はぃ。」
ラ、ライアン様の口から「ヤってる」なんて言葉が出たことに驚いた。
「なんだよ、思い当たることあんのかよ?」
エドバルド様っ、そんなに聞かないでっ。
ライアン様が僕を確認したので首を振った。
「言わないで」という意味を込めて。
「急に喘ぎ出したよな?」
「ひゃっ」
なんで?なんで言うの?
それになんかライアン様ニヤついてる?
「急に?」
エドバルド様っ、もう良いでしょっ。
深く聞かないでっ。
「それまで全く感じてなかったのに…」
「うわぁあん、もう言わないで…だめぇ。」
急いでライアン様に身をのりだし、口を塞いだ。
じゃないと、全部話してしまいそうだったから。
「そう言えばフィンコックは薬の授業でサンチェスター以外知らないって。」
「薬?」
薬ってなんの事?
「あっいえなんでもありません。」
何だろう?ギノフォード先生は目を背け、皆も気まずそう?
聞いちゃまずい事だったのかな?
「前世ではしてなかったのか?」
エドバルド様によって話が戻された。
「してないって何を?」
「セックス」
「にゃっ十五歳だよっ」
当たり前じゃないっ。
あっそれは僕だけなのかな?
「授業があんだろ?」
「そ、そ、そんな授業ないよっ。」
「授業無いのかよ…なら経験は?」
「………」
皆の前でそんな事聞かないでよっエドバルド様のバカっ。
顔を伏せて皆からの視線を避けた。
「なら、ライアンが初めての相手かよ?」
「…んっ」
もう、顔が熱いよぉ。
「うわぁっそれ本当かよっ羨ましいっ。」
腕で顔を隠しながら、皆を確認するとギノフォード先生とフレデリック様は普段通りに見えるけど…エドバルド様は悔しがっていて…ライアン様はなんだか嬉しそう?
「…まさか…キスもしたこと無かったり?」
「ああああっちの世界では十五歳でそういうの経験してるのは、早いのっ。幼い頃から婚約者がいるって人は珍しいし、結婚の平均年齢は三十歳前後なのっ。」
「………」
「三十…」
「随分…遅いんだな。」
「俺が全部初めてなのか?」
ライアン様なんて事聞くのっ。
腕を交差させて、手の甲で顔を隠しながら頷いた。
「そうかっ」
「んっんっふぅんっんっぁむっんっ……はぁはぁはぁ」
手を強引に引き剥がされ、強引にキスされた。
激しめのキスをライアン様がっ…。
皆居るのに…。
唇を離されると息が上がっていた。
「だめぇ…こっぃぅのはっ…皆がっ居るところでは…しないんです。」
視界がボヤけているので、多分僕は目が潤んでいるんだと思う。
「ライアン、ズリィだろっこいつの初めて全部お前なんだから、少しはこっちにも譲れよ。」
エドバルド様が怒ったように抗議してるけど、内容があれなので変に口を挟めば大変なことになりそうだと存在を消すという防衛本能が作動した。
「俺が最初の婚約者なんだから、当然の権利だ。」
「…ぁっ」
「おい゛っ。」
ライアン様に引っ張られ足の間に座らされ、逃げられないように後ろからしっかりと抱きしめられていた。
「ラッライアン様っ」
「ん~」
「ひゃっ…ぁん」
不意にうなじを吸われエッチな声が出てしまい皆に聞かれ、慌てて口を押さえても遅かった。
「ライアンッ」
「話を戻しますが…。」
ギノフォード先生の言葉でライアン様もエドバルド様も冷静になってくれた。
それでも僕はライアン様の膝の上に居た。
「フィンコックとしての記憶は有るんですか?」
「以前は夢で見ていたんですが、最近は全く見なくなりました。」
「それは、どのくらい覚えてますか?」
「ん~断片的に?顔は見たこと有るなぁ~って分かるんですけど、話した内容までは…日常生活は…なんとか?」
「いやっ部屋の解除登録とか忘れてただろ?」
「あっうん…」
「…王子の事は?」
エドバルド様の疑問に雰囲気が変わった。
「…全く…会っても分かりませんでした。」
四人とも以前のシャルマンを知っているので、王子を覚えてない発言で深刻になっていた。
「先生…これって記憶喪失とかですか?」
それは僕も気になった。
記憶を失いシャルマンの前世が僕なのか、僕の魂がシャルマンの身体に入っちゃったのか。
僕はいずれ消えちゃったりするのかな…。
「これは…私にも分かりません…このようなことは聞いたことがありません。」
「そっすか…。」
「「「………」」」
そう…だよね。
いくら先生でもなんでも知っている訳じゃない。
なんだか皆暗くなってしまった。
婚約…解消されちゃうのかな?
僕はまた一人ぼっち…。
「フィンコック様」
「おいっ泣いてんのか?」
フレデリック様とエドバルド様の言葉でギノフォード先生とライアン様が僕を確認してくるのが分かった。
「どうした?」
「ぼっ…僕…皆と…一緒に居たいです…だけど…解消ですか?」
「「「………」」」
「…するわけねぇだろ?」
僕を抱きしめるライアン様の手に力が込められた。
「私も解消する気はありませんよ。」
ギノフォード先生は僕の頭を優しく撫でてくれた。
「俺も絶対婚約するからっ。」
「僕も婚約をやめる気はありませんよ。」
エドバルド様もフレデリック様も一緒に居てくれる。
「ふっふぅぇん…ひっく…っくぅ…」
「泣くなよ。」
「そうですよ。」
「泣くこたぁねぇだろ?」
「そんなに不安だったんですか?」
「…ぅん…僕は皆にずっと…嘘を…嫌われたくなくて…一緒に居たくて…。」
「お前の側に居る。」
「私も貴方だから婚約者を希望したんですよ。」
「俺もこれからって時に消えたりしねぇよ。」
「僕も貴方ともっと一緒にいたいです。」
「…ふぇっん…ん…ひっく…皆…(大好き)」
僕が落ち着くまで皆優しかった。
ずっと騙していた卑怯な僕なのに。
ギノフォード先生は頭を撫でてくれて、フレデリック様は手を握ってくれた。
エドバルド様はキスしようとしたけど、ライアンがさせてくれなかった。
「…今日…皆は帰っちゃうの?」
「誰が良い?」
「…フィンコックが選んでください。」
「おぅ」
「大丈夫ですよ。」
ライアン様は一番なのに強要することはなく、ギノフォード先生もちゃんと僕に選ばせてくれる。
エドバルド様はどんな答えでも受け入れてくれ、フレデリック様は優しいのがわかる。
「……僕は…皆と居たい。」
僕は誰も選べなかった。
その日は皆、側に居てくれた。
エッチな事はなく、皆と時間を忘れて話した。
ライアン様とエドバルド様は僕を後ろから抱きしめるのを変われと言い争い、ギノフォード先生はあれから獣耳や尻尾は出てないかと体調面を心配してくれた。
フレデリック様とはあまり会話しなかったけど、ずっと手を離すことはなかった。
すごく幸せな時間で眠る勿体なくても、眠気がヤってきて僕は眠ってしまっていた。
膝の上で拳を強く握り瞳が潤んでも、溢れることがないよう堪えた。
「僕は…シャルマン…じゃ…ありません。」
「「「「………」」」」
「ごめんなさい………。」
「どう言うことですか?」
皆を代表するようにギノフォード先生が当然の質問をして来た。
「…僕は…死ぬはずだったんです…。」
「「「「………」」」」
「僕は…事故…に巻き込まれて死んだんです…だけど目覚めたらシャルマン フィンコックという人の身体で目覚めました…。」
「…それは…夢などではなく?」
「違うと思います…。」
ギノフォード先生の問いには顔を伏せたが、フレデリック様に視線を移した。
「フレデリック様…溺れた時の話をしてくれましたよね?」
「ん?あっあぁ」
フレデリック様は何故今、自分の溺れた話をされたのか理解できない表情だった。
「あれが僕です…。」
「…ん?えっ?…ん?」
「僕が居たのは、この国とは違って魔法等はありませんでした。獣人という種族もいません。その代わりに科学が発展した国です。大きな建物や馬の要らない馬車等が有ります。あの国の大半の人は黒髪黒目でした、今の僕みたいに。あの日、僕は学校…学園の帰りに車…馬車に跳ねられました。僕以外にも沢山の人が跳ねられて地面に叩き付けられました。一人で死んでいくのかな?と思った時、僕の国では珍しい茶色い瞳の緑色の髪の男の子が手を繋いでくれました。その子が居てくれたおかげで僕は寂しくなかった…怖かったけど、一人ではありませんでした。ずっと死ぬ瞬間に見た妄想だと思ってました。だけど僕…覚えてました、あの子の手の甲に三つ並んだ黒子があったのを。フレデリック様、あの時手を繋いでくれてありがとうございました。」
「…ぃやっ…」
僕の荒唐無稽な話を理解できない様子だった。
それはフレデリック様だけでなく、他の皆も。
「そう言えば、子供の頃溺れた時夢見たって言ってたな…。」
エドバルド様もフレデリック様が溺れたのを知っていたようだった。
エドバルド様とフレデリック様は子供の頃から仲が良かったんだ…良いな。
「…あの子供が…貴方だったんですか?」
「はい…子供って言いますが、あの時僕は十五歳でしたからねっ。」
「え?」
そこは驚くところじゃないんですけど。
「僕が居たあの国は童顔の人が多くて、身長もこの国の人達の平均より十五から二十センチは小さいんですっ。」
世界に比べて日本人は童顔小柄だし、この国の人達は皆大人っぽくて身長も高い人が大半で日本人とは真逆な感じですもんね。
「それは前世ではないんですか?」
「前世…僕が死ぬ時、フレデリック様とお会いしてますよ?」
「…う~ん」
ギノフォード先生を困らせてしまった。
「フィンコックにはいつなったんだ?」
「あっ…ぇっと…ラ…ライアン様とペアになった辺りからです。」
「俺と…」
詳しくは言えなかった。
エッチの最中にフィンコックになりました、なんて…。
「もしかして、ヤってる時か?」
「ひゃっ…ぁっ…ぇっと…その……はぃ。」
ラ、ライアン様の口から「ヤってる」なんて言葉が出たことに驚いた。
「なんだよ、思い当たることあんのかよ?」
エドバルド様っ、そんなに聞かないでっ。
ライアン様が僕を確認したので首を振った。
「言わないで」という意味を込めて。
「急に喘ぎ出したよな?」
「ひゃっ」
なんで?なんで言うの?
それになんかライアン様ニヤついてる?
「急に?」
エドバルド様っ、もう良いでしょっ。
深く聞かないでっ。
「それまで全く感じてなかったのに…」
「うわぁあん、もう言わないで…だめぇ。」
急いでライアン様に身をのりだし、口を塞いだ。
じゃないと、全部話してしまいそうだったから。
「そう言えばフィンコックは薬の授業でサンチェスター以外知らないって。」
「薬?」
薬ってなんの事?
「あっいえなんでもありません。」
何だろう?ギノフォード先生は目を背け、皆も気まずそう?
聞いちゃまずい事だったのかな?
「前世ではしてなかったのか?」
エドバルド様によって話が戻された。
「してないって何を?」
「セックス」
「にゃっ十五歳だよっ」
当たり前じゃないっ。
あっそれは僕だけなのかな?
「授業があんだろ?」
「そ、そ、そんな授業ないよっ。」
「授業無いのかよ…なら経験は?」
「………」
皆の前でそんな事聞かないでよっエドバルド様のバカっ。
顔を伏せて皆からの視線を避けた。
「なら、ライアンが初めての相手かよ?」
「…んっ」
もう、顔が熱いよぉ。
「うわぁっそれ本当かよっ羨ましいっ。」
腕で顔を隠しながら、皆を確認するとギノフォード先生とフレデリック様は普段通りに見えるけど…エドバルド様は悔しがっていて…ライアン様はなんだか嬉しそう?
「…まさか…キスもしたこと無かったり?」
「ああああっちの世界では十五歳でそういうの経験してるのは、早いのっ。幼い頃から婚約者がいるって人は珍しいし、結婚の平均年齢は三十歳前後なのっ。」
「………」
「三十…」
「随分…遅いんだな。」
「俺が全部初めてなのか?」
ライアン様なんて事聞くのっ。
腕を交差させて、手の甲で顔を隠しながら頷いた。
「そうかっ」
「んっんっふぅんっんっぁむっんっ……はぁはぁはぁ」
手を強引に引き剥がされ、強引にキスされた。
激しめのキスをライアン様がっ…。
皆居るのに…。
唇を離されると息が上がっていた。
「だめぇ…こっぃぅのはっ…皆がっ居るところでは…しないんです。」
視界がボヤけているので、多分僕は目が潤んでいるんだと思う。
「ライアン、ズリィだろっこいつの初めて全部お前なんだから、少しはこっちにも譲れよ。」
エドバルド様が怒ったように抗議してるけど、内容があれなので変に口を挟めば大変なことになりそうだと存在を消すという防衛本能が作動した。
「俺が最初の婚約者なんだから、当然の権利だ。」
「…ぁっ」
「おい゛っ。」
ライアン様に引っ張られ足の間に座らされ、逃げられないように後ろからしっかりと抱きしめられていた。
「ラッライアン様っ」
「ん~」
「ひゃっ…ぁん」
不意にうなじを吸われエッチな声が出てしまい皆に聞かれ、慌てて口を押さえても遅かった。
「ライアンッ」
「話を戻しますが…。」
ギノフォード先生の言葉でライアン様もエドバルド様も冷静になってくれた。
それでも僕はライアン様の膝の上に居た。
「フィンコックとしての記憶は有るんですか?」
「以前は夢で見ていたんですが、最近は全く見なくなりました。」
「それは、どのくらい覚えてますか?」
「ん~断片的に?顔は見たこと有るなぁ~って分かるんですけど、話した内容までは…日常生活は…なんとか?」
「いやっ部屋の解除登録とか忘れてただろ?」
「あっうん…」
「…王子の事は?」
エドバルド様の疑問に雰囲気が変わった。
「…全く…会っても分かりませんでした。」
四人とも以前のシャルマンを知っているので、王子を覚えてない発言で深刻になっていた。
「先生…これって記憶喪失とかですか?」
それは僕も気になった。
記憶を失いシャルマンの前世が僕なのか、僕の魂がシャルマンの身体に入っちゃったのか。
僕はいずれ消えちゃったりするのかな…。
「これは…私にも分かりません…このようなことは聞いたことがありません。」
「そっすか…。」
「「「………」」」
そう…だよね。
いくら先生でもなんでも知っている訳じゃない。
なんだか皆暗くなってしまった。
婚約…解消されちゃうのかな?
僕はまた一人ぼっち…。
「フィンコック様」
「おいっ泣いてんのか?」
フレデリック様とエドバルド様の言葉でギノフォード先生とライアン様が僕を確認してくるのが分かった。
「どうした?」
「ぼっ…僕…皆と…一緒に居たいです…だけど…解消ですか?」
「「「………」」」
「…するわけねぇだろ?」
僕を抱きしめるライアン様の手に力が込められた。
「私も解消する気はありませんよ。」
ギノフォード先生は僕の頭を優しく撫でてくれた。
「俺も絶対婚約するからっ。」
「僕も婚約をやめる気はありませんよ。」
エドバルド様もフレデリック様も一緒に居てくれる。
「ふっふぅぇん…ひっく…っくぅ…」
「泣くなよ。」
「そうですよ。」
「泣くこたぁねぇだろ?」
「そんなに不安だったんですか?」
「…ぅん…僕は皆にずっと…嘘を…嫌われたくなくて…一緒に居たくて…。」
「お前の側に居る。」
「私も貴方だから婚約者を希望したんですよ。」
「俺もこれからって時に消えたりしねぇよ。」
「僕も貴方ともっと一緒にいたいです。」
「…ふぇっん…ん…ひっく…皆…(大好き)」
僕が落ち着くまで皆優しかった。
ずっと騙していた卑怯な僕なのに。
ギノフォード先生は頭を撫でてくれて、フレデリック様は手を握ってくれた。
エドバルド様はキスしようとしたけど、ライアンがさせてくれなかった。
「…今日…皆は帰っちゃうの?」
「誰が良い?」
「…フィンコックが選んでください。」
「おぅ」
「大丈夫ですよ。」
ライアン様は一番なのに強要することはなく、ギノフォード先生もちゃんと僕に選ばせてくれる。
エドバルド様はどんな答えでも受け入れてくれ、フレデリック様は優しいのがわかる。
「……僕は…皆と居たい。」
僕は誰も選べなかった。
その日は皆、側に居てくれた。
エッチな事はなく、皆と時間を忘れて話した。
ライアン様とエドバルド様は僕を後ろから抱きしめるのを変われと言い争い、ギノフォード先生はあれから獣耳や尻尾は出てないかと体調面を心配してくれた。
フレデリック様とはあまり会話しなかったけど、ずっと手を離すことはなかった。
すごく幸せな時間で眠る勿体なくても、眠気がヤってきて僕は眠ってしまっていた。
67
あなたにおすすめの小説
義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。
竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。
あれこれめんどくさいです。
学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。
冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。
主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。
全てを知って後悔するのは…。
☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです!
☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。
囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317
転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話
鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。
この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。
俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。
我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。
そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
政略結婚のはずが恋して拗れて離縁を申し出る話
藍
BL
聞いたことのない侯爵家から釣書が届いた。僕のことを求めてくれるなら政略結婚でもいいかな。そう考えた伯爵家四男のフィリベルトは『お受けします』と父へ答える。
ところがなかなか侯爵閣下とお会いすることができない。婚姻式の準備は着々と進み、数カ月後ようやく対面してみれば金髪碧眼の美丈夫。徐々に二人の距離は近づいて…いたはずなのに。『え、僕ってばやっぱり政略結婚の代用品!?』政略結婚でもいいと思っていたがいつの間にか恋してしまいやっぱり無理だから離縁しよ!とするフィリベルトの話。
悪役令嬢の兄、閨の講義をする。
猫宮乾
BL
ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。
氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います
黄金
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻!
だったら離婚したい!
ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。
お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。
本編61話まで
番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。
※細目キャラが好きなので書いてます。
多くの方に読んでいただき嬉しいです。
コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。
婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後
結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。
※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。
全5話完結。予約更新します。
嫌われた暴虐な僕と喧嘩をしに来たはずの王子は、僕を甘くみているようだ。手を握って迫ってくるし、聞いてることもやってることもおかしいだろ!
迷路を跳ぶ狐
BL
悪逆の限りを尽くした公爵令息を断罪しろ! そんな貴族たちの声が高まった頃、僕の元に、冷酷と恐れられる王子がやって来た。
その男は、かつて貴族たちに疎まれ、王城から遠ざけられた王子だ。昔はよく城の雑用を言いつけられては、魔法使いの僕の元を度々訪れていた。
ひどく無愛想な王子で、僕が挨拶した時も最初は睨むだけだったのに、今は優しく微笑んで、まるで別人だ。
出会ったばかりの頃は、僕の従者まで怯えるような残酷ぶりで、鞭を振り回したこともあったじゃないか。それでも度々僕のところを訪れるたびに、少しずつ、打ち解けたような気がしていた。彼が民を思い、この国を守ろうとしていることは分かっていたし、応援したいと思ったこともある。
しかし、あいつはすでに王位を継がないことが決まっていて、次第に僕の元に来るのはあいつの従者になった。
あいつが僕のもとを訪れなくなってから、貴族たちの噂で聞いた。殿下は、王城で兄たちと協力し、立派に治世に携わっていると。
嬉しかったが、王都の貴族は僕を遠ざけたクズばかり。無事にやっているのかと、少し心配だった。
そんなある日、知らせが来た。僕の屋敷はすでに取り壊されることが決まっていて、僕がしていた結界の魔法の管理は、他の貴族が受け継ぐのだと。
は? 一方的にも程がある。
その直後、あの王子は僕の前に現れた。何と思えば、僕を王城に連れて行くと言う。王族の会議で決まったらしい。
舐めるな。そんな話、勝手に進めるな。
貴族たちの間では、みくびられたら終わりだ。
腕を組んでその男を睨みつける僕は、近づいてくる王子のことが憎らしい反面、見違えるほど楽しそうで、従者からも敬われていて、こんな時だと言うのに、嬉しかった。
だが、それとこれとは話が別だ! 僕を甘く見るなよ。僕にはこれから、やりたいことがたくさんある。
僕は、屋敷で働いてくれていたみんなを知り合いの魔法使いに預け、王族と、それに纏わり付いて甘い汁を吸う貴族たちと戦うことを決意した。
手始めに……
王族など、僕が追い返してやろう!
そう思って対峙したはずなのに、僕を連れ出した王子は、なんだか様子がおかしい。「この馬車は気に入ってもらえなかったか?」だの、「酒は何が好きだ?」だの……それは今、関係ないだろう……それに、少し距離が近すぎるぞ。そうか、喧嘩がしたいのか。おい、待て。なぜ手を握るんだ? あまり近づくな!! 僕は距離を詰められるのがどうしようもなく嫌いなんだぞ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる